何回呼んでも返事をしない、遊びをやめない、言われたことが分かってないみたい…そんなお子さんに、「来年は小学校入学なのに大丈夫?」と不安になっている年長さんのママはいませんか?入学までに身につけたいたった一つの力について、私の体験を交えてお伝えします。
1.小学校入学までに身につけたいたった一つの力
小学校入学が近づくにつれて、「この子、大丈夫かな?」と不安を感じる場面はありませんか?
たとえば、
・ママが声をかけてもなかなかYouTubeをやめない
・何度言ってもお風呂に入らない
・ママの話をさえぎって、自分の話したいことを一方的に話す
特に年長さんのママなら、
「来年は小学生なのに、こんなに人の言うことを聞かなくて大丈夫かしら?」
と心配される方も多いでしょう。
春の入学・進級の時期までに、このようなタイプのお子さんが特に身につけたいのは、人の話を『素直に聞く力』です。
人の話を『素直に聞く力』がなぜ入学までに必要なのかというと、
それはズバリ、小学校の集団生活では、ほとんどの指示が口頭で伝えられるからです。
授業中は、先生の話を聞いて理解し、それを素直に受け止めて、次の行動に移すことが求められます。
また、友達と遊んだり協力したりする場面でも、相手の言っていることを素直に聞く力は欠かせませんよね。
この、人の話を『素直に聞く力』は、身近な人との日々のコミュニケーションを通じて育むことができます。
しかし、この力は一朝一夕に身につくものではありません。
だからこそ、今からおうちで取り組んであげる必要があります。
2.小1の息子が、授業がつまらなくなった理由
我が家では、入学前にこの力を十分に育むことができていなかったため、息子の学校生活で壁に直面しました。
私の息子は小さなころから、遊びに夢中になっていると、
何度声をかけてもなかなかお風呂に入らない、
公園からなかなか帰らない…といったことがよくありました。
私はこちらのペースで行動してくれないことに困ってはいましたが、
幼稚園では問題なく楽しく過ごしていたので、
「まだ小さいしこんなものかな」と思っていました。
しかし、入学して間もなくすると「学校が楽しくない」と登校を渋るようになり、
そのうち1日中授業にも付き添う母子登校が始まりました。
母子登校をする中で気づいたのは、息子が授業中に先生の指示をよく聞き洩らしているということでした。
たとえば、 先生が「ハサミを出しましょう」と言ったのに、教科書の他のページに落書きをして聞いていない
→ 何をしたらいいかわからなくなる
「おはじきを触るのをやめて黒板を見て」と言われても、おはじきをいじることに夢中
→ 注意される
そんな場面が1日に何度もありました。
次第に息子は「授業がつまらない」と言うようになり、教室での一斉授業を嫌がるようになりました。
先生の指示を聞き逃してしまうことで授業内容が理解できなくなり、それが「つまらない」と感じる原因だったのです。
私は「息子は聞く力が弱いのだろうか?」と悩みながら、理由を探る日々が続きました。
3.話を聞いていないのは発達障害グレーゾーンの特性が関係していた!
その後、子どもの学校生活で困難を感じる理由を探る中で、発達検査を受けたところ、
発達障害グレーゾーンだとわかりました。
そして、我が子の集団生活のつらさには、発達障害グレーゾーンという特性が関係していることに気づきました。
発達障害グレーゾーンの子どもには、以下のような特徴が見られることがあります。
✓ やっていることに夢中になり、自分に声をかけられたことに気づかない
✓ 注意が散りやすく、話を最後まで聞けない
✓ 耳からの情報を処理するのが苦手で、言葉だけでは理解できない
✓ 短期記憶が弱く、言われたことをすぐに忘れてしまう
つまり、言葉を「聞いていない」だけでなく、聞こえていても「理解できていない」状態になりやすいのです。
さらに原因として、子どもがママの話に良いイメージを持っていないことも挙げられます。
発達障害グレーゾーンの子どもは、その特性からこれまで家庭や幼稚園で叱られたり否定的な接し方をされる経験が多くなりがちです。
そのような場合、ママが話そうとすると
「また小言を言われるぞ」
「何かやらせようとしているな」
といったネガティブなイメージが先行して、耳を閉じてしまうのです。
だからこそ、子どもが「素直に人の話を聞きたい!」と思える環境をつくることが大切です。
そのためには、まずママの話に対するイメージをポジティブに変えていくことから始めてみましょう。
4.『素直に聞く力』を育むママの声かけ習慣
子どもの『素直に聞く力』を育む最大のポイントは、身近にいる人との心地よいコミュニケーションをたくさん経験することです。
では、具体的にどのようなコミュニケーションをすればよいのでしょうか?
① 小さな『できた』を見つけて褒めのシャワーを!
日常の「できていること」を認め、褒めることから始めましょう。
例えば、 子どもが1人で起きてきたときに、「1人で起きられたね!」
ご飯を食べたら、「たくさん食べてくれて嬉しいな」
といった具合に、具体的な行動を実況中継するように褒めると効果的です。
子ども自身が気に留めていないような小さな行動でも、褒めることで「成功体験」に変えていきます。
これを繰り返し続けることで、子どもは「ママの話を聞くと嬉しい」と感じ、
自然とママの声かけに耳を傾けるようになります。
② 話すときは優しい雰囲気で目を合わせて!
発達障害グレーゾーンの子どもは、言葉の内容だけでなく、表情や声のトーンなどの非言語情報にとても敏感です。
そのため、話すときは目を合わせ、優しくゆっくり伝えることがとても大切です。
せっかく褒めていても、真顔で矢継ぎ早に伝えてしまっては、子どもの脳にも心にも届きません。
それではもったいないですよね!
まずは柔らかい表情や温かい声のトーンを意識しましょう。
これにより、子どもは安心して話を聞きやすくなります。
子どもがママからたくさんの肯定的な声かけを受けると、「ママの話=嬉しい」と記憶されます。
そうなると、さらにママの話に自然と耳をかたむけるようになるという良いサイクルが生まれるのです。
一斉授業を嫌がっていた息子も、先生と協力して次のような声かけをした結果、徐々に教室で授業を受けられるようになりました。
「教科書を出しているね」
「今の発表、大きな声で聞き取りやすかったよ」
「帰る用意、バッチリだね」
このように、細かく声をかけ続けることで、少しずつ行動に変化が見られるようになったのです。
日々の積み重ねが、子どもにとって大きな自信と安心感につながります。
特に年長さんのママは、今こそたくさんの肯定的な声かけシャワーを浴びせてあげましょう!
今から始めれば、春の入学までに十分間に合います。
笑顔で小学校生活を迎えられるよう、ぜひ今日から取り組んでみてください!
執筆者: よしみつ りこ
発達科学コミュニケーション リサーチャー