私には場面緘黙症の娘がいます。現在、小学6年生になる娘ですが、成長とともに友達関係の悩み事が増えてきました。幼少期、場面緘黙症だった私の実体験も交えて、ママにできるサポートを考えていきます。
1.友達ができない事に悩んでいる場面緘黙症の子どもについて悩んでいませんか?
不安が強く緊張すると話せなくなる場面緘黙症の小6の娘。
最近「友達ほしい」「友達いない」と言います。
「友達ってどうやってつくるん?」
「でも、友達こわい…」
こんな様子のお子さんはいませんか?
小学校低学年の頃は友達に困っていなかった…。
困っていないように見えただけ…?
本当のところはわかりませんが、高学年になってから友達のことで悩むことが多くなりました。
この記事では友達作りに困っているお子さんにママができるサポートをお伝えします。
同じような悩みを持つお子さんのママに参考にして頂けたら幸いです。
2.友達が怖い場面緘黙症の娘
私の娘は場面緘黙症です。
私の前や家では話せるし、緊張して固まってしまうことはありませんが、学校など人が多くいる場所では緊張して話せず固まってしまいます。
そんな娘は友達付き合いが苦手で、心を開いて話せる友達はたった1人。
学校でも1人でいることが多く、友達が少ないことに悩んでいる様子です。
過去に友達にいじめられた経験はありませんし、母子登校で学校で見る様子も友達は娘に話しかけてくれたり、手を振ってくれます。
友達はフレンドリーに接してくれるけれど、娘は緊張すると喋れないし動けないので『無視された』と誤解されてしまうこともあります。
低学年の時に一緒に遊んでいた子も今では怖く感じるようです。
3.実は私も場面緘黙症で娘の気持ちがわかります
私も診断こそされていませんが、中学生くらいまで場面緘黙症のような症状がある子どもでした。
娘が言う『友達は欲しいけれど怖い…』これは私も同じように感じたことがあります。
◆友達のグループに入れなかった
場面緘黙症の子は大人しいので周りに迷惑かけることは少なく、小さい頃はお世話好きの子が誘ってくれたり、一緒に遊んでくれることが多いです。
しかし高学年になると友達同士決まったグループやペアを作るようになり、何をするにも入る隙がありません。
私もすでに作られたグループやペアには入れませんでした。
◆自信がなかった
周りの友達は私をいじめていることはありませんし、むしろ優しかった記憶があります。
私が話せなかっただけで…。
そういう環境に身を置いていると、自信のなさが自分自身を苦しめました。
どうにか友達と話したくて笑顔を心がけていましたが、あまり上手に話すことができずにグループから浮いてしまっていました。
「これで友達とは言えないよね…」と幼心に自信を喪失していました。
もしかしたら周りの友達は私のことを友達だと思ってくれていたかもしれませんが、私はみんなの中に入れる隙がないし、話せないし、こんな私なんて友達と思っちゃいけないと勝手に思っていました。
◆周りの友達が自分のことをどう思っているのか怖かった
そして、高学年や中学生になると、友達は優しくはしてくれるけれど話さない私をどうしたらいいのかわからなくて戸惑ってるな…と感じることが増えました。
そして、段々友達が怖いと感じるようになっていきました。
「ハブられているわけではないけれど、私浮いてるな…」と感じていました。
4.発達特性からくる特徴
場面緘黙症の子どもはなぜ友達とうまく関われないのか?
それは場面緘黙症の子は認知の歪みが生じやすいからです。
認知とは「物事のとらえ方」です。
物事の感じ方や受け止め方が極端であることを「認知の歪み」と言います。
友達の定義が狭いのも特徴の一つです。
そして、自分の認知の歪みに気づき、修正することを「認知再構成」といいます。
認知再構成は、他者から「あなたのそういうところは認知の歪みだ」と押し付けられたり、「修正しなさい」と迫られたりしてもうまく進みません。
私がいくら「友達はあなたのこと友達って思っているよ」
「あなたが友達だから笑顔で手を振ってくれるんだよ」
と伝えても、娘本人が納得できないのは「認知再構成」がうまくできていないからです。
そういう私も大人になった今だから、娘の気持ちも周りの友達の気持ちもわかるようになりましたが、幼少期は極端な考え方から抜け出すことはできませんでした。
では、どうしたらいいのかを次でご紹介しますね。
5.友達ができるのも夢じゃない!苦手を克服できるサポート方法
場面緘黙症の子が自分で友達問題を解決できるようになるために…
ママがサポートする方法をご紹介します。
◆サポート① 子どもの思いを受け止め、否定しないで話を聞きましょう。
「友達がいない」「友達ができない」と言われても、お子さんの話を「うんうん!」と聞いてください。
「友達いるよ」と良かれと思ってのアドバイスは不要です。
また、子どもの話を遮らずに聴くメリットがもう1つあります。
ママに話すことが友達と話す練習になります。
練習だと言わずに、話を聴くだけでOKです。
練習というと構えてしまいせっかくの楽しい時間が苦痛の時間になり、話すことに抵抗感が出てしまうかもしれません。
練習ではなく、好きなことで自然に克服できたら良いですよね。
◆サポート② お子さんの興味に関心をもち、教えてもらいましょう。
大好きなママが聞いてくれると、嬉しくなり沢山話してくれるでしょう。
親子で共通の趣味ができるのも良いですね。
◆サポート③ 笑顔で聞きましょう
笑顔はお子さんの安心を握る鍵となります。
場面緘黙症のお子さんは緊張すると声が出なくなります。
まずは安心して話せるママとの会話を楽しみましょう。
ママとの会話で自信をつけていけば将来お子さんに合う方と出会えた時に話せる土台となります。
「今話せない…」と落ち込む必要はありません。
むしろ『友達が欲しい!』と思っているのであれば前向きな発言ですよね。
この現状をなんとかしたいと一番思っているのはお子さん自身ではないでしょうか。
ママができることは『否定しないこと』と『好きなことを応援すること』です。
実生活でお子さんが友達問題を乗り越えていくために、ママと沢山コミュニケーションをとったことが自信に変わります。
「友達と話したいのに話せない。」
「ママとしか話せない…。」
と思わずに、
「ママとなら話せる!」
「ママと話すことが将来に繋がる!」
と思って沢山コミュニケーションをとってくださいね。
執筆者:田中さくら
発達科学コミュニケーション リサーチャー