学校では頑張っているのに、家では癇癪が止まらない小学生。そんな子どもを前に「どう対応したらいいの?」と悩むママへ。ASD傾向の特性と、家庭でできる寄り添い方をやさしく解説します。
1.家では癇癪がひどい小学生…それ、ママのせいじゃありません!
学校では落ち着いてるのに、家に帰ると手がつけられないほどの癇癪…。
「うちの子、なんで“家だけ”でこうなるんだろう?」
そんなふうに悩んでいるママは、本当にたくさんいます。
そして多くのママが、「私の育て方が悪いのかも」「甘やかしてしまったのかも」と自分を責めてしまうんです。
でも、それは違います。
癇癪は“性格の問題”ではなく、“環境や特性”が関係していることがほとんど。
特に、ASD(自閉スペクトラム症)傾向やグレーゾーンの子どもたちは、「外では頑張っていい子でいよう」と気を張っている分、 家で一気に気持ちがあふれ出してしまうことがあるのです。

2.なぜ「家だけ」で癇癪が起こるの?ASD傾向の子どもに見られる特徴
◆外では“いい子”で頑張りすぎているから
学校では、周囲に合わせたり、静かにしたり、ルールを守ることに必死。
実はそれ自体が、ASD傾向のある子にとって大きなストレスなんです。
頑張りすぎて疲れ切ってしまう → 家で安心して爆発する
これは、決して珍しいことではありません。
◆感覚の過敏さやこだわりが刺激になることも…
ASDなど、発達特性のある子は、音や光、においなどの刺激に敏感です。
また、「予定が変わる」「思い通りにいかない」など、小さなズレが心の中で大きなストレスになることもあります。
それが積み重なり、安心できる家で“解放”されるのです。
◆家は“安心できる場所”だからこそ
家は、子どもにとって「素の自分を出せる場所」。
だからこそ、外で溜め込んだ不安や疲れが、家という安全基地で溢れてしまうのです。
ママは「なぜ私にだけ強くあたるの?」と感じてしまいますが、それだけママを信頼している証でもあります。

3.【体験談】子どもの癇癪が怖くて、いいなりになっていた日々
私にも同じような経験があります。
小学生になってから、ASD傾向のある発達グレーゾーンの息子は“家だけ”で癇癪を起こすようになりました。
外では「優しくてしっかりした子」と言われていたのに、家では泣き叫び、物を投げ、床を蹴る日々。
そのたびに私は「また始まった…」とビクビクしていました。
「どうすれば止まるの?」
「私の接し方が悪いの?」
「このままだと、ずっと変わらないの?」
そんな不安が頭をぐるぐる回り、気づけば子どもの顔色ばかり伺うように。
「怒らせないように」「泣かせないように」と、いつも緊張していました。
夫や実母からは「甘やかしすぎ」と責められ、焦って急に厳しくしたこともあります。
けれど、余計に荒れ、私も泣きながら怒鳴る日々。
そんな生活に耐えきれなくなり、勇気を出して申し込んだ『発達科学コミュニケーション』の個別相談でいたがきひまりさんにこう言われたんです。
「お子さん、外で頑張りすぎてるんですよ。家は“安心できる場所”だから、癇癪が出てるんです」
その言葉で、私はようやく“戦う相手”を間違えていたことに気づきました。
敵は子どもではなく、「子どもが抱えているストレス」だったのです。

4.ASDグレーゾーンの小学生の癇癪を減らすためにできること
ここからは、私自身や発達科学コミュニケーションを学んだママたちが実践している「やさしい対応法」を紹介します。
①癇癪が起きてしまったときの関わり方
・まずは安全を確保し、距離をとる
無理に止めようとせず、「見守る距離」を取ることで、感情が鎮まる時間をつくります。
「ママはここにいるよ」と短く伝えるだけで十分です。
・言葉で制止しようとしない
癇癪中は言葉が届きにくいため、「やめなさい」は逆効果になることも。
おさまってから話すほうが、子どもも理解しやすいです。
・クールダウンできる場所を決めておく
「落ち着く部屋」「静かなコーナー」など、“安心スペース”をあらかじめ決めておきましょう。
②落ち着いたあとにできる「気持ちの整理」練習
・感情を言葉にする練習
「怒ってたのは、悲しかったからかな?」など、ママが言語化をサポート。
子どもが「そうそう!」と頷けるような言葉を見つけていきましょう。
・選ばせる関わり
「宿題は今やる?それともごはんのあと?」のように、選択肢を与えることで“自分で決められた”感覚を持たせます。
・落ち着けたときは、しっかり認める
「今日は怒らずに気持ちを言えたね」と言葉で伝えると、「頑張ってよかった」という成功体験が積み上がっていきます。
③家族や相談できる人と一緒に支える方法
・夫や家族と対応を共有する
「癇癪のときはこうしよう」と、家族内でルールを決めておくと安心。
対応がブレにくくなります。
・発達の専門家に相談する
発達の専門家の意見を聞くことも大切。
一人で抱え込まず、“チームで支える”イメージを持ちましょう。
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・ママ自身の休息も大事
ママが疲れすぎると、子どもも不安を感じやすくなります。
「ママの笑顔」は、子どもにとって最高の安心です。
時には、ゆっくりお茶を飲む時間を“優先タスク”にしてもいいのです。

5.「甘やかしすぎ?」「叱るべき?」と迷ったときに思い出してほしいこと
「甘やかしたから癇癪が出る」と言われても、それは本当の原因ではありません。
癇癪は“自分でもどうしていいかわからない苦しさ”の表れです。
怒りたいわけでも、ママを困らせたいわけでもなく「どうしたらいいか分からない」からこそ爆発してしまうんです。
だからこそ、叱るよりも、安心を返すことが一番の特効薬です。
家だけで癇癪を起こす子どもは、それだけ「外で頑張っている」子です。
その頑張りを「問題」ではなく「努力の証」として見つめてあげることで、子どもの世界は少しずつ変わっていきます。
そしてママも、「今日も怒鳴らずに過ごせた」「今日は少し穏やかだった」そんな小さな変化を見逃さず、自分を褒めてあげてください。
まずは今日から、できることをひとつ。
「朝のルーティン表を一緒に作る」
たったそれだけでも、癇癪の火種を減らすきっかけになります。
完璧じゃなくていい。
ゆっくり、一緒に整えていきましょう。
あなたとお子さんの毎日に、少しずつ“穏やかさ”が戻りますように。
