ASDやADHDの子どもは衝動的な行動が目立ちますが、「内言化」と呼ばれる心の中での言葉の発達を促すことで、落ち着きを促せます。メンタルカウントはその有効なトレーニング方法です。
1.子どもの衝動的な行動に悩んだ経験はありませんか?
こんな経験はありませんか?
・お散歩中、目的地が見えたら一目散に走り出してしまう
・友達と遊んでいて興奮すると急に声が大きくなる
・食事中に急に席を立って走り回る
・お店で欲しいものを見つけるとすぐ手に取ってしまう
・「〜したい!」と強く思ったら絶対にやらないと気が済まない
自閉スペクトラム症(ASD)の特性がある私の息子も、こうした衝動的な行動が多くありました。
特に私が困っていたのは、おもちゃを見つけたときです。
欲しいおもちゃを見つけると、その場からなかなか離れることができません。
「今日は買わないよ」「また今度ね」 そう声をかけても、気持ちを切り替えることができず、その場で地団駄を踏んでしまうこともありました。
息子の頭の中はきっと「欲しい」でいっぱい。
私の声は、なかなか届いていないようでした。
私は早くその場を離れたいのに、息子は動けない。
どう声をかければいいのか分からず、私の方が焦ってしまう。
気持ちが暴走する子どもを支えるのは、想像以上に大変だと実感しました。

2.衝動性と「内言化」の関係とは?
この衝動的な行動に対して、息子に効果的だったのが『内言化』でした。
内言化を育てるために、我が家では「メンタルカウント」を取り入れています。
「内言化」とは、心の中で自分に言葉をかける力のことです。
たとえば「もう少しゆっくり歩こう」とか「落ち着こう」と自分に指示を出すイメージです。
一方で、幼い子どもや発達がゆっくりな子は、思ったことや考えたことをつい声に出してしまう「外言化」がよく見られます。
算数の計算中に「これがこうなって…」と声に出して考えたり、気づいたことをすぐ口に出してしまうのも外言化の一例です。
これは記憶や思考を助けるための脳の働きで、内言がまだ十分に育っていないために起こります。
そして、内言化が十分に発達していないと、心の中で自分に指示を出す力が弱いため、衝動的に行動しやすくなるのです。
心の中で数を数える「メンタルカウント」は、この内言化を促進するトレーニングとしてとても有効です。
たとえば、忙しいときや疲れているとき、私たち大人でも「頭がごちゃごちゃして落ち着かない」経験はありますよね。
そんなとき、心の中で「1、2、3…」とゆっくり数えると不思議と気持ちが落ち着くことがあります。

3.ASD・ADHDの特性と内言化の発達の難しさ
ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)の子どもは、内言化が育ちにくい傾向があるといわれています。
言葉で自分の気持ちや考えをまとめる力が弱いため、感情が爆発したり、突然走り出したりする行動が増えやすいのです。
また、ASDの特性として言葉を文字通りに受け取りやすく、コミュニケーションが苦手な面もあると言われています。
だからこそ、声かけはシンプルでわかりやすく、繰り返し伝えることが大切です。

4.我が家で実践したメンタルカウントの効果
我が家では、「お風呂まで心の中で何歩かかるか数えてみよう!」という遊び感覚でメンタルカウントを毎日取り入れました。
また、ジャンプ10回を心の中で数えてから飛びついてくるなど、遊びの中で内言化の練習を続けています。
すると、以前は目的地が見えるとすぐに走り出していた息子が、少しずつ「待つ」ことができるようになり、衝動的な行動が減ってきました。
これは内言が育ち、心の中で自分をコントロールする力がついてきた証拠だと感じています。

5.なぜ内言化が衝動性を抑えるのか?理解して支援しよう
内言化が発達すると、心の中で自分に指示を出せるようになります。
「もう少しゆっくり歩こう」「落ち着こう」という自分への声かけができれば、急に走り出すなどの衝動的な行動を抑えられるのです。
ASDやADHDの子どもはこの力が弱いため、衝動性や感情の爆発が起きやすいのですが、だからこそ内言化の促進が重要です。
無理に「走るな!」と止めるのではなく、メンタルカウントのように心の中で落ち着きを作る練習を一緒に続けることが支援のポイントです。
ぜひ、内言化を促進する取り組みを日常生活に取り入れて、子どもが自分の気持ちや行動を上手にコントロールできる力を育てていきましょう。

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執筆者:おかもと ひろ
発達科学コミュニケーション トレーナー




