何度言ってもなかなか子どもが動かない!次第にエスカレートしていき、バトル勃発なんてことはありませんか?この記事ではママの声かけをちょっと工夫するだけで発達グレーの子どもが切り替え上手になるポイントをお伝えします。
1.何度声をかけても動かない子どもにイライラしていませんか
「ごはんできたよ」「お風呂だよ」と何度声をかけても無視。
こんな時どうしていますか?
段々と声が大きくなって「もう!何回言ったらわかるの!」と最後には怒鳴り口調になってしまうお母さんも多いと思います。
毎回のことなので、なかなか動かない子どもにイライラするのも無理ありません。
子どもに指示が通らない場合、お母さんの声のかけ方をちょっと工夫するだけでお子さんの反応が変わってきます。
この記事ではなかなか動かない子どもが聞く耳を持ち、動くようになるポイントをひとつお伝えします。

2.我が家の発達グレーっ子は「ごはんだよ」と言ってもいつも無視
私には発達グレーゾーンの5歳の息子がいます。
ごはんの前は決まってYouTubeタイム。
「そろそろごはんだよー」とキッチンから声をかけますが、もちろんノーリアクション。
2回目、お箸やコップを用意しながら「もうごはんできるよ」
3回目、お皿を並べながら「ごはんできたよ」
4回目、食卓について「ごはんできたって言ってるじゃん!」
私の声は徐々に強くなっていきますが、息子は相変わらず完全に無視してYouTubeに夢中。
私も徐々にエスカレートして「もう何回言えば分かるの!」とタブレット端末を取り上げてYouTubeタイム強制終了ということがよくありました。
息子は「はい…」と渋々食卓につくこともあれば、「今いいところだったのに!」と逆ギレすることもあり、こんなやりとりにいつも頭を悩ませていました。
ごはんだけではなく、お風呂や歯磨き、朝の着替え、公園からの帰宅時など、切り替えが苦手な息子。
お風呂に入るまでに1時間、公園で「おうちに帰ろう」と言い始めてから帰路につくまでに2時間。
「なんでひとつのことにこんなにも時間がかかるんだろう」と大きなため息をつく毎日でした。
そこで「時計の針が6までにしようか」とか「あと〇回やったら終わりにしよう」と本人と終わりの時間や回数を決めることも試しましたが、
守れないことが多く、結局子どもが納得するまで時間が延びていったり、途中で私が無理やり終わらせるということの繰り返しでした。

3.聞いていないのではなく、そもそも聞こえていない
何度も言っているのに動かない子どもは、聞いているようで聞いていません。
そもそもお母さんの言っていることが耳に入っていない場合が多いです。
まして、私のようにキッチンから言っているようでは全く子どもの耳に届いていません。
発達グレーの子どもによく見られますが、切り替えができない時は「過集中」の状態にあると言えます。
「過集中」とは、ひとつのことに集中すると他のことが目にも耳にも入らないほど没頭してしまうことです。
この集中している状態で声をかけても意味がないのです。
私たちも自分がスマホでネットショッピングに夢中になっている時に、遠くから声をかけられても気がつかないということはありませんか?
それでも、玄関のチャイムなど大きい音には反応するということがあるかと思います。
子どもも同じで、YouTubeに釘付けになっていた最中に、お母さんの大きい声が聞こえて声の方を向いた。
ここでやっと過集中の状態からスイッチオフになったところです。
しかし、その時はすでにお母さんは、すごい怖い顔で「だから、ごはんって言ってるでしょ!」と激怒している、という状態です。
母親側からしてみれば「何回も言ったじゃん。いいかげんにしてよ!」となるところですが、
実は子どもにとっては1回目に言われた感覚で「なんでお母さんこんなに怒っているんだろう」とミスコミュニケーションが生じているのです。

4.「いつ聞いても1回目」の声かけテクニック
こんなミスコミュニケーションを発生させないためには、何回目に聞いたとしてもまるで1回目かのように聞こえるのがポイントです。
すぐに行動に移さなくても、同じ口調で、穏やかに、イライラせず、1回目と同じトーンで繰り返すのです。
もちろん少ない回数で動いてくれるに越したことはないので、過集中スイッチをオフにするために、肩や手に触れるなどスキンシップをとりながら話しかけるのもとっても効果的です。
我が家の場合はこんなやり方をしていました。
1、「〇〇ちゃん、ごはんだよ。YouTube終わりにしよう」→ 動かない
2、見て見ぬふり 3分後
3、「ごはんだよ。YouTube終わりにしよう」(1と同じトーンで) 2と3を繰り返す

5.YouTubeを終わりにして食卓へ。「終わりにできたね!ありがとう!」
まるでお母さん壊れちゃったかな、と思うくらいロボットのように同じセリフを同じトーンで繰り返します。
この対応をしていくと、子どもがママの声に気づいた時、その声にイライラを感じ取らず、素直に聞き入れる可能性が高くなります。
そして行動し始めたらすぐに褒めてあげることも大切です!
褒められると「切り替えができた」=「いいこと」と脳にインプットされ、その行動が強化されていきます。
息子もこれを繰り返すことで以前よりも切り替えが上手になりました。
何より私自身が無駄なエネルギーを使わなくなったので、イライラすることが激減しました。
今日は何回目で動いてくれるかな、と楽しみながら声かけをしています。
何度言っても動かなくて、ヒートアップしちゃう!とお困りのママがいたらぜひこの方法を試してみてください。

執筆者:渡辺 さくら
発達科学コミュニケーション リサーチャー