自分のことを自分でしようとせず依存的に見える発達障害グレーゾーンの幼児の、身辺自立が進まず悩んでいませんか? 進級・進学を控え焦りがちなこの時期に、幼児の脳を発達させながら自立に導く声かけについてお伝えしますね。 |
【目次】
1.進級・進学目前!発達障害の幼児に焦りは禁物です!
2.まだまだ発達途中の幼児の脳
3.「できないからやって」が口癖だった娘
4.幼児の脳を発達させて自立に導く声かけとは?!
◆指示を分解してわかりやすく!
◆3つの褒めテクで成功体験を!
1.進級・進学目前!発達障害の幼児に焦りは禁物です!
進級、進学を意識する季節になりましたね。発達障害グレーゾーンの幼児の中には「できない」「ママがやって」が口癖でママに頼ってばかりで依存的に見える子どもがいます。
そんな子どもを育てているお母さん、なかなか身の回りのことが自立しない我が子に焦っていませんか?
「4月までにあれとこれはできるようにならないと。」
「今まで甘やかしてきちゃったけど早く自分でできるようにさせなきゃ!」
なんて意気込んでいるお母さんは要注意ですよ!
また、すでに自分でさせようと取り組んでいるけどなかなかうまくいかず、諦めモードのお母さんはやり方を変えてみるのがいいかもしれません。
決して「これくらいできないと年長さんになれないよ!」とか「1年生はみんなできるんだよ!」なんて脅すのはやめてくださいね。
お母さんとしては、子どもが困らないように!との思いからのセリフですが、焦って脅してしまうとお母さんの本心は子どもには伝わりません。
また発達障害グレーゾーンの幼児の中には言葉を字義通りに受け取る子どもがいます。
そういった子どもは「自分は年長さんになれないんだ」「自分だけできないなんて一年生になりたくない!」と傷つきパニックになることもあります。
そうではなくても脅しの声かけは子どもの不安を煽るだけのことが多いのでやめましょう。
この時期、周囲の大人が次年度を見越した接し方になったり、年長さんの場合は入学に向けて準備をし始めることもあり、子ども自身ももうすぐお兄ちゃん(お姉ちゃん)になるんだなと感じています。
それを心から楽しみにしているお子さんならいいのですが、発達障害グレーゾーンの幼児の中には変化を嫌い新しい環境が苦手という子どもがいます。
なかでも依存的に見えるタイプの子どもは不安を感じやすいため、甘えっぽくなったり、ぐずぐずしやすくなったりしたなんて子どももいるかもしれませんね。
そんな子どもの様子を見て、この時期に焦ってあれこれさせようとするのは得策ではありません。
お母さんの焦りは必ず子どもに伝わりますし、進級、進学へのプレッシャーになってしまいます。
もしうまくできなかった場合、お母さんの対応によっては自信をなくしてしまいかねません。
だからと言って、今までどおり何も変えずに4月を迎えましょうと言いたいわけではありません。今だからこそすぐに始めてほしいことがあります!
2.まだまだ発達途中の幼児の脳
発達障害グレーゾーンの幼児は、努力すれば定型発達の子と同じように日常生活を送れることが多いです。
しかしそれゆえに、大人が気づかないような小さなつまずき体験を繰り返していることがあります。
さらにネガティブな記憶が残りやすいという特性があるため、怒られたり失敗した記憶が強く残り成長とともに自信を失っていく子どもが多いのです。
「できない」「ママがやって」という口癖は、ただ怠けているのではなく自信のなさの表れでもありますね。
また、発達障害の有無にかかわらず子どもの脳は発達途中ですから情報処理のスピードが大人よりもゆっくりです。
さらに一度に複数の情報を処理するのが難しいという特徴もあります。
例えば着替え一つとっても、大人は「着替えなさい」と言われれば、「着ている服を脱いで新しい服を着る」
ということが考えなくても瞬時にわかりますが、子どもの脳にとっては
「着替えなさい?えーっと、まずは服を脱いで、次はえっと、何をするんだったかな…」
という感じで一つ一つの動作を処理するのに時間がかかります。
そのため、着替えなさいという抽象的な指示では、取り掛かるためのハードルがとても高いのです。
そして処理の途中で、テレビの音が耳に入ったり、おもちゃが目に付いたりすると、自分の興味がある方に意識が向いてしまい、元々しようとしていたことを忘れてしまいます。
さらに、大人にしてみれば簡単そうな指示の中にも発達障害グレーゾーンの幼児にとっては難しい内容が隠れている可能性があります。
例えば服を選ぶ、服に手足を通す、歯磨き粉をつける、歯をまんべんなく磨く、手をゴシゴシ動かす。
そういった一見簡単そうなことにも子どもはつまずいているかもしれません。
お子さんは大丈夫ですか?一度「つまずいていないかな?」という視点で観察してみてくださいね。
3.「できないからやって」が口癖だった娘
我が家の娘は年少の頃から「できない」「ママがやって~」が口癖でした。私は、
「できることは自分でさせなきゃ。」
「甘やかしたら自分で何もできない子になってしまう。」
と、やりたくなさそうでも私ができると判断したことは、まず自分でさせようとしました。
「大丈夫!簡単だよ。もう3歳なんだから自分でしなきゃ」なんて言いながら、今思えば必要なサポートもせずに「歯磨きしよう」「着替えよう」なんて指示ばかり出していました。
娘はなかなか自分でやろうとはしませんが珍しく自分で行動できた時にも、小さなつまずきがきっかけで
「できない!わからない!もう、やってよ!!」と癇癪を起すようになりました。
私には何ができなくて何がわからないのかが理解できず「すぐに泣く子、甘えている子」と思ってしまったのです。娘は癇癪を起してまで「困っているよ!」と教えてくれているのに…
娘はどんどん消極的になっていき、一度でも失敗すると次からは激しく拒否するようになりました。
そうするうちに、私は癇癪を恐れて嫌がることはさせず、娘が失敗しないように先回りしてやってあげることが多くなりました。
いつの間にか私自身も消極的になっていたのです。
年中になっても、自分で着替えようとしなかったり「食べさせて」と言うこともある娘を見て
「私が甘やかしすぎたんだ。」
「一人でできるようになる日は来るんだろうか…」
と不安になりました。
しかし発達科学を学び、今までうまくいかなかったのには脳の特性が関係していたことがわかりました。
そして自分の言動が娘の自信をさらに無くさせ、脳が発達する機会を奪っていたことに気づきました。
私は、娘に無理やり自分でさせるでも、失敗しないように守ってあげるでもなく、正しくサポートし小さくても一つずつできることを増やして自信をつけてあげようと思いました。
4.幼児の脳を発達させて自立に導く方法
◆指示を分解してわかりやすく!
発達障害グレーゾーンの幼児に行動してほしいときには、わかりやすい指示が鉄則です。子どもにわかりやすい指示とは、ズバリ指示の分解です。
例えば着替えなら「このTシャツから脱ごうか」「次はズボンを履こうか。どっちの足から入れる?」
歯磨きなら「歯ブラシ持とうね」「歯磨き粉つけれるかな?」
といった具合に、一つの指示を分解して具体的な行動を簡潔に伝えます。
やりたがらない子には、取り掛かりのハードルを下げるため、歯ブラシを持たせてあげたり、「こっちが前だね~」なんて言いながら服を着やすく整えてあげたりというのも有効です。
お母さんが手伝ってあげてOKなんです!
行動を起こし始めるときは、脳が一番エネルギーを使うとき。最初のハードルは極力さげてあげましょう。
指示を分解することで、子どもが具体的につまずいていた部分を発見できるかもしれません。
その時は、その部分を手伝ってあげる、やりやすい工夫を考えるなど、それまでお子さんが一人で困っていたことを一緒に解決していきましょう。
◆ポイントは3つ!正しい褒め方で成功体験を!
分解指示でお子さんが動き出したら、すかさず褒めましょう! 動き始め、途中途中の褒め言葉は最後までやりきるためにはとても大切です。
指示を出した後、子どもがぐずりだしたり手が止まったりしたときに初めて声をかけているなんてことないですか?過去の私がそうでした。そういう声かけは大抵ポジティブなものではありませんよね。
最初と途中でこまめに褒める!これが一つ目のポイントです。
次にポイント2つ目、褒め言葉も具体的に!
「すごいね」「できたね」もいいのですが、「歯を磨けたね」「自分でTシャツに着替えられたね」と具体的に褒めることで、
「歯を磨けたんだ」「Tシャツに着がえられたんだ」という成功体験として耳からインプットされます。
そうすることで、次から具体的にどんな行動をすればいいのかを理解していきます。
最後に大切なコト。せっかく褒めた後に「もうちょっと早くしてくれたらいいのに」「次からもやってね」など、余計な一言は禁止です!
ついポロっと言ってしまう大人目線の余計なひとこと。せっかくの成功体験が嫌味やプレッシャーで結局ダメ出しになってしまいます。
会話の最後は「褒め」で終わりましょう。
いかがでしたか?私が具体的な声かけに変えてから、娘はスモールステップでできることを増やしていき、どんどん自信をつけています。
自ら「小学生になるんだからこれくらいできるよ!」と言って、料理やアイロンがけにもチャレンジしています。
驚いたのは、上手にできなくても怒って投げ出さなくなったこと。今は進学をとても楽しみにしています。
もし身の回りのことがすぐにできるようにならなくても、4月までに!と焦らず今はひとつずつ成功体験を重ね自信をつけてあげましょう。
たとえできないことがあっても自信があれば一歩を踏み出せます。自信があれば諦めない心の土台になります。
お子さんとお母さんの不安が少しでも軽くなり未来に楽しみを見出せることを願っています。
不安が強い子の自信を育てる方法をお届けしています!
執筆者:七咲まみ
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)