学校への行き渋りや不登校が続いている。体調不良もあり、病院や、学校へ相談しても状態が良くならない。そんなお子さんにどう接していいか分からず悩んでいませんか?自信を失った子どもが自信を取り戻し、再登校できるようになった親子の成長の記録を紹介します。
1.息子の行き渋りと母子登校に悩んでいました
現在小学4年生の息子は、幼稚園の頃から、行き渋りがあり、家での癇癪や切り替えの悪さにも悩んでいました。
小学校入学後もそれは変わらず、初日から行き渋りが始まりました。
励ましたり、叱ったりしながら、泣き叫ぶ息子を無理に連れていき先生に引き渡す日々。
胸が締め付けられる思いでした。
先生は、「来ちゃえば大丈夫ですよ。」「授業も参加できてます。」とのことで、
大きな問題は無さそうなのに、「学校、怖い」と言って、日に日に、息子の行き渋りや家での癇癪がひどくなっていきました。
息子がママとなら学校へ行けると言うので、母子登校を始めることにしました。
授業に付き添うのは、精神的にも体力的にも本当に辛い日々で…
「なんで息子だけ」
「いつ一人で行けるんだろうと」
どう対応したらいいか分からず、悩んでいました。
それと同時に、家とは違う学校での息子の様子に驚きました。
発表もできてるし、勉強にもついていけてる様子だけど、「表情が固くて笑わない」「友達に声掛けられても話せない」というずっと緊張した様子。
これは疲れるなと思いましたが、慣れればきっと大丈夫。
いつか良くなると楽観的に考えるようにしていました。
2.「学校に行くと気持ち悪くなる…」日に日に悪化する二次障害
母子登校を続け、下駄箱まで送っていけば一人で教室で過ごせる時期がありました。
しかし、お友達が吐いた嘔吐物が掛かってしまうという出来事をきっかけに「学校に行くと気持ち悪くなる」と言い始めるようになり、また行き渋りがひどくなっていきました。
私がまた教室で付き合うことにしましたが、授業中も家でも何度もトイレに行くようになったり、嘔吐や吐き気症状もあり、心配で仕方がありませんでした。
病院へ行き、心因性の頻尿、過敏性腸症候群と診断され、薬も試しましたが良くなりませんでした。
日に日に元気がなくなっていく息子にどう接していいか分からず、毎日こっそり泣いていました…
3.夜な夜なネット検索して出会った発達科学コミュニケーション!そこで学んだ息子の特性と関わり方
「母子登校を解決したい!」と思い、夜な夜なネット検索をしていました。
そこで見つけたのが発達科学コミュニケーションのいただきひまりさんです。
いたがきひまりさんは、個別相談の際、息子の生育歴や体調不良があることを話すと、
・自閉スペクトラム症(ASD)の傾向があること
・母子登校解決や学校復帰に時間が掛かる
と的確な診断をして下さいました。
今まで病院や学校、市の発達相談などに相談しても、「様子をみましょう」とはっきりせず、もやもやとした気持ちが続いていたので、
的確なアドレスをして下さったこの方から発達コミュニケーションを学び、悩みを解決したい!と思いました。
まずは、肯定的な関わりとスキンシップを行いました。
①肯定な関わりを増やす
肯定的な関わりには、実況中継で褒める、感謝する、興味をしめすなどがあります。
「おはよう!自分で起きてこれたね!」
「ごはんたくさん食べたね!」
「いつも弟をお風呂に誘ってくれてありがとう」
「これどうやって作ったの?すごい、よく似てるね!」
といったできてることを褒める、感謝を伝える、興味をしめす声かけをたくさんしました。
息子はASDの特性により、学校や集団への適応が難しいところがあります。
しかし適切な対応をすることができず、身体症状、癇癪などの二次障害が表れたと思われます。
肯定な関わりは、息子のような小児期のうつ症状である、頭痛、腹痛、吐き気などの身体症状が和らぐ効果があります。
注意する、叱るなどの否定的な注目は減らし、肯定的な関わりを増やして、脳のストレスをなくしてあげることが最優先!
焦らず、ゆっくり時間を掛けて親子で肯定的な会話をすることが大切だったのです。
②スキンシップを積極的に行う
不安が強く、夜何度もトイレに行っていましたので、寝る時に肩甲骨をマッサージをしたり、背中をトントンと優しく叩いたりといったスキンシップを積極的に取り入れました。
このようなスキンシップを続けていたら、落ち着いて眠れるようになりました。
不安が強い時は、感情の脳の部分(扁桃体)を落ち着かせてあげることが大切です。
感情脳を育てるにはスキンシップが一番です。
他にも頭をなでたり、ハイタッチなど、息子が嫌がらない限りたくさんスキンシップをしました。
4.不登校から再登校へ~好きなことを通じて自信を取り戻したキロク~
肯定の関わりを続け、3か月で吐き気やトイレに行く回数が落ち着いていき、パパと釣りに行ったり、プールに行ったりと好きな活動ができるようになっていきました。
別室登校や好きな授業だけ教室に行くことを試しましたが、その後も、不安が強くなった時などに嘔吐をする症状が続きました。
そのため、勇気のいる決断でしたが「今はしっかり休んで、楽しい体験をするほうが良い」と思い、息子の希望もあり、しばらく学校へ行かないことを決めました。
不登校中は、肯定の関わりを続けながら、息子の好きなことをたくさんしました。
楽しい経験から、成功体験をたくさん味わえると脳は発達し、ストレスにも強くなります。
しっかり休み、肯定の関わりを続けたことで、少しずつ自信をつけ、息子はあれをやりたい!これをやりたい!と行動的になっていきました。
また、息子とたくさん話すようになったら、癇癪なども減り、嫌なことや不安なことを言葉で話せるようになっていきました。
私が発達科学コミュニケーションを学び、
聴覚過敏があり、学校では苦手な音がたくさんあり疲れること
場面緘黙症で、人に話掛けられても上手く話せないこと
などの息子の特性を理解し、それに合わせたコミュニケーションができたことで、息子も学校で辛かったことを思い出し、話せるようになりました。
4年生から特別支援学級への転籍をきっかけに、息子は再登校することを決め、ほぼ毎日、自分のペースで通っています。
できるだけ通いやすい環境を整えてあげたいと思い、進級前に「サポートレター」を先生に渡し、息子の特性や対応の仕方をお願いしました。
好きなこと得意なことも伝え、先生も好きな活動を用意して下さったり、理解や協力を得ることができました。
そのため、学校に楽しみを見つけ、苦手なことも少しずつ挑戦できるようになってきています。
息子のようにうつ症状になると回復までに時間がかかることが多いようです。
早期にお子さんの特性を理解し、正しい対応をすることが大切です。
行き渋りや母子登校が長引いていたり、癇癪が頻繁にあるなどの困り事はお子さんからのSOSかもしれません。
早めに正しく対応することをお勧めします。
お子さんがSOSを出している時(脳にストレスが溜まっている時)は、肯定的な関わりを心掛けてやってみてくださいね。
執筆者:木村 まい
発達科学コミュニケーション リサーチャー