発達障害・グレーゾーンの子どもの様々な「問題」は、大人側の「思いこみ」が原因かも?

 

教育の世界では、子どもの「問題行動」について語られることがあります。「小1プロブレム」など、新しい言葉が次々と生まれ、解決に向けた対策を講じます。しかし、大人たちが子どもに向ける「こうあるべき」という「思いこみ」が、逆に子どもたちを追いつめている事に気づくべきなのです。
 

【目次】

 

1.発達障害・グレーゾーンの子どもの「問題」は大人によって作られる!?

 
 
現在の学校現場で語られる子どもたちの「問題」。例えば「小1プロブレム」「学級崩壊」「不登校」などがありますね。
 
 
これらの言葉が出るたび、大人たちは子どもの行動に問題がないか気になったり、不安になったりしていませんか?
 
 
しかし、「小1プロブレム」などの言葉は、「小1はこうあるべきだ」と専門家が一定の理想をかかげ、その理想から外れた子どもたちがいるときに使っている言葉です。
 
 
学校教育では大人たちが「問題」と捉えるからこそ、それが「問題行動」と見なされてしまうことがたくさん見られます。
 
 
ヘアスタイル、ファッション、行動、不登校や登校しぶりなどが「問題」だと見なすことで、大きな社会問題になってしまうことと同じです。
 
 
例えば「小1プロブレム」は、小学1年生の子どもの
 
 
・新しい環境になじめない
・集団行動ができない
・周りとは違う行動をしてしまう
・授業中座っていられず立ち歩く
・先生の話を聞かない
 
 
といった行動が続く状態のことをいいます。
 
 
 
 
小学1年生のこのような行動は、「小1プロブレム」という言葉が登場した平成10年ごろ(20年以上前!)よりも前からありませんでしたか?
 
 
「不登校」にしても、ベースに「学校へ行くのが当たり前」という価値観があるから「問題」と捉えられているのです。
 
 
「学校に行かない」という選択が、学校が大人になるための一つの手段にすぎないという考えが当たり前になれば、「不登校」という言葉すら存在しなくなるでしょう。
 
 
ある行動を「問題」だと言わなければ、それは問題にはなりません。そういった視点で子どもたちを見ていくことが大切です。
 
 
大人が作り出した「問題」のために、子どもたちや、それを守らせようとする大人までもがストレスを抱えるのは、とても残念なことです。
 
 

2.良かれと思ってかけた言葉が、逆効果になることも。

 
 
このような大人の「思いこみ」が、家庭生活のなかでも起こります。例えば、ある中学生の女の子とその母親の会話です。
 
 
ある日、女の子が普段どおりに家で食事をしていると、母親が「どうしたの?食欲ない?具合悪そうだけど」と聞いてきます。
 
 
その女の子は、そんなふうに感じていなかったので驚くのですが、その言葉を受けて「ひょっとしたら、いつもより少し食欲がないかも」と返します。
 
 
すると、母親は、「何かあった?友達に何か言われた?」と、さらに追及。
 
 
そのうち、女の子は「そういえばAちゃんに○○と言われた、先生にも○○と言われた」、と嫌なことを次々と思い出し、本当に気持ちが悪くなって、トイレへ駆け込んでしまったのです。
 
 
 
 
このエピソードに似た話は、いたる所にあります。
 
 
「忙しいでしょ。疲れてる?」と言葉をかけるうちに、元気をなくしてしまう子どももいれば、「受験勉強、大変だね」と繰り返し言われるうちにプレッシャーに潰されてしまう子どももいます。
 
 
特に、発達障害・グレーゾーンの子どもは、このような声かけに敏感です。「ぼくはダメな子なんだ」「私には何も良いところがない」と自己肯定感が下がり、行動力が落ちたり、反抗的になることもあります。
 
 
大人が取るに足らない問題を取り上げ、言葉にしてしまうことで問題となってしまうことがある。ということを常に意識しましょう。
 
 

3.子どもの発達はそれぞれ。「問題」と見る前に、とらえ方と対応を変えましょう。

 
 
今まで大人たちが「問題」だと思っていた、子どもの行動。子どもそれぞれの発達の特性に目を向ければ、そもそも問題ではなくなります。
 
 
じっと座っていられないのが問題だとする「小1プロブレム」。椅子を変えてみたり、座る場所を変えてみたり、座っている時間を変えたりすることで、解決したということがあります。
 
 
姿勢が悪い子でも原因を確かめてみると、窓の外の光が眩しすぎて、光を避けるために姿勢を変えていたということもあるのです。原因がわかると、眩しすぎない場所に席をかえる、サングラスをかけさせてあげる、などの対策が取れますよね。
 
 
むしろ、「座っていなさい!」や「姿勢良くしなさい!」と叱られることで損なわれる自己肯定感について、私たちは考える必要があります。
 
 
 
 
例えば「うちの子、落ち着きがないわ!落ち着かせなきゃ!」とか「宿題をやらないわ!帰ったらすぐにやらせなきゃ!」といった大人のとらえ方を見直すべきなのです。(この事例は過去の私です…)
 
 
子どもについて注目すべきは、「できていること」。落ち着きがない子でも、落ち着いているときがあれば、そこに注目します。
 
 
宿題をやらない子でも、筆箱やノートを出したら「準備を始めたね!」ポジティブな目線と声かけで、「問題」と思っていた行動が問題にならなくなるのです。
 
 
何かができなかったとしても、それは、その子にとっての発達の一つの場面での状況であって、周りの環境を少し変えるだけで解決できることがあります。
 
 
まず、大人たちが「問題」に対する思いこみをなくし、子どもたちそれぞれの個性や特性にあった対応を身につけましょう。
 
 
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執筆者:渡辺みゆき

(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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