「小学校のプールが嫌だ!」と水泳の授業を異常に嫌がるお子さんの様子を心配に感じていませんか?感覚過敏のある子どもは学校のプールが苦手な子が多いようです。本記事では、その理由と水泳の授業が始まる前にぜひやっておいてほしい親の対応をご紹介します。
1.学校のプールが嫌だ!水泳の授業を嫌がっていませんか?
6月や7月になると、多くの小学校でプールの授業が始まります。
クラス全員で着替え、プールサイドに並び、水に入って泳ぐという活動は、多くの子にとっては楽しい時間かもしれません。
しかし一方で、毎年のように強く拒否反応を示す子もいます。
「前日から不機嫌になる」「プールの日だけ登校しぶりが出る」「水に入ると泣き出してしまう」――。
こうした様子が見られる場合は、単なるわがままではなく、感覚過敏による苦痛の可能性があります。

2.小学校のプールだけが苦手…。感覚過敏がある息子の話。
私の息子は、ASDグレーゾーンの特性を持っており、小さい頃から感覚過敏の傾向があります。
普段の学校生活には問題がないものの、小学校1年生のとき、初めてのプールの授業で激しく抵抗しました。
「プールの日はお休みしたい」「なんで水着を着なきゃいけないの?」「汚いし、寒いし、嫌だ!」と言って、ひどく泣いて訴えてきました。
最初は「みんなもやっているから」「慣れれば大丈夫」と思っていましたが、無理に登校させた結果、体調不良を訴えるようになり、しまいには登校そのものを拒否するように…。
「これはただの嫌がり方ではない」と気づいた私は、感覚過敏について専門家に相談し、学校と相談を始めることになりました。

3.なぜ学校のプールが嫌なのか?感覚過敏の子どもの気持ち。
感覚過敏とは、音や光、触覚、温度、においなどに対して、一般の人よりも敏感に反応してしまう特性のことです。
感覚過敏のある子どもにとって、プールはまさに“刺激の洪水”です。
たとえば…
・水着の感触がチクチクして痛い
・濡れたタオルや服の感覚が気持ち悪い
・大勢の子どもが騒ぐ声がうるさくてつらい
・水の中に顔をつけるとパニックになる
・冷たい水温に強い不快感がある
・更衣室で着替えるのが恥ずかしくて苦痛
・虫などが浮いていて清潔ではない
など、他の子どもたちが何とも思わないことや気づかないことが、感覚過敏の子どもには耐えがたい経験となっていることが少なくありません。
私の息子の場合、「プールの水が冷たいから息ができなくなる」「虫が浮いていプールに入るのが不潔で嫌」ということがプールに入りたくない大きな理由でした。

4.水泳の授業が始まる前に親ができるコト
では、水泳の授業が始まる前に親ができることは何でしょうか?
以下のような対応が役立ちます。
◆①子どもの苦手ポイントを丁寧に聞き取る
まずは、お子さんの気持ちをしっかり受け入れてあげましょう。
「慣れれば大丈夫」「みんなも我慢しているんだから」など、ママが言いたいことはまずは保留です。
「嫌だったんだね。」
「気持ちが悪いんだね。」
「ちゃんと気持ちを言ってくれてありがとう。」
子どもの気持ちに寄り添いながら、「なぜ嫌なのか」「何がつらいのか」をしっかり丁寧に聞き取りましょう。
◆② 事前にプールの環境を確認する
可能であれば、授業が始まる前にプールを見学させてもらうとよいでしょう。
場所、音、雰囲気を事前に知るだけで、不安が和らぐこともあります。
また、見学をする際は、できれば親も同伴させてもらえるといいですね。
不安に思っていることを確認しながら、一つ一つ安心に変えていけるような声かけをするようにします。
「もしどうしてもダメなら、見学でもいいからね」と子どもに逃げ道を残してあげることを忘れないでください。
◆③ 学校に相談する
感覚過敏について担任の先生や特別支援教育コーディネーターに説明し、合理的配慮をお願いしましょう。
私は
・冷水のシャワーは無理やり浴びさせることはせず、本人のタイミングに任せてほしい。
・プールに入る前に、水温を確認して、入水するかは本人の選択に任せてほしい。
・プールに浮いている虫を取り除いてほしい。
といったことに配慮していただきました。

5.学校との連携で水泳の授業を受けることできるようになった息子
私の息子の場合、学校と相談を重ね、まずは「プールサイドでの見学」からスタートすることになりました。
息子には「無理に水に入らなくてもいい」と伝えたところ、少しずつ表情が和らぎました。
2回目のプールの時間からは、自分から「少しだけ足を水につけてみたい」と言い出し、3回目のプールの時間には、短時間だけ水に入れるようになりました。
そして、1年生最後のプールの時間では、授業参観だったのですが、自分からシャワーを浴び、みんなと楽しく水泳の授業を受けることができていました!
学校側が「水に慣れることを目標にしてよい」と柔軟に対応してくれたおかげだと、心から感謝しています。
おわりに
小学校のプールが嫌だ!という子どもには、見えにくい理由が隠れていることがあります。
特に感覚過敏のある子どもにとって、水泳の授業は想像以上に大きなストレスです。
「みんなと同じように泳がなくていい」「できることを少しずつやればいい」と子どもを受け入れ、学校と連携しながらサポートしていくことで、少しずつでも前に進むことができます。
大切なのは、「嫌がる=甘え」と決めつけず、その子の感じ方に寄り添う姿勢です。
子どもが安心して学校生活を送るために、親ができることはきっとたくさんあります。
