発達障害の子が刺激を求めて何でも触ることに振り回されていませんか?6歳になってもじっとしていられないのは、感覚探求が隠れているからかもしれません。発達障害の感覚がしっかり育てば自然と落ち着き、子どもを伸ばす関わりができるようになります!
【目次】
1.発達障害の6歳児が刺激を求めてお店で走り出す姿にイライラ
2.発達障害の何でも触りたい子は感覚刺激が足りてない?
①感覚は発達の土台
②何でも触りたいのは感覚を求める「感覚探求」
3.発達障害の子が何でも触る・刺激を求める理由と対処法
①特性からくる「触ってみたい!」
②発達障害の「感覚」を育てるのはママとの会話
1.6歳でじっとしていられない娘に困っていました
発達障害の子が何でも触る行動に「どうしてそんなことするの?」と思ったことはありませんか?
実は発達障害の子が刺激を求めて何でも触りたがる行動は、「感覚探求」が原因かもしれません。
わが家の娘は6歳の頃、気になったものは何でも触って歩いていました。
小さいときから好奇心旺盛で、目に入ったものには何でも興味を示す子でした。
お店に行くと刺激を求めてバタバタと跳ね回り、いろんな商品を次から次へと触っていきます。
お店を走り回ると最後には疲れ、「もう帰る、歩けない!」と癇癪を起こす娘の対応に手いっぱい。
買い物どころではなくなり、こちらがイライラして帰ることがよくありました。
なんでも触りたがる一方で、泥のベタベタや砂のザラザラした感触が嫌いで、保育園では外遊びを嫌がり、室内でひとりで遊ぶことを好んでいました。
さらに、力加減がわからず物を壊すこともしょっちゅう!
6歳になってもじっとしていられない理由が分からず、「もしかして不注意や多動?」と心配になりネットで検索を繰り返していました。
何となく発達凸凹を感じてはいたものの、感覚特性、特に鈍感さからくる感覚探求だとは思ってもいませんでした。
私が初めて娘の感覚探求を知ったのは、小児科医で発達科学コミュニケーション・トレーナーでもある森博子さんの「ママカルテ」でした。
2.発達障害の何でも触りたい子は感覚刺激が足りてない?
何でも触りたくてじっとしていられないのは、皮膚からの感覚が発達途中だと考えられます。
そして足りない部分の感覚刺激を求める行動が探求行動になっています。 詳しく見てみましょう。
◆①感覚は発達の土台
「感覚」はあらゆる発達の土台となります。
感覚には私たちのよく知る五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)のほかに、
・固有覚…筋肉や関節から伝わる感覚。力加減や姿勢を保つ。
・前庭覚…体の傾き、回転、スピードを感じて、身体の動きを調整する。
という感覚があり、特に触覚・固有覚・前庭覚の3つは発達の土台となる感覚です。
土台が育つと、身体をコントロールする動き、手指を使った作業などができるようになっていきます。
感覚がピラミッドのように積み重なって発達し、小学校での勉強に取り組めるようになるのです。
発達障害の人の中には感覚に対して敏感すぎたり、その逆に鈍感すぎることで、日常生活に困難を抱えていることがあります。
この感覚の偏りは感覚過敏、感覚回避、感覚鈍麻、感覚探求の4つのパターンに分けることができます。
◆②何でも触りたいのは感覚を求める「感覚探求」
感覚の偏りは、脳の感覚を処理する部分の発達が未熟なことからきます。
落ち着きなくじっとしていられない、何でも触る行動は、多動のようにも見えますが「感覚探求」と呼ばれ、感覚に対する反応が弱いために起きます。
刺激を正しく受け取る力が弱いので、強い刺激を求めて探しまわり、落ち着きのない印象を与えてしまうことがあります。
感覚探求のある子どもは、
・授業中など静かにする場面でも身体を揺らしたり、じっとしていられない
・食事中に立ち歩く
・跳びまわったり、激しい行動をする
・高いところに登りたがる
といった、刺激を求めるような行動があり、一見、注意欠陥多動性障害(ADHD)の多動や不注意のように見えてしまうこともあります。
そんな子どもの動きにばかり注目してしまうと、「走らないで!何でも触らないで!もっと落ち着いて!」とイライラしてしまうのではないでしょうか。
3.発達障害の子が何でも触る・刺激を求める理由と対処法
ママがイライラするのではなく、コミュニケーションで感覚の問題を落ち着かせる方法があるのでご紹介しますね。
◆①特性からくる「触ってみたい!」
発達障害の子が刺激を求める行動についイライラしてしまいますが、ママのイライラは子どもを不安にさせます。
不安やストレスを感じると感覚探求が強くなることがあるので、落ち着くどころかもっとひどくなることも。
落ち着いて欲しい時、静かにして欲しい場面では我慢させるのではなく、まず先に思いっきり力を出させるのが効果的です。
わが家では、床に的を置いて、あぶら粘土を思いっきり投げつける遊びをすることもあります。
粘土がない場所では、思いっきりジャンプをさせたり、床を踏みならしてみたり。
全身をつかって力を発散するだけでなく、全身をぎゅっと抱きしめることもおススメです。
そして感覚探求は本人にとって今必要な行動で、感覚を育てていると理解することがポイントです。
私自身、娘が何でも触るのは「今ザラザラをインプットしているんだな!」と行動の必要性を理解すると、不思議とおおらかに見守ることができました。
ただ、強い刺激をどんどん求め続けてしまうことがあるので、気になるときは叱ったり指摘したりせずに、他の楽しそうな活動に誘ってみてください。
穏やかな時間が長ければ長いほど、子どもの脳に言葉が届きやすくなります。
◆②発達障害の「感覚」を育てるのはママとの会話
実は自分の気持ちをいろんな言葉にできるようになると、感覚特性が落ち着き、感情のコントロールもできるようになってきます。
さらに、感覚探求で何でも触る子・刺激を求める子には、制限の少なくて済む外遊びがおすすめです。
無限の刺激を見つけられるのは何と言っても自然の中ではないでしょうか。
外が苦手な子ももちろん室内で様々な刺激を味わうことができます。
感覚探求を落ち着かせるための感覚統合のトレーニングは、お家でできるものもいろいろあります。
たくさんのものに触れ、たくさんの刺激を味わうことで発達が促されます。
大切なのは、子どもが今何を感じているのか?ぜひ親子で会話をしてみてくださいね。
おすすめは、ひとつのキーワードを深める会話です!
触ったときにママはどう感じたか子どもに伝えながら、ゆっくり会話のやり取りをしてみてくださいね。
例えば石けんの泡で楽しく遊ぶことができたら、触感の好き嫌いだけでなく
「泡って、生クリームに似てるよね!どう思う?」
「生クリームで遊べるとしたら、何してみたい?」
と、ひとつのキーワードでどんどん会話を楽しんでみてください。
大人が思いつかないような子どもの豊かな発想が聞けるだけでなく、感覚を言葉にする力が育っていきますよ。
うまく言葉にできない子には、「ふわふわして気持ちよかったね!それともしゅわしゅわが楽しかったかな?」など、子どもの感覚と感情を言葉にする手助けをしてあげてください。
小4になったわが家の娘の感覚探求は、今では困りごとではなく不思議を感じる探求のアンテナにグレードアップしていますよ。
楽しい子育てをしたい方におすすめです!
執筆者:本田ひかり
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)