不安が強くてモジモジしたり固まってしまったりする子どもにモヤモヤしていませんか?本記事では、不安の強い私の娘が一人で合宿に参加できるようになった記録を元に、不安の強い子どもが行動できるようになるためのママの関わり方をご紹介します。
1.不安が強くて挑戦できない子どもにモヤモヤしてませんか?
もしかして、こんなお子さんの様子に、イライラしたり、モヤモヤしたりしていませんか?
・初めての場所では固まってしまって動けない
・知らない人に話しかけられると、何も言えずにうつむいてしまう
・新しいことをやろうとすると、『いやだ』『無理』とすぐあきらめる
親としては、「ちょっとぐらい挑戦してみたらいいのに」、「できなくてもいいから、やってみようよ」と思いますよね。
そして、そんな姿を見ていると「このままで大丈夫かな?」、「ちゃんと社会に出られるのかな?」と不安になってしまうかもしれません。
もっと「子どもが自信をもって動けるようになったらいいのにな〜」と思いませんか?

2.外でモジモジしてしまう子どもにイライラしていた過去
私には、発達障害グレーゾーンでとても不安の強い小学生の娘がいます。
娘は新しい場所がとても苦手で、慣れるのにとても時間がかかります。
そして、初対面の人の前では表情が固まり、「こんにちは」と挨拶されても挨拶を返すことができなかったりします。
なにか新しいことに「これやってみる?」と誘っても、「やだ、やらない」、「行かない」と断る。
何とかやらせてみよう、連れて行こうとしてしつこく誘うと、今度は「キー」っとなって癇癪を起こしてしまう。
正直、私はこうした娘の言動にイライラしていました。
自分の子どもに対して、「物怖じせずに、いろんなことに挑戦して欲しい」、そんな思いがとても強かったのです。
だから、モジモジする娘を見かねて
「もう小学生なんだから挨拶くらいできるでしょ」
「そんなにモジモジしてたら損するよ」
「何でもやってみないとわからないのに、挑戦しないなんて情けない!」
などと言ってしまうこともありました。
そして、こうした娘の様子を見て、知らない人や場所に慣れるような経験をさせた方がいいのではないか?と考えていました。
しかし、そうしたことを強要すればするほど、娘の拒絶反応はひどくなっていきました。

3.不安の強さは発達の特性が原因かもしれません
子どもが非常に不安が強かったり、新しいことに挑戦できない背景には、発達の特性が隠れている場合があります。
特に、私の娘のようにASD(自閉スペクトラム症)の傾向がある子どもは、以下のような特徴から強い不安を感じやすいと言われています。
・見通しが立たないことが苦手
ASD傾向のある子は、「次に何が起きるか予測する力」が弱いことがあります。
そのため、初めての場所や人、未経験の出来事に対して「何が起こるのか分からない=とても怖い」と感じてしまうのです。
大人は「行けば分かる」、「何とかなる」と考えられても、子どもにとっては、想像できないこと=危険に感じてしまうのです。
・過去の嫌な記憶を強く覚えている
また、ASDの特性には「ネガティブな記憶を強く保持しやすい」という特徴もあります。
たとえば、以前知らない人に話しかけられて戸惑った経験があると、「また同じようなことがあるかもしれない」と強く身構えてしまいます。
過去の失敗や不安な体験がいつまでも心に残っていて、挑戦をためらわせる要因となっていることもあるのです。
・荒治療は逆効果
ここで注意したいのが、「慣れれば大丈夫」と無理やり経験させようとすることです。
怖がる子どもに「行けば平気になるから!」と背中を押しても、心の準備が整っていないと逆にトラウマになってしまう可能性もあります。
子どもの不安の強さは、“性格”ではなく“脳の特性”によるもの。
つまり、気合で何とかするとか直そうとするのではなく、スモールステップで「できた」、「大丈夫だった」という経験を積ませてあげる方がいいのです。

4.肯定のシャワーで自信をつけよう
では、不安の強い子どもに対して、私たち親ができる関わり方とは何でしょうか?
それは、「肯定のシャワー」を毎日たっぷり注ぐことです。
毎日、「たくさん子どもを褒めよう」というと、「そんなにたくさん褒めることなんてないよ」と考えてしまうママもいるかもしれませんが、何も身構える必要はありません。
ポイントは、『日常の小さなこと、当たり前のことの中でできていることを見つけて、それを言葉にして伝える』というただそれだけのことです。
たとえば、
・朝、自分で着替えた →「自分で着替えてるんだね」
・ご飯を残さず食べた →「最後まで食べられたんだね」
・外に出るのを嫌がらなかった →「今日はお外に出る気持ちになったんだね」
このように、小さなこと、当たり前のことでも、「できているよ」「がんばってるね」と伝えてあげることで少しずつ子どもに”自信”がついてきます。
また、子どもに対する感謝の言葉も肯定することにつながります。
何かをしてくれたときは、「ありがとう」「うれしいよ」と感謝の気持ちも一緒に伝えます。
感謝される経験は、「自分は役に立っている」「愛されている」という安心感につながります。
こうして毎日「できたね」「ありがとう」の声を積み重ねていくと、子どもの心に「自分にもできることがあるんだ」「大丈夫かも」という気持ちが育っていくのです。

5.不安の強い子どもが合宿に参加できた!
我が家の不安の強い娘にも、コツコツと毎日肯定の声かけを続けていくうちに、少しずつ「やってみようかな」という気持ちが芽生えてきたのか
なんと、習い事のバスケットボールで、他チームの子も参加する1泊2日の合宿に自分から参加したいと言うようになりました。
おそらく不安が強いという特性がなくなることはないのでしょう。
他の子と比べると、バスケチームの中でもぎこちない様子の娘ですが、興味のあることであれば、新しい挑戦ができるようになってきていると感じます。
もし、お子さんの不安の強さに悩んでいるのであれば、ぜひ、今日から、小さなことをたくさん肯定するということを試してみてくださいね!

執筆者:中川 まさみ
発達科学コミュニケーション トレーナー