小学生の後追いやママべったりが続くのは、愛情不足ではなく母子分離不安の可能性も。原因と正しいサポート法を専門家がわかりやすく解説します。
1.小学生になっても後追いするのは、我が子が心配…。
「小学生になっても、朝になると“ママ行かないで!”と泣いて後追いする…」
「学校へ行くときも、私の姿が見えなくなるとパニックになる」
そんなお子さんの様子に、胸が締めつけられる思いをしているママはいませんか?
毎朝の登校時間が親子にとって“つらい時間”になり、「どうしてうちの子だけ?」と悩んでしまう方も多いでしょう。
この記事では、「ママべったりな子どもは愛情不足なの?」という疑問に寄り添いながら、母子分離不安の理解と、今日からできる実践的なサポート法をお伝えします。

2.「ママべったり」は愛情不足ではなく、母子分離不安が原因かもしれません
「愛情が足りないから、子どもが私から離れられないのかも…」そんなふうに自分を責めていませんか?
でも、それは誤解です。
母親から離れられない「ママべったり」な行動は、愛情不足のせいではなく、“安心感を求めているサイン”だからです。
子どもにとって、ママは世界で一番安心できる存在。
そのママがいなくなる=「安心の拠り所が消える」ことを意味します。
特に小学生になりたての頃は、学校という新しい環境への不安が強く、母親への依存が一時的に強くなる時期でもあります。
つまり、「ママから離れられない」は“成長の途中で見られる自然な反応”でもあるのです。
◆「母子分離不安」とは?
母子分離不安とは、母親や養育者と離れることに強い不安や恐怖を感じる状態のことをいいます。
発達の中で誰にでも多少はあるものですが、強く出ると次のような行動が見られます。
・登校や外出の際に泣いて後追いをする
・「ママと一緒じゃないと行けない」と言う
・ママの姿が見えないとパニックになる
・お腹が痛い、気持ち悪いなどの身体症状を訴える
・学校に行けても、帰宅後に強く甘える
・癇癪を起こす
このような行動は「わがまま」ではなく、子どもの不安の強さの表れです。
「ママがいないと不安」「ひとりになるのが怖い」という気持ちを、子どもなりの方法で表現しているのです。

3.【体験談】小学生になっても後追いがやまない息子
私の息子も、小学生になっても強い母子分離不安を抱えていました。
入学当初は、「もう小学生だし大丈夫」と思っていましたが、現実は違いました。
朝になると「ママと行く!」と泣きながらしがみつき、校門で離れるときは毎回大泣き。
先生に抱えられて教室へ入っていく姿を見るたび、胸が締めつけられました。
「小学生にもなって後追いするのはうちの子だけ?」
「発達障害なのでは?」
そんな不安が頭をよぎり、自分を責める日々でした。
でも、発達科学コミュニケーションのいたがきひまりさんに相談してわかったのは、「母子分離不安」は“異常”ではなく“サポートが必要な特性”だということ。
そして、子どもの不安が強いほど、「安心を増やす関わり」が何よりの支えになるということでした。
そこから私は、息子の不安に寄り添うことを意識するようになりました。

4.「小学生の後追い」への正しい対応法
子どもの不安に寄り添いながら、安心してママから離れられるようになるための具体的なステップを紹介します。
① 無理に突き放さない
「もう小学生なんだから」「泣かないで行きなさい」と言って突き放しても、子どもの不安はおさまりません。
不安が強い子ほど、無理に離されることで恐怖心が増してしまいます。
まずは「ママがいなくても大丈夫」ではなく、「ママはいつでも味方だよ」という安心感を伝えましょう。
それが、分離の第一歩になります。
② 「小さな成功体験」を積み重ねる
いきなり「1人で登校」はハードルが高すぎます。
最初は「校門まで一緒に行く」「先生にバトンタッチしてから5分だけ離れる」など、短時間・短距離から少しずつ挑戦しましょう。
成功できた日は、「今日は泣かずに5分がんばれたね!」としっかり褒めることで、自己肯定感と安心感が育ちます。
③ 不安を否定せず、言葉にしてあげる
「そんなに不安になる必要ないでしょ」と否定されると、子どもは気持ちを抑え込みます。
代わりに、「ママと離れるのが不安なんだね」「怖い気持ちがあるんだね」と、気持ちを代弁してあげることで、心が落ち着きます。
これは、心理学でいう“共感的理解”の基本です。
安心して自分の感情を受け止めてもらう経験が、分離不安を少しずつやわらげていきます。
④ 「ママの笑顔」を見せる
子どもはママの表情を敏感に読み取っています。
ママが「早くして!」と焦ったり、「また泣くの…」と困った顔をすると、その不安が子どもに伝染します。
たとえ内心つらくても、別れる時は、やさしい笑顔で「行ってらっしゃい」を言ってあげましょう。
短い時間でも「笑顔の別れ」は、子どもにとって「ママは大丈夫」「自分も大丈夫」と伝える大きな力になります。
⑤ ママ自身の「安心時間」を持つ
母子分離不安の子を育てるママは、自分の時間を持てず疲弊してしまいがちです。
しかし、ママの心が不安定だと、その不安は子どもに伝わります。
完璧でなくても大丈夫。
「子どもが安心して離れられるようにするためには、まずママが安心すること」
それが何よりの支援です。
家族や支援機関に頼って、少しでも自分の休息を確保しましょう。

5.まとめ
「ママべったり」は、決して愛情不足のサインではありません。
むしろ、ママを信頼し、安心を求める健全な心の反応です。
母子分離不安の克服には時間がかかります。
でも、ママが「大丈夫、ゆっくりでいいよ」と見守ることが、子どもにとって何よりの支えです。
まずは今日から「不安をなくす」ではなく「安心を増やす」関わりを意識してみてください。
そして、がんばるママ自身も、ひとりの時間で心を回復させることを忘れずに。
子どもは、ママの安心を感じながら、少しずつ自分の足で歩き始めます。
