寝る前になると不安で泣き出す、なかなか寝つけない…そんな小学生の姿に戸惑うママへ。実際の体験をもとに、寝つきが悪くなる理由や子どもの気持ち、家庭でできる寄り添い方をやさしく紹介します。
1.小学生になっても寝る前に泣く…そんなわが子に悩んでいませんか?
「小学生なのに、まだ1人で寝られないなんて…」
「寝る前になると泣き出してしまって、どうしたらいいの?」
「寝たと思ったのに、私がそばを離れるとすぐ起きてきて…一人時間なんて夢のまた夢。」
このように寝る前に不安になったり、寝つきが悪いお子さんの対応に悩んでいませんか?
私も、まさに同じように悩んでいました。
うちの子は小学生になっても、「寝る前」になると不安で泣き出すことがありました。
「明日、学校かあ…」
「給食、食べられなかったらどうしよう」
「先生の言い方が嫌だった」
そんな不安が一気に押し寄せるのか、布団に入ってからポロポロと涙をこぼすんです。
やっと寝たと思って私がベッドを出ると、すぐに起きて「ママ…一緒に寝よう」と探しに来る。
朝早く起きて自分の時間をとろうとしても、布団から出た瞬間に「ママー!」と不機嫌そうな声が響いてくる…。
最初のうちは「大丈夫だよ」「早く寝よう」と声をかけていたものの、なかなか泣き止まず、寝るのが遅くなると、こちらもイライラしてしまって…。
「もう、早く寝てよ!」ときつく言ってしまったこともあります。
「このままでいいのかな」
「いつになったらひとりで寝られるの?」
ネットで調べて、寝室の照明を調整したり、生活リズムを整えたり、運動させたり、できることは色々試しました。
それでもうまくいかない…
ある夜、「なんか怖いこと考えちゃう… 怖い夢見そう…」と泣きながら不安気に言う子どもの顔を見て、はっとしました。
「このままじゃだめだ。この子は『甘ったれてる』のではなく、安心できる場所を求めてるんだ」
甘えでも、怠けでもなく、これは子どもからのSOS。
だから私は、子どもへの関わり方を見直すことにしたんです。
この記事では、そんな私の試行錯誤の体験と、子どもの《安心スイッチ》を育てる関わり方をご紹介していきます。
あれこれ試してもうまくいかなかったのは、 「子どもの不安」そのものに目を向けていなかったからかもしれません。
まずは、なぜ子どもが寝る前に不安を感じるのか―その「根っこ」を一緒に見ていきましょう。

2.繊細で敏感な子どもが寝つきにくい理由とは?
子どもが寝つけないとき、大人からは理由がよくわからず「どうして?」「疲れてるはずなのに」と思うこともあります。
でも、子どもの行動の裏には、必ず理由があります。
子どもの不安には、目に見えない原因が隠れていることが多いからこそ、単に「早く寝かせる」ことよりも、「安心して眠れる土台」を育てる関わりが必要なのです。
特に、発達障害グレーゾーンやHSC(ひといちばい敏感な子)のような繊細な子は、五感が敏感だったり、感情を深く感じ取ったりするため、不安を感じやすい傾向があります。
例えば、
日中のストレス:学校生活や友達関係で緊張が続いている
完璧主義・責任感の強さ:「失敗したらどうしよう」とプレッシャーを感じやすい
感覚過敏:暗い部屋、物音、布団の感触などに敏感で過剰に受け取ってしまう
想像力・思考力の発達:怖い話やニュースの内容をリアルに想像してしまう
子どもが泣くのは、不安を言葉にできない、あるいは言葉にしても伝わらないと感じているサインなのです。
また、厚労省によると、このように不安を感じると自律神経が緊張し、寝つきが悪くなると言われています。
だから寝る前に不安を感じて泣いたり、ぐずったりするのですね。
そして、この睡眠不足が発達特性がある子どもの困りごとを強めてしまい、さらにストレスを溜めてしまうという悪循環になってしまいます。
だからこそ、不安を和らげて穏やかにぐっすりと眠ってほしいですよね。
では、こうした不安の背景を知った上で、どう関われば子どもが安心して眠れるようになるのでしょうか?

3.不安が強い子ほど、脳の土台を育てる関わりが大切
実は、不安が強い子どもほど「脳の土台=感情のコントロールや安心感を育てる力」を育てる関わりがとても大切です。
というのも不安が強い繊細な子は、「この感覚しか受け付けない!」「この感覚でしか安心できない!」といったように、そもそも脳が受け止められるキャパが少ない状態。
だから私は《子どもの脳を育てる子育て》にシフトしました!
発達心理学では、「子どもの感情は、安心できる大人との関わりの中で育つ」と言われています。
だからこそ、子どもの脳にしっかり届き、発達を助ける声かけをすることがポイント。
親とのやり取りのなかで、子どもは「自分は大丈夫」「見守ってもらえている」と感じられるようになり、少しずつ“安心して眠れる力”が育っていきます。
私が実際にやって効果のあった脳を育てる関わり方をご紹介します。
①「あなたのことを見ているよ」が伝わる肯定の声かけ
不安になる夜だけではなく、日中にも肯定的な声かけを意識するようにしました。
例えば
実況中継する:「着替えたんだね」「もう歯磨きしてるね」
興味関心を示す:「そのマンガ、面白いね!」「その動画、どんなところが面白かった?」
普段の会話からたくさん肯定の声かけをすることで安心の土台ができてきます。
②寝る前は親子の『安心時間』をつくる
「今日のうれしかったことベスト3を教えて~」
「好きな歌を一緒に歌おう♪(しっとりめの曲がおススメ)」
など、ポジティブな気分になれる会話を取り入れたり、読み聞かせやマッサージをしたりして穏やかな気持ちなれるような工夫をしました。
③不安を受け止めるリアクション
不安を口にしたときは否定したり、説得したりアドバイスしたりはしません。
「そっか、それが心配なんだね」とまずは受け止めましょう。
柔らかい表情や声のトーンもポイントです。
そしてじっくりとお子さんがどんなことに不安を感じているのか、観察してみましょう。
このような子どもの脳を育てる関わりを続けたところ、息子の不安は和らいでひとりで寝れるようになりました!
子どもの寝る前の涙には、見えない心のSOSが隠れていることがあります。
不安でいっぱいの気持ちを、「甘え」や「わがまま」と決めつけず、親子で乗り越えるためのヒントとして受け取ってみませんか?
子育てに正解はありません。 でも、子どもをよく観察しながら、学び、関わり方を少しずつ変えていくことで、子どもの心はたしかに育っていきます。
「どうしてこんなふうに泣いてしまうんだろう?」 そんなふうに感じたときこそ、子どもへの理解を深めるチャンスです。
お子さんの「安心スイッチ」を育てながら、あなた自身の子育ても、少しずつ楽に、そして豊かになっていきますように。

*よくある質問・ご相談*
Q.小学生になっても一人で寝られない…いつになったら眠れるようになる?
Q.寝る前の『安心時間』をつくるおススメな方法とは?
執筆者:いたがき ひまり
発達科学コミュニケーション マスタートレーナー