子どもの特性や配慮をお願いすることは、学校が苦手な子どもを持つ親にとって重要なことです。しかし、先生にお願いするとき、何を伝えたら良い?電話?連絡帳?と迷ってしまいませんか?先生に子どもの特性や不安をうまく伝えるためのポイントを解説します。
1.先生に個別対応をお願いするとき、どう伝える?子どもが安心して過ごせるためのサポート方法
幼稚園や学校での集団生活で子どもが苦手なことや不安を抱えていたら、学校の先生に我が子に合った対応をお願いしたいですよね。
でも、
・これって先生に言った方がいいのかな?先生は忙しそうだから迷惑じゃない?
・電話?連絡帳?手紙?どの方法が良いの?
・何をどう伝えたらわかってもらえるの?
・年度末に先生と面談したけれど、新しい担任の先生に申し送りがされていなかったみたい…。また伝えるべき?
こんなふうに迷うことはありませんか?
今はまだ大きな問題が起こっていないから…と伝えるのを先延ばしにするのはオススメしません。
日頃の気になることや大事なことを先生が知っているだけで、お子さんが学校で過ごしやすくなるからです。
子どもが自分の気持ちや状況を言葉にするのはまだ難しい場合もありますし、学校での様子をママが想像するのは限界があるでしょう。
そんなとき、先生がお子さんの特徴を理解していると、声をかけたり、サポートしたりしてくれるかもしれません。
学校生活の中で「自分を理解してくれる人」がいることは、お子さんにとって大きな安心感につながります。
特に不安が強い子は、想像で不安が膨らみ、何も行動できなくなることがあります。
それが登校しぶりや不登校につながることも。
そのような事態を防ぐためにも、事前に先生に伝えておくことが大切です。

2.私の後悔から学んだ「もっと早く先生に相談すればよかった」体験談
私には不安が強い小4の息子がいます。
小さい頃から初めての環境や初めてのことにはしり込みしてしまうタイプで、幼稚園にも慣れるまで時間がかかっていました。
小学校に入学したときも、「入学式はどんなことをするの?どれくらいで終わるの?」と何度も聞いてきて「この子、大丈夫かな…」と心配していました。
入学後も毎日不安そうにしていて、「学校、面白くない…行きたくないな…」と言いながら通っていました。
私は、「同じ幼稚園だったお友達が同じクラスにいないから、寂しいのかな。でも幼稚園でもすぐに友達ができていたし、何とかなるだろう」とのんきに考えていました。
しかし、1か月経っても慣れるどころか逆にどんどん強くなってくる行き渋りに、「これって先生に相談したほうがいいのかな?」と迷っていました。
そしてGW明け、息子は学校に行けなくなったのです。
その後、先生と面談で伺った学校での様子は
「先生の話もよく聞いているし、授業でも発言したり、参加できている。休み時間にお友達と話している時もあったので、そんなに気になっていなかった」ということ。
家で毎日不安や心配を口にしていたことを先生にお話しすると「じゃあ、学校ではとても頑張っていたんですね…」と言われました。
私はこの時、学校の先生にもっと早く家での気になっていたことを伝えられていたら良かったと後悔しました。
「これくらいのことをいちいち相談していたら、迷惑かな…」
「今はとりあえず学校に行けているし、もう少し様子を見ようかな…」
「新入生はみんな多少の不安を持っているものだし、今相談しても心配しすぎのママって思われるかな」
と勝手に思い、様子見をしてしまいました。
息子の性格はわかっていたのに…
もっと早く先生に相談することもできたのに…
息子が登校拒否をしたことで、
・息子には学校に通うだけでたくさんの不安があり、自分だけではどうにもできないこと
・先生に相談することで、解消できる不安もあったこと
・不安が強い子には『予防』が大切ということ
ということがわかりました。
◆知っておきたい!学校で受けられる配慮
また、2025年現在、国公立・私立問わず、障害者差別解消法により障害のある子どもが他の子どもと平等に学べるよう「合理的配慮」を提供することが求められています。
合理的配慮の例(※内閣府「障害者差別解消法【合理的配慮の提供等事例集】」より抜粋)
・授業中に指名されることが不安 → 担当教員が事前に情報共有し、指名を控える
・読み書きが苦手 → タブレットで黒板を撮影して使用
・物音に敏感 → 耳栓や静かな別室での学習環境を提供
・初めての活動が不安 → 活動内容や手順を事前に説明して安心感を与える
ただし、合理的配慮は「学校側に経済的・体制的に無理のない範囲」での提供が前提となります。
どの程度の配慮をしていただけるかは、学校との相談が必要です。
では、先生に配慮をお願いするタイミングや方法はどうしたら良いのでしょうか?

3.先生に伝わる!効果的な連絡方法とポイント3つ
実は先生にお願いをするときにお母さんの声を先生により届きやすいものにするため、欠かせないポイントがあるのです。
私がこれまで先生と子どもの情報を共有したりお願い事を伝えたりしてきたかをご紹介させていただきます。
参考にしていただけると幸いです。
◆①先生への感謝の気持ちは必ず伝える
まず、私は必ず先生に毎回お礼や感謝の言葉を伝えるようにしています。
先生は本当に超多忙です。
そんな中、一人ひとりに個別対応をしてくださることは、決して当たり前のことではありません。
それでも我が子が楽しく学校で過ごせるようにプラスのサポートをしていただきたいのが親の本音ですよね。
だからこそ、「話し合いのお時間をとってくださりありがとうございます。」などの感謝のワードを直接伝えたり、連絡帳に一言書き添えたりするなど、上手に活用してみましょう!
先生に気持ちよく対応してもらえるように毎回伝えることをオススメします。
◆②記録に残る形で伝える
私は放課後の電話よりも手紙に書いて連絡帳にはさんで持たせることが多いです。
また、連絡帳に直接書くと、不安が強い息子は心配する場合があったので、私は連絡帳ではなく別の紙に書いていました。
そして、お忙しい先生が読みやすいように、
・ふせん1枚やA4用紙1枚までの量
・シンプルにポイントだけ
を意識しています。
手紙のメリットは書面で残すことで、先生が何度でも見返すことができ、他の先生にも共有してもらいやすいことです。
あれもこれもと1度で伝えようとせず、伝えきれなかったことは、また次回にして渡しても良いと思います。
次にお渡しするとしたら、
「(先生がしてくださった対応で)子どもが家で嬉しそうに〇〇と話してくれました」
という感じで、どんな良い変化が起きたのか書き添えると、先生にも子どもの反応がわかるのでオススメです!
◆③お家での対応をしっかり伝える
「こういう様子のときは一声こうやってかけてもらうと助かります。」など、より詳しい内容だと伝わりやすさがアップします。
例えば、息子は学習内容によって気持ちが浮き沈みするので、
「宿題が苦手そうな内容のときは、やる前に『こんな問題は、こうしたら上手くできたよね』と一緒に振り返ったり、解き方を思い出させたりすると落ち着いてできます。」
といったように先生にお家での対応を具体的に伝えると、先生も「それならできそう」と対応しやすくなります。

4.先生との連携で安心感アップ!親子で学校生活を楽しくするために
学校に行けるようになってからは、先生とコミュニケーションを取るようにして、家や学校での様子を先生と共有するようにしています。
先生と情報を共有しておくと、不安が大きくなる前に声をかけて下さったり、気にかけてくれます。
なので家に帰ってから、以前のような疲れてグッタリしている様子も見られなくなりました。
日頃から信頼関係を築いておくと、ちょっと不安な様子が見られた時に先生に聞きやすいですよ。
先生も気にしてくださっていることが多いので、放課後に電話で息子の不安の元はきっとコレだろうという情報を教えていただけることもあります。
不安の原因がわかっていれば、それとなく子どもに聞くこともできますし、一緒に作戦会議をすることもできます。
だから私は、新年度が始まると、まずは担任の先生に子どもの特性や不安を早めに伝えるようにしています。
お子さんの困りごとやサポート方法は一人ひとり異なります。
ママだからわかる子どものオンリーワンのトリセツを先生にお渡しすることで、子どもも安心し、心の余裕が生まれ、親子共に穏やかな毎日を送ることができます。
お子さんが新学期を安心してスタートできるように、先生と一緒にぴったりのサポートを考えていきましょう。

執筆者: よしみつ りこ
発達科学コミュニケーション アンバサダー