マスク生活が始まって2年半。まだまだ油断ならない日々が続きます。我が家は家族全員でオミクロン株に感染してしまいました。発達障害(ADHD&ASD)の特性を持つ7歳の息子との自宅療養10日間をどう乗り切ったかをお伝えします。
【目次】
1.発達障害キッズとの自宅療養、イメージできますか?
2.学校が休みの時くらい好きにしたいよね、は大人の勝手な思い込み
3.自由奔放なADHD Boyにだって不安はある!ASDの特性について
4.大切なのは、「勉強しない」時間割
◆何のための時間割?
◆勉強は二の次
◆ママにもメリットが!
1.発達障害キッズとの自宅療養、イメージできますか?
どこへ行っても、マスク、検温、消毒…いまだ猛威を振るう新型コロナウィルスは進化を続けています。
遊びに夢中になれば距離なんて取れるわけがない幼児・低学年の子どもたち。ママは気の抜けない毎日ですよね。
今は、どんなに気を付けていても誰もが感染してしまう可能性があります。
もしも感染して、自宅療養することになってしまったら…?
感染しなくても、学級閉鎖や休校になってしまったら…?
ただでさえハイレベルな発達障害キッズの子育て、長期間外出もできないなんて、考えただけでも尻込みしそうですよね。
ですが、大丈夫!備えあれば憂いなし。
実体験をもとに、特性を持つ子どもと自宅で穏やかに過ごすヒントをお伝えします。
2.学校が休みの時くらい好きにしたいよね、は大人の勝手な思い込み
この春、我が家では、夫→息子→私の順で、オミクロン株に感染してしまいました。
濃厚接触者は7日間の自宅待機、条件を満たした軽症者は10日間の自宅療養をすることになります。(2022年5月時点)
夫に続いて息子が発症しましたが、幸い24時間後にはすっかり元気に。さあ、ここから元気いっぱいな息子と10日間の自宅療養がはじまります。
もともと家の中で遊ぶことが好きな息子は大喜び!
注意欠陥多動性障害(ADHD)の特性を持つ息子は、いつも気が散りやすく、外出前はつきっきりの声掛けでなんとか出発時間に間に合うような状態です。
だから時間がある時くらい好きにしたいはず!と思い、私も時間のことをあまりうるさく言わずに過ごしていました。
ですが、2日も経つと息子は奇声をあげるようになってきたのです。奇声は、息子がストレスを抱えているときのサイン。
楽しそうに遊んでいるのにどうして?
「早く早く」って急かしてないのにどうして?
自由にさせているのにどうして?
ストレスなんかためてるわけないのに…
これらは、私の都合の良い思い込みでした。
なぜなら、息子は自閉症スペクトラム(ASD)の特性も併せ持っているからです。
3.自由奔放なADHD Boyにだって不安はある!ASDの特性について
ASDの特性はたいへん広範囲にわたりますが、そのひとつに、「見通しが立たないことが不安」というものがあります。
この特性を持つ子は、「行ってみないと何をするのかわからない自由な幼稚園や保育園より、あらかじめ時間割が分かっている小学校のほうが安心」と感じます。
そんな子に「一日中、好きにしてていいよ~!」と言ったらどうでしょうか。
外出という選択肢はありません。食事や入浴の時間を差し引いても、10時間近くあります。
これがなんだかずっと先まで続くらしいぞ…となれば、それは不安でしょう。
しかし、まだ未熟な子どもの脳では、「なんだかモヤモヤする」を、「不安」という言葉に結び付けて的確に表現できるとは限りません。
周囲の大人が気づいてあげる必要があります。
ADHDの特性を持っていると、自己肯定感も高めに見えて、よく活動し、オレ流を貫いていたりします。
そんな姿を見ると、「不安」とは無縁な気がしてしまうのですが、このような特性もあるということを知っていれば、適切に不安を取り除いてあげられますね。
4.大切なのは、「勉強しない」時間割
ようやく奇声が息子からのSOSであることに気づいた私は、翌日、息子と相談しながら、ゆるーい時間割を作りました。
① 09:00~ 1時間目
② 10:30~ 2時間目
③ 11:30~ おひるやすみ
④ 13:00~ 3時間目
このくらいのユルさです。時間ごとの休憩時間はたっぷりと。学校と同じチャイムをダウンロードして、区切りの時間で流しました。
まだ自習は難しいので、学校の教科書や幼児教室のテキストを使ってお母さん先生になります。
この時間割、次の3点を意識しながら運用しました。
◆なんのための時間割?
時間割は、作った時点で9割達成です。なぜなら、「見通しをつけて安心感を得るため」だから。
絶対に時間を守る必要はないんです。1時間が30分になったって構いません。だいたいこんな感じで過ごせたらいいね~で十分です。
「ハイ、2時間目!机に向かって!」は逆効果。あくまでも、穏やかに過ごすための時間割です。
◆勉強は二の次!
新しいことを学ぶ必要はありません。苦手な計算問題や漢字の書き取りに取り組む必要もありません。
なぜなら、「勉強する時間」ではなく、「大好きなママと一緒に過ごせる時間」だから♪
すでに理解できていることを繰り返して、褒めてあげる時間にしてあげてください。
勉強にこだわらず、好きな本を読み聞かせたり、一緒に工作したりする時間にしてもいいですね。
もちろん、ここでお子さんから質問が出てきたらチャンス!どんどん脱線して、お子さんの興味をひきながら世界を広げてあげましょう。
そんな発想を秘めていたんだ!そこに困っていたのね!など、きっと新たな発見があります。
◆ママにもメリットが!
ママも、時間割を作った時点で、時間を意識しながら行動することになりますから、ある程度メリハリができて、生活リズムが整います。
そして、しっかり子どもに向き合う時間を取っていますから、「今度はママの時間にさせてね」と言えば素直に納得してくれます。このほうが家事もはかどります。
繰り返しますが、ママもキッチリ時間を守ろうとしなくていいんですよ!子どもの心を落ち着けて、ママも穏やかでいるための時間割です。
思い返してみれば息子は、「お昼何時に食べるの?」「まだ遊んでていいの?」と何度も尋ねていました。
なかなか熱が下がらない夫の世話と、急な予定変更に伴うお詫びなどに気を取られ、息子が発していた小さなサインを、私が聞き落としてしまっていたのでした。
この時間割で過ごし始めたその日から、息子の奇声はなくなりました。
「お母さん、2時間目だよ!チャイムまだー?」と指摘するほどです。
感染しないのが一番です。でも万が一、自宅療養の必要ができてしまったら、お母さん先生になってみてはいかがでしょうか。
ピンチはチャンス!子どもの小さな変化や成長をつぶさに感じられる良い機会になるかもしれません。
くれぐれも、体調の変化に気を配りながら、試してみてくださいね。
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執筆者:髙田 礼
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)