発達障害の人と話していると、「おもしろい表現をするな」と思うことがありませんか?アスペルガーの人は言葉の発達には遅れがなく普通に会話できるのに、時々変わった話し方をするのはどうしてか?それには理由がありました。 |
【目次】
1.何だかちょっと変かも?こんな話し方ってどうですか
2.発達障害・アスペルガー当事者が教えてくれた「一般的ではない言葉」を使う理由
3.身近にいるお母さんだからこそ、伝えてあげられることがあります!
1.何だかちょっと変かも?こんな話し方ってどうですか
突然ですが、ちょっと想像してみてください。
あなたは友人と一緒に、美味しいと評判の店にランチを食べに来ました。さすが有名店、評判になるだけあって感動する美味しさです。そこで一言!あなたなら美味しくて感動した時に、どの言葉で表現しますか?
① 「すごい美味しい!」
②「とっても美味しい!」
③「バカみたいに美味しい!」
②「とっても美味しい!」
③「バカみたいに美味しい!」
次に、こんな場面も思い浮かべてみてください。あなたが男性から告白される場面です。
①「僕と付き合ってください」
②「僕と、交際してください」
みなさんはこの中で、違和感のある話し方はありましたか?
②「僕と、交際してください」
みなさんはこの中で、違和感のある話し方はありましたか?
私には、いわゆる発達障害・アスペルガー症候群でかなりIQが高い友人がいます。
大人になってから発達障害の診断を受けた人で、今は発達障害とは公表せずに仕事をしています。でも、コミュニケーションでは子供の頃から苦労をしていて、診断が出る前には二次障害もかなり大変だったと聞きました。
その友人は、人と会話をするときには不安で常にいろいろ考えるし、とても疲れると言っていました。子どもの頃から対人関係で苦労してきているため、話し方にかなり気を使いながら言葉を選んで話しているようです。
先ほどの場面はその友人が例えとして話してくれたのですが、その友人は食べ物がおいしいのを表現する時に「バカみたいに美味しい」は使わない人が多いだろうと言っていました。告白の場面は両方とも意味は通じますが「交際」という言葉を使う人は珍しいかもしれません。
でも、「本人はいたって真剣・真面目なんだよ!」と言っていました。
2.発達障害・アスペルガー当事者が教えてくれた「一般的ではない言葉」を使う理由
では、どうして発達障害だと周りの人とは違う言葉を使うということが起きるのでしょうか?
友人によると、「その言葉はあまり使われていないということを学習する機会がなかったから」だそうです。
先ほどのたとえだと、子どもの頃に「バカみたいに」は最上級を表す言葉だと学習していたんだそうです。そして周りの人があまり使わないので、その後は耳にする機会が少なかった…
そのために、どういうときに使うのが適切かを判断する機会がなく、その話し方を訂正される機会もないのでそのまま使い続けていたということだそうです。
告白する場面というのも他人がその場に立ち会うことは少ないため、一般的にあまり使われない表現をしても指摘される機会がありません。もしかしたら、テレビやマンガで見たセリフをそのまま使って相手に引かれてしまう…ということも起きるかもしれないですね。
アスペルガーの友人は、自分の周りの人たちを観察して「この場合は、こんな言葉で表現することが多いみたいだな」「こう言えば良い反応が返ってくるらしい」というデータを集めるそうです。
そのデータをもとに大多数の人が良い反応をしていればたぶん正しいだろうと判断して言葉を選んでいると教えてくれました。
もしも、自分がそんな風に考えながら会話をしなければいけないとしたら…本当に大変な作業ですよね。
3.身近にいるお母さんだからこそ、伝えてあげられることがあります!
子どもたちの周りにいる人は「何かちょっと変な言葉遣いだな」と思っても、それを教えてくれない可能性もあります。
そんなことを言ったら相手に悪いと思って指摘できない場合もあるかもしれませんし、もしかしたら変わった言葉遣いをした事をからかう人もいるかもしれません。
発達障害グレーゾーンの子どもたちは、周りの理解が得られないことも多いために人知れず悲しい思いをしていることがあります。
そういった経験が積み重なって自信をなくしてしまい、人とのコミュニケーションの機会が減ってしまうとしたら…それは本当にもったいないことです。
周りの人は本音を言ってくれないこともありますが、大多数の人はその子と一生関わっていくわけではありません。その子の人生に責任を感じることもないでしょう。
でも、お母さんは一番近くでわが子を見守っている一番の理解者です!お子さんが変わった話し方をしているのに気づいたら、代わりにどんな言葉を使うことができるかをぜひ教えてあげてください。
とはいえ、「そんな言い方したら変に決まってるでしょ!」というように否定的な伝え方をしてしまうと、お子さんが自信をなくしてしまったり聞く耳を持たなくなってしまうかもしれません。
「▲▲って言い方もあるけど、お母さんは●●って言い方のほうがもっと分かりやすくて好きかな〜」
「●●っていう言い方もあるんだよ。」
など、ぜひ優しくポジティブに、さりげなく伝えてあげてくださいね。
お母さんが指摘すると、子どもがイヤな顔をするかもしれません。それでもそれが将来その子のためになるとしたら…子どもの将来を真剣に考えているお母さんだからこそ、本当にその子のためになることを伝えてあげられるのではないでしょうか。
特にアスペルガータイプのお子さんの場合は、誰も教えてくれなかったために大人になってから変な話し方だと言われて傷つくことを避けられます。
ぜひ、子どもたちが自信を持って人とのコミュニケーションを楽しめるようにお母さんがサポートしてあげてくださいね!
執筆者:三浦知花
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)