自分で「やる」と決めた習い事なのに、初日にわいてきた「やっぱり行きたくない」という不安。ASDの娘がどうやって「やっぱり行く」と自分で思えるようになったのか、親としての関わり方とそのプロセスをお届けします。
1.習い事の初日に「行きたくない…」
本人が「やりたい」と言ったから始めることにした習い事。
でも、いざ“今日から”というタイミングで「やっぱり行きたくない」と言い出したことはありませんか?
「えっ?自分でやってみたいって言ったのに・・?」
数か月前、我が家でも自閉スペクトラム症(ASD)の娘に同じことがありました。
でも、今では毎週楽しく通っています。 私がやって良かったことを紹介します。

2.完璧主義で不安が強く困っていました
今年の3月から当時小4の娘が新しい習い事を始めることになりました。
2月中旬に家族みんなで見学へ行き、「やってみたい」と言うので3月からチャレンジしてみることになったのです。
そして迎えた初日。娘が言い出しました。
「やっぱり行きたくない。」
そう言い出すだろうなぁと思ってはいましたが、やっぱりか・・・
娘はもうひとつ習い事をしていて、家で練習がうまくいかないと癇癪を起こしたり、「もう今日は行きたくない!」と言うことがありました。
「練習だから、完璧にできなくていいんだよ。先生と一緒にやってみよう。」と先生が言ってくださることや、
私も発達科学コミュニケーション(発コミュ)で子どもへの対応を学んだことで「習い事に行きたくない」は落ち着いてきていました。
しかし、新しい習い事はまた話が別だったようで、娘の心には不安がモクモクとわいてきていました。
どうやって「行きたい」気持ちに持っていくか、私は頭の中でグルグル考えました。

3.これ以上不安を膨らませない、モヤモヤを取り除く
ASDの子どもは、一般的に新しいことや見通しの立たないことに対して不安が強くなりがちです。
娘もちょっとしたことで不安を感じやすく、初めての場所や人が得意ではありません。
実際、「今日はどんなことをするの?」と何度も聞かれ、「お母さんも一緒に付いてきてほしい」と言われました。(親は送迎のみで見学は基本できない習い事でした。)
本人がやってみたい、できるようになりたいと始めることにした習い事なのに、ワクワクや楽しみよりも不安が勝っている状態です。
この状況で私にできるのはこれ以上不安を膨らませないこと、そして娘のモヤモヤを取り除いてあげることだと感じました。

4.不安を否定せず認める
今までの私だったら、「〇〇がやりたいって言ったんでしょ!」「もう申し込んだのに行かないなんて無理だよ。今さらそんなこと言わないで!」と頭ごなしに否定していたと思います。
発コミュを学び、自身の否定の多さを反省していた私は、まずはただ話を聞くことにしました。否定は一切しません。
話を聞いていると娘の場合は主に、『何をするかわからないことへの不安』と『お母さんがいないことへの不安』があるようでした。
「何をするか」は私にもわかりませんでした。
先生にも確認できる状況ではなかったため、その習い事のホームページとYouTubeを一緒に見てみました。
それから、私の過去の不安について話しました。
「お母さんも、新しい仕事に行く時はドキドキして不安だったよ~」
次に娘が年長から続けている習い事の話。
「〇〇組さんから始めた習い事。最初はドキドキしたと思うけどこんなに長く続いてすごいね~」
そして、「〇〇だったらできると思うんだけどな・・・」と話しました。
『お母さんがいない』ことへの不安は、基本親は送迎のみだと言われていたけど、「中へ入って見学が可能か行った時に先生に聞いてみるね」ということで落ち着きました。
こうして話を否定することなく、とことん不安に付き合っていたら、娘がぼそっと「やっぱり行く」と言ったのです。 心の中でガッツポーズしました。

5.肯定的な関わりで“成功体験”を
実は、「親が見学可能か聞いてみるね」って話したものの、先生と話すタイミングがなく、結局娘ひとりで送り出すことになってしまいました。
2時間、心配で心配でしょうがなかったのですが、終わった後に「お母さん!新しいお友達ができた!」と嬉しそうに車に乗ってきた娘を見て、泣きそうなのを必死に我慢しました。
もともと興味のあったことだったということもあり、最初の「行きたくない」を乗り越えた今、毎週楽しく通っています。
子どもの不安を否定せず、受け止めて寄り添うことが、何よりも良かったのかなと思っています。
不安な気持ちも肯定して、「成功体験」を積み重ねることができたらいいですね。

執筆者: しばた みわか
発達科学コミュニケーション アンバサダー