お子さんの『こだわり』や『敏感さ』が強く、育てにくさを感じているママはいませんか?私の息子は、自閉スペクトラム症(ASD)・アスペルガー症候群の傾向があります。教室のザワザワ感が苦手で登校拒否をするようになりました。この記事では、ASD・アスペルガー症候群の傾向がある息子の育てにくさに、親としてどのように対応していったのか…。私の子育て実践例をご紹介します。
1.お子さんの『こだわり』や『敏感さ』が強く、育てにくさを感じていませんか?
✔️ちょっとした音に敏感で嫌悪感を抱く
✔️タグや素材など嫌いな感覚の服がある
✔️苦手なことと得意なことがはっきりしている
✔️自分ルール『こだわり』があり、気難しい
✔️難しい言葉を使うが、曖昧な言葉の理解が難しい
✔️相手の表情や仕草を読み取るのが難しい
このようなお子さんの『こだわり』や『敏感さ』を心配しているママはいませんか?
特にこのような特性を持つお子さんを育てているママは
「気難しくて、どう対応したらいいのかわからない。」
「こだわりに対して、ちょっとでも間違った対応をとってしまうと癇癪を起こして手をつけられない。」
「過敏に対して、親の私がわかってあげられないことが辛い。」
などと特性に合った対応がわからずに大変子育てに困っていたり、自分の育て方が悪かったからだと自分を責めてしまいがちです。
この記事では、私の子育ての経験を通して
・子どもの特性を受け入れることの大切さ
・子どもの特性に合った対応をすると、子どもは変わる!
ということを書いています。
今「子育てが辛い」と悩んでいるママたちのお力に少しでもなれたら幸いです。
2.『教室ザワザワ感』が苦手。感覚過敏で苦しみ登校拒否をするようになった息子
私の息子は幼い頃から音や匂いに大変敏感な子どもでした。
また、本人なりのルール『こだわり』があり、それが崩れてしまうと機嫌が悪くなったり癇癪を起こすこともよくありました。
しかし、頭の回転は早いタイプで、同じ年齢の子どもたちと比べると大人びているところもあり、幼い頃はそう子育てに困ることはなかったのです。
繊細な子なんだろうな。几帳面で真面目な子だからかな。そのくらいにしか考えていませんでした。
しかし、小学校に入学した頃から、徐々にこの息子の特性が困りごとへと発展するようになっていきました。
特に、一番親として困ったのは、学校に行きたくないと登校拒否をするようになったこと。
学校に行きたくない理由は…『教室のザワザワ感』が苦しいということでした。
狭い教室に大勢の子どもたちがひしめき合う閉塞感や騒々しさに、息子はいつも嫌な顔や態度で気持ちを表していました。
3.付き添い登校で見えてきた息子の『気難しさ』
そんな中でも息子は、お友達と遊ぶことが好きだったので、学校には行きたい気持ちがありました。
そこからは、私も一緒に学校に付き添うスタイルの登校『付き添い登校』をするようになりました。
付き添い登校をする中で、私は初めて、学校での息子は、家とはちょっと違う『気難しいタイプ』であることを知りました。
そして、学校生活の中で息子は多くの場面で『敏感さ』で苦しんでいることを知りました。
私にとっては「そんなことで?」と感じるような些細なことで癇癪を起こしたり、すぐ機嫌が悪くなり、平常に戻るまでにはとても時間がかかる…という場面がたくさんありました。
私ですら、息子がどのような場面で苦しみを抱えているのかわからず困っているのですから、きっと学校の先生や周りの友達が気づいてあげることは難しいことだと感じました。
また、言葉や態度は大人びているところがあり、何を考えているのか、いまいち読み取れないところもあるので、学校での人間関係も大変心配でした。
4.息子は自閉スペクトラム症(ASD)で、アスペルガー症候群の傾向がありました。
息子は幼い頃から繊細で音や匂いに敏感な面がありましたが、当時私は「息子は繊細な子どもなんだろう」と思っていました。
なぜならば、計算等の勉強は同じ年齢の子どもに比べると、とてもできる方でしたし、理解力もあり会話も上手。
「発達障害であるはずがない」と思っていたんです。
けれども、こだわりは段々ひどくなり、癇癪、気難しさなど色々と生活の上でも困りごとが増えて行きました。
学校での登校拒否、付き添い登校を機に息子は発達検査を受けることになりました。
そこで息子は発達障害・自閉スペクトラム症であることがわかったのです。
自閉スペクトラム症(ASD)とは
・対人関係や社会的コミュニケーションの困難
・特定のものや行動における反復性やこだわり、感覚の過敏さまたは鈍麻さ
などの特性が幼少期から見られる発達障害の一つです。
これまで、自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー症候群などのいろいろな名称で呼ばれていましたが、2013年のアメリカ精神医学会(APA)の診断基準DSM-5の発表以降、自閉スペクトラム症として表現するようになりました。
私の息子は、自閉スペクトラム症(ASD)の特性の中でも、言語能力や知的能力が比較的高い人々に見られる、アスペルガー症候群の傾向があったのです。
アスペルガー症候群の一般的な特徴としては、
・社会的な相互作用の困難さ
・コミュニケーションの問題
・狭い興味・関心領域
・反復行動
などが挙げられますが、アスペルガー症候群の人々は一般的に言語能力が高く、知的な興味やスキルに優れることがあるため、子どもの頃は気づかれなく、大人になって初めてわかる場合もあるそうです。
5.自閉スペクトラム症(ASD)・アスペルガー症候群タイプの子どもとの関わり方
そこから親として、自閉スペクトラム(ASD)・アスペルガー症候群の傾向がある息子とどう接していったのか?
私がこれまで息子と関わってきた中で最も重要なポイントを2つご紹介します。
①「見守っていること」「味方でいること」を伝えること
私は付き添い登校という機会をいただき、学校で息子がどのような状況で生活しているかと知ることができました。
敏感な息子にとって学校での刺激は耐え難く、常に不安を抱えている状態だということが痛いほどわかったのです。
そこで、学校で必死に頑張っている息子に対し、親として私が第一にできること=『安心する声かけ』を徹底することにしました。
学校で付き添っている時は、無理にやらせることは一切やめました。
・息子が難しいと感じた時はそっと背中を押してあげる。
・今できていることを肯定する。
・SOSを出してきた時は、受け入れて「味方である」ことを伝える
・不安を受け止め、安心できる声かけを継続する
家庭でも小言を言わず、安心できる環境を作るように心がけました。
②自閉スペクトラム症という特性を受け入れ、理解し、見守ることが大事
息子は、特性上、一見普通に過ごしているように見えるため、周りに困っていることを気づいてもらえないことがよくありました。
学校生活では『こだわり』や『過敏』による特性から
「体育着は着たくない」
「全校児童の集まりが苦手」
などの困りごとがあっても、無理して参加をして、疲弊してしまうということがありました。
そのため、特性からくる苦手さは、しっかりと学校に伝え、先生とも連携して学校生活を進めていくことにしました。
決して無理に直させるのではなく、特性を親が受け入れ、理解し、上手に見守ることを念頭に置きました。
そして、これらは学校だけでなく家庭でも同様に対応していきました。
できていないことを無理やりできるようにする子育てではなく、できていることに対して「できたね」と肯定する関わりを増やし、安心と自信を育みました。
私の息子は、この2つの対応を徹底して続けていくうちに、『こだわり』や過敏の特性がある中でも
「ちょっとやってみようかな?」
「次までやってみたいな」
などと少しずつ苦手なことにもチャレンジできたり、前向きに行動ができるようになってきました。
また、息子が私に対して安心感を持つことができるようになり、親子の会話が増えて行きました。
それと同時に、思い通りにならなくてイライラすることや、『こだわり』によって生まれる癇癪も激減していきました。
親が我が子の脳の発達の特性を理解するだけで、子どもの育ち方は大きく変わってきます。
「この子、育てにくいな」と感じたのなら、そのママの直感をそのままにせず、ぜひ、お子さんの発達特性に合った方法で成長を見守ってほしいと思います。
執筆者:いいだ まや
発達科学コミュニケーション トレーナー