小学校入学後は毎日のように読み書きが必要になります。発達障害の傾向があるお子さんはそれを苦痛に感じることがあります。毎日3分のお家でできるトレーニングで、お子さんの「見る力」をアップさせ、読み書きをスムーズにできるようにさせてあげませんか? |
【目次】
1.発達障害の傾向があると弱いこともある「見る力」とは何でしょう?
幼稚園や保育園のころと違い、小学校へ入学すると自分で読み書きをすることが多くなっていきます。
1年生の1学期にはひらがなやカタカナの書き取りがあったりします。授業中は、時には板書もありますよね。
発達障害傾向があるお子さんの場合は、読み書き自体にとても苦痛に感じてしまうことがあります。
その理由は、
・文字の形が見えづらい
・黒板やプリントを書き写すのに時間がかかってしまう
・本を読む時に行や文字を飛ばしてしまう
などです。この状態が続くことで、お子さんの学習への意欲がどんどん失われていくのです。
1年生のうちは何かをしっかりさせるというより、学習自体を楽しいものだ!と思えるようにしてあげることの方が大切です。
ここでつまずいて楽しさを感じられないまま過ごしてしまうと、そこからの学習にも影響がでてしまうかもしれません。
読み書きが苦手なのは学習障害だから?と感じたりする親御さんも多いかとは思いますが、実は、「見る力」の弱さが読み書きの苦手に関係していることがあります。
皆さんは、お子さんの「見る力」について考えたことはありますか?
人間は目から情報を8割以上得ていると言われているそうです。これは、視力だけでなく視覚機能というものも関係しています。
視覚機能とは、大きく3つに分かれています。
1.見たものの映像を捉える
2.見たものの形や色、状態などを認識する
3.見たものに合わせて動く
となります。掃除を例にしてみると、
1.ごみや汚れを見つける
2.ごみや汚れの状態を認識する
3.手や道具を使って、その場所を綺麗にする
となります。この動きがうまくいかないと、生活していく上での難しさや苦手さとなってしまうことがあります。
視力は病院で診てもらえばすぐに分かりますが、「見る力」に関しては眼科で調べてもらうことも難しい場合があると思います。
発達障害の有無にかかわらず、読み書きを苦手と感じているお子さんは多そうですが、発達障害の傾向があると苦手と感じることがより多くなることが知られています。
2.読み書きが苦手だった娘が変化していきました
ここで我が家の娘の話をさせてください。
私には小学校1年生の娘がいます。読みの方は特に問題なさそうなのですが、書くことが大変苦手な子です。
以前に出した記事でも書きましたが、ひらがなの書き取りは泣きながらやっていた子なのです。書けないわけではないけれど、娘にとってはとても苦痛を感じる学習の一つだったと思います。
どの書き取りの用紙にも、担任の先生の訂正が真っ赤に入っていました。どんどん自信を失っていく娘を見るたびに、私の方が切なくなっていきました。
しかし、娘の書いた書き取りの用紙を見ているうちに一つのことに気づいたのです。それは、マスをうまく使えていない?ということでした。
1年生の初めなので、マスはかなり大きいものでその中にひらがなを一文字書きます。しかし、娘の用紙を見てみると、真ん中に小さな文字が申し訳なさそうに書かれていました。
第一印象は「ちっさ!」思わず、心の声が漏れてしまいました。
そこで、私に一つの疑問が浮かびました。
ひらがなの形が捉えられないというよりは、マス全体が見えていないのかもしれない、と。
そこで、「マスいっぱいに書くんだよ!」と伝えますが、なかなかうまくいかない日が続きました。
娘はひらがなを幼稚園の時にマスターしているので、マスの空間を捉えられないなどの見る力に問題があるのでは?と思うようになりました。
そこで、わが家が取り入れたが、目の可動域を広げて見る力を育てるビジョントレーニングです。
毎日、家で行うことで娘が劇的な変化を遂げていったので、事項で説明していきたいと思います。
3.毎日3分!お家でできる「見る力」を発達させるトレーニング
ビジョントレーニングは、現在、民間の企業でも事業として行っているところも多く存在しています。
しかし、通うスタイルで、週に1回や月に1回だったりする場合が通常です。そして、金額的にも高額であることも多く、続けていくことは少々悩みどころです。
そこで、お家にいながら、毎日3分でできるビジョントレーニングをご紹介します!
我が家では、鉛筆の先に少し大きめのマスコットや、動物などの消しゴムが付いたものを使用しています。
お子さんの前にお母さんがその鉛筆を持って座ります。お子さんには、鉛筆の先のマスコットを見てもらいます。
まず、子どもの前で鉛筆を右から左、左から右と何往復か繰り返します。次に、上下に鉛筆を動かします。余裕があれば、斜めの左右に動かすこともしてみてくださいね。
ポイントは、全てにおいて顔を動かさずに目だけを動かすことです!
最後に、鉛筆の先の部分をお子さんの両目の間の近くまで動かして、寄り目になったところで数秒数えたら終わりになります。
このトレーニングは毎日行います。目の訓練なので、慣れるまではとても目に負担がかかります。お子さんの様子を見て、時間などの調整をしてあげてくださいね。
娘はほぼ毎日トレーニングをしていることもあり、慣れてきたので問題なく3分ほどできますが、気分が乗らない日には1分もやらない日もあります。もちろん、全くやらない日もあります。
しかし、それでいいのです!
大切なのは、短時間でも定期的に長く続けていくことです。決して焦ったり、お子さんに無理強いをしたりはしないでくださいね。
我が家では、鉛筆の先にかぼちゃのマスコットがついているので「カボトレ」と呼んでいます。
実際にやり始めてから、娘は1週間もしないうちにマス全体をうまく使い、文字を書けるようになったんですよ。
今では、授業中のプリントを読む際にも目だけで文字が追えるようになったと、娘が教えてくれました。
そして、担任の先生も、娘の授業中の劇的な変化に驚いています。今まで続かなかった集中力が少しずつ伸びてきたようです。
実は、見る力を育てるビジョントレーニングは、脳の前頭葉を刺激して発達を促すことが知られているのです。
前頭葉は、脳の前の方の部分で司令塔の役割をしています。他の動物よりも発達しているので、人間は考えたり、集中したり、我慢したり、共感したりといったことができます。
前頭葉が発達すると、やる気や集中力や感情のコントロールなどに良い効果が出ることで有名です。
発達障害傾向にあるお子さんはもちろん、そうでないお子さんにもとても有効なトレーニングなのです。隙間時間を利用して、お子さんの前頭葉を発達させてあげてください。
全てのお子さんの苦手が一つでも減りますように!
今がんばっているお子さんに自信をつけてあげて、一緒に、大切なお子さんを伸ばしていきましょう。
読み書き以外の苦手に対しても発達させることができる方法を多数公開中です!
執筆者:みずおち梨絵
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)