「先生が怖い」と泣き、別室で過ごすようになった娘。授業に出られなくなったわが子に、立ち向かわせるのではなく安心を積み重ねた結果、再び戻れるようになった記録です。
1.「先生が怖い。」とわが子が言っていて、困っているママはいませんか?
担任の先生が怖い。
担任の先生と合わない。
先生との折り合いが悪く、学校に行き渋るようになった。
そんな子どもが苦しそうにしている姿を見ると、「学校の対応はこれでいいの?」「先生に問題があるのでは?」そんな思いを抱えているママはいませんか?
私にも同じような経験があります。
すぐ怒鳴る先生への強い怖さから授業に出られなくなった娘が、それを乗り越えて授業に出られるようになった記録を紹介します。

2.先生が怖くて授業に出られなくなった娘
私の娘は小学3年生のときに、すぐに怒鳴る、高圧的な担任の先生に当たってしまいました。
「怖くない?」と聞いてみたこともありましたが、「大丈夫だよ。」と言っていたので特に気にすることはありませんでした。
ところが2学期の学校との面談で養護教諭から、「先生が怖い。」と言って保健室に逃げてくる回数が増えているという報告を受けました。
そして3学期のある朝。
娘がついに「学校行きたくない!」と泣き叫びました。
「先生がいつ怒り出すかわからなくて怖い。」
「自分は怒られていなくても、友だちが怒られているのを見ているのが辛い。」
こうして娘は休みがちになり、登校しても別室で過ごすようになりました。
「あと残り1カ月ちょっとだから…。」「担任の先生が変わればきっと落ち着く…。」 と耐えるしかありませんでした。
4年生になり、担任の先生も変わってほっとしたのも束の間、3年生のときの担任の先生が、娘たちのクラスの授業を受け持つと判明しました。
結局娘はその先生の授業に出ることができず、別室で過ごし続けました。
当時の娘は、発達の節目ともいわれる9歳頃で、自分と周りを比べたり失敗を強く気にする時期でもありました。
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そのため、少しでも失敗すると怒られるかもしれないという恐怖も重なってすっかり自信をなくし、他の授業にも出られなくなっていってしまいました。
私は正直、怒りがこみ上げました。
どうしてあんな指導をするのか。
どうして子どもを追い詰めるのか。
どうして自信をなくさないように配慮してくれなかったのか。
私も学校関係の仕事をしているので、子どもを大切にしていない関わり方が許せませんでした。
先生が悪い。
そう思いました。
だけど同時に、社会に出れば理不尽な人はいる。
ずっと逃げていていいわけじゃない。
将来困らないように、立ち向かえるようにたくましくならないと。
そう思う自分もいました。
でもどうしようもなく、今年の授業も諦めよう、と途方に暮れました。

3.怖いと感じると脳は自分を守ろうとする
娘にとって怖かったのは、怒鳴られた出来事そのものだけではありませんでした。
失敗したら怒られるかもしれないという恐怖。
いつ怒り出すかわからないという緊張感。
それが心の中に強く残っていたのです。
一度強い恐怖を感じると、脳はそれを『危険』として記憶します。
そして、似た状況になるだけでアラームを鳴らします。
教室に入るだけで足がすくむ。
先生の声を聞くだけで体が固まる。
緊張して肩がこわばる。
それは弱さではなく、脳が必死に自分を守っている反応でした。
だからこそ、無理に慣れさせようとするよりも、まずは安心を取り戻していくことが大切な場合があります。

4.授業に出ても出なくても、安心と自信を積み重ねるかかわりを
そこで私は、出られるようにすることよりも、娘がこれ以上壊れないことを優先しようと決めました。
その先生の授業に戻れるようにしよう、立ち向かわせようとは思いませんでした。
とにかくこれ以上、心をすり減らしてほしくなかったのです。
だから私は授業に出られることではなく、家では安心していられることを大切にしました。
まずは日常の中で、できていることを見つけては声をかけました。
「一緒に食べるとおいしいね。」
「笑顔が見られてうれしいな。」
「手伝ってくれてありがとう!助かるよ!」
「大好きだよ。」
学校に行けても行けなくても、授業に出られても出られなくても、評価は変えません。
泣いたり、元気がなかったりするときにはじっくり話を聞いて、娘の思いを受け止めました。
怒りも怖さも、どんな感情も安心して吐き出せるよう心がけました。
不安が強くてどうにかしたいというときには、一緒に作戦会議もしました。
1人で立ち向かわせるのではなく、一緒に考えることを大切にしました。

5.怖いと思っている先生の授業に出られるようになった娘
どんどん安心と自信を積み重ねていった娘。
12月のある日帰宅した娘が、学校での楽しかった話をしてくれました。
聞いているとなんと、トラウマになっている先生が受け持っている授業の話だったのです。
思わず、「〇〇先生の授業、出てるの?」と聞くと、「あれっ?言ってなかったっけ?もう出られるようになったんだよ。」 とさらっと答える娘。
私は驚きました。
私は、もう出られないかもしれないと思っていたのです。
けれど娘は、自分から戻っていったのです。
そして3学期。
あの先生が再び怒鳴ったのです。
娘は帰ってくるなり、「嫌だった‼︎来週は出ない!」と怒っていました。
ところが何が嫌だったのか、何を理不尽だと感じたのか、自分だったらどうするのかを一通り話し終えると、「あ~すっきりした!おやつ食べよっと!」と笑ったのです。
その姿を見たとき、私は気が付きました。
怖さが消えたわけではない。
怖さを感じても、抱え込まずに出せるようになったのだと。
そして次の週。
娘は自分の足で、その授業に入っていきました。
強くなるとは、たくましくなるとは、怖さをなくすことではありません。
怖さを感じながらも、立ち止まり、言葉にし、消化して、また前に進めること。
その力は、安心の中で静かに育つものなのだと、私は知りました。
どんな出来事があっても、戻ってこられる力は、子どもの中に育てて行ける。
私はそう信じています。

\“どう関わればいいか迷う”ママへ/
「待つ?手伝う?」と悩みやすい場面での関わり方を
不安が強い子が「自分でやる」を少しずつ増やしていく
視点と具体的な声かけにまとめました。
執筆者:くろかわ えり
発達科学コミュニケーション トレーナー






