自閉スペクトラム症(ASD)の子どもは決まったものしか食べない!偏食がひどい!大きくなったら食べれると思っていたのに、いつまでも食べない!そんな偏食に悩んでるお母さんに、どうやったらASDの子どもがいろんなものを食べてくれるようになるのか、その原因と工夫をご紹介します。
1.好きなものしか食べない!ASDの子どもの困りごと
発達障害があるないにかかわらず、子どもは好き嫌いがある子は多いですよね。
しかし、いつか食べるようになると思っていたけど、どんどん偏食になってきた。
そうなってくると栄養面でも心配になるお母さんもいるのではないでしょうか。
発達障害の中でも自閉スペクトラム症(ASD)の子どもは特性により偏食になる子が多くみられます。
特定のものしか食べないと、毎日ご飯を作るお母さんとしては、とても大変ですし、食卓に出した食事は完食して欲しいものですよね。
どうやったら食べてくれるようになるのでしょうか?
今回はASDの子どもの「完食」が叶う、食事の工夫をご紹介します。

2.息子の偏食が止まらない!食事の準備が苦痛に…
うちの3歳のASDの息子は、赤ちゃんの頃はよく食べる子どもでしたが、3歳のころからは家での食事は、白飯や麺などの主食系しか食べなくなりました。
お肉や野菜のおかずにはほとんど手をつけず、白飯にふりかけをかけるだけという食事の毎日が続きました。
息子が食べられるものは白飯、麺類、豆腐、カレー、フライドポテトだけ。
そのほかにもこだわりがたくさんありました。
・ふりかけはたまご味の決まったメーカー以外食べない
・味噌汁は豆腐の時のみ食べる
・カレーは肉、野菜は食べない
・肉や魚、野菜は基本的に食べない
食べられるものが限られるので、家での食事は食べられるものがなくなり、次第に食事の席につくことも嫌がるようになりました。
主食系しか食べないので、成長に必要な栄養が取れていないのでは?と不安になることもありました。
私は毎日献立を考えていますが、他のきょうだいもいるので偏食の息子に合わせてばかりもいられません。
どうしたら食べてくれるか、興味を持ってくれるのかもわからず、食事の準備がとても苦痛でした。
そのようなASDの子どもの偏食は何が原因なのでしょうか。次で解説します。

3.ASDの子どもの偏食は「わがまま」や「好き嫌い」ではない!偏食の原因とは
ASDの子どもの偏食は特性が関係していることがあります。
食べないのではなく、食べられないのです。
ではなぜ食べられないのでしょうか?
ASDの子どもが偏食をする原因を見ていきましょう。
✓感覚過敏
「サクサクとした食感が苦手」「ねばねばが苦手」「噛む音がうるさい」「色々な食感が混ざっているのが苦手」など口の中に入れた時に感じる感覚が苦手になることがあります。
他にも納豆や牛乳などの臭いを苦手に感じたり、いちごなど種があるものの見た目が苦手という場合もあります。
✓こだわり
ASDの子どもは「麺料理は美味しい」「ご飯に何かをかける、乗せるのはだめ」など「これはこうでないといけない」というような強いマイルールを持っていることがあります。
そのため、初めてのものは食べない、知っている味は安心するから食べると言ったことがあります。
また気に入ったものばかりを好んで食べてしまうこともあります。
✓言語能力が未熟
何が嫌なのかをはっきりと言語化することができず、自分の好みや苦手なものをうまく伝えられないということも原因です。
本当は「味は好きだけどこの食感は苦手」と思っていても、うまく言えないから「嫌」の一言になってしまうといったことがあります。
これらを理解して工夫してあげれば、ASDの子どもでも偏食が減り、完食をすることができるようになるでしょう。

4.食卓を楽しい場に!ASDの子どものための食事の工夫
偏食で特定のものしか食べない子どもに、お家でできる食事の工夫を3つご紹介します。
①調理方法を変えて、食感を変えてみる
子どものどういう食感が苦手で、好きなのかを把握しましょう。
例えば、揚げ物が好きな子なら、「サクサクとした食感が好き」なのかもしれません。
その場合、ポテトサラダがべちょべちょして苦手なら、コロッケにしてみたり、春巻きにして揚げてみたりすると、サクサクの食感が好きなら食べられるかもしれません。
好きな調理方法で作ってあげるといいですね。
②見た目をかえる
同じ食事でもお弁当箱に詰めて、かわいいピックに刺したり、彩りをプラスすることで、それだけでワクワクしたりしますよね。
いつもの食事に飽きたらお弁当箱に詰めちゃいましょう!
視覚が優位なASDの子どもは色鮮やかな食卓にすると、気持ちも楽しくなるので良いですね。
③体験してみる
お手伝いができる年齢なら、一緒に料理をしてみることも良いでしょう。
例えば、きゅうりを棒で叩いてもらったり、レタスをちぎって、自分でドレッシングをかけるだけでも食べてみようかなというきっかけになります。
食パンを型でくり抜いたり簡単なことをやって自分で食べるだけでも、食事が楽しいということにつながります。
大切なのは苦手を理解し、無理に食べさせないということです。
一口でも食べて挑戦したならたくさん褒めてあげましょう。
偏食な子どもにはスモールステップで苦手に取り組む姿勢を作ってあげることがとても重要です。

5.ASDの子どもでも完食できる!食事を楽しいと思ってもらえるためにできること
我が家の息子には食べないものは食卓に出すこともしてきませんでした。
しかし、フライドポテトが好きだったので「揚げ物なら食べるかな?何がいいかな?」と考えました。
そして、食べないかな?と思いながらもアジフライを出したところ、小さく切ってあげると息子は初めて食べることができました。
味が気に入ったようで、その日はアジフライを完食することができました。
それ以降、魚はフライにして小さく切ってあげると食べることができるようになりました。
普段食べないからと言って、食卓に苦手な食材を出さないことも偏食を加速させてしまいます。
まずは親も「これは食べないから、出さない」と考えるのではなく、食べてほしいという思いで食事を提供することが大切なんだと気づくことができました。
毎日の献立を考えるのは大変ですが、子どもにとって食事が楽しいと思ってもらえるように、工夫をしていきたいと思います。

執筆者: 豊泉 えま
発達科学コミュニケーション トレーナー