母子分離不安で付き添い登校を続ける中、「帰りたい」と訴える子にどう関わればいいか迷っていました。3Sを軸にしたママの関わり方で、イライラが減り、安心して気持ちを伝え合える親子関係へと変わっていった過程を伝えています。
1.子どもの言動に振り回され、冷静に関われなくなっていた私
子どもの言動に振り回されて、本当は冷静に関わりたいのに、ついイライラが表に出てしまう。
好きなことを押し通すのではなく、自分で決めた行動を守れるようになってほしいと思うほど、どう関わればいいのか分からなくなってしまう。
そんなお母さんはいませんか。

2.少しずつ前に進んでいるはずなのに、毎日揺れ続けていた付き添いの日々
付き添い登校を続ける中で、学校で過ごせる時間は少しずつ増えていきました。
それでも学校に行けた日は、
- 「気持ち悪い」
- 「頭が痛い」
- 「家に帰りたい」
と、毎日のように訴える時期がありました。
さっきまで友達と楽しそうに話していたのに、突然「帰りたい」と言われる。
私は、
「これは本当に体調が悪いのかな」
「それとも気持ちの問題なのかな」
と戸惑うことが増えていきました。
そして気づけば「また?」「さっきまで楽しそうにしてたじゃない」と口にしてしまったり、ため息をついたり、イライラをそのまま出してしまうこともありました。
結局、仕方なく帰ると決めても、今度は「つまんない」「ひまだな」と時間を持て余し、「ゲームやりたいな」と言い出すことも多くありました。
その姿を見るたびに、「本当はつらいの?」「それとも自分の好きなことをしたいだけ?」と、分からなくなってしまう自分がいました。

3.母子分離不安と付き添い登校の中で、ママの関わり方がすれ違っていった理由
あの頃の私は、「帰りたい」と言われるたびに、どう受け止めればいいのか分からなくなっていました。
学校で過ごせる時間が増えていたからこそ、「もう慣れてきたはず」「頑張ればできるはず」という期待もありました。
だから「帰りたい」と言われるたびに、「なぜ?」「本当に?」という気持ちが先に立ち、正直、心の余裕がなくなっていたのだと思います。
そのやり取りを重ねる中で、子どもも詳しく説明するよりも「帰りたい」とだけ言うようになっていったのかもしれません。
それは、怒られないため、責められないための、一番短くて安全な伝え方だったのだと思います。
つまり「帰りたい」は、わがままでも、ずるさでもありませんでした。
- 「しんどい」
- 「どうしたらいいか分からない」
- 「疲れた」
そんな気持ちを伝えるための精いっぱいのサインだったのです。
あのとき必要だったのは、理由をはっきりさせることではなく、「帰りたい」という言葉の奥にある「しんどさ」を受け止めることでした。

4.「帰りたい」と言われたとき、感情に飲み込まれないための3Sの関わり
私が出会った発達科学コミュニケーションでは、子どもに何かを提案するときに「3S」を大切にしていました。
これは、親も子どももネガティブな感情を引き起こしにくく、やり取りを続けやすくするための関わり方です。
3Sとは、
- Smile(笑顔)
- Slow(ゆっくり間を取って)
- Sweet(優しい声)
の3つを意識することです。
①のSmile(笑顔)は、簡単なことのように感じますが、「また帰りたいの?」と思う気持ちが、ママの表情に出てしまいやすい場面でもあります。
特に視覚からの情報を多く受け取る子は、言葉よりも先に、ママの表情から気持ちを読み取ろうとします。
そのため、表情がこわばったままだと、話の内容より先に不安が強くなってしまいます。
笑顔で話しかけることは、「責められていない」「ここは安全だよ」という安心を先に伝える合図になります。
②のSlow(ゆっくり間を取って)は、子どもが言われたことを理解し、気持ちを整理するための時間をつくる意識です。
子どもは大人に比べて、言葉や状況を頭の中で処理するのに時間がかかります。
「帰る?」「どうするの?」と急いで言葉を重ねてしまうと、子どもは最初に言われた言葉を処理しきれないまま、次の言葉が重なってしまい、結果として指示そのものが伝わっていないこともあります。
少し間を取ることで、子どもは自分の体の感覚や気持ちに意識を向け、「今どうしたいのか」を考える余裕を持てるようになります。
間を取るだけで、その場の空気が少しやわらぐのを感じました。
③のSweet(優しい声)は、ママの中にある焦りや疲れが、そのまま声に乗ってしまうのを防ぐための工夫です。
「帰りたい」と言われたときほど、声のトーンは低く、硬くなりやすいもの。
ほんの少しだけトーンを上げて話すことで、子どもは「責められていない」と感じやすくなり、気持ちを閉じずにいられるようになります。
実際に「帰りたい」と言われたとき、私はこの3Sを意識しながら、
「体はどんな感じ?」
「今の気持ちはどう?」
「帰ってから何をするかだけ決めようか」
と声をかけていました。

5.気持ちを伝え合い、子どもが自分で考えるようになっていった親子の変化
3Sを意識するようになってから、私自身も「帰りたい」と言われたときに、イライラが先に立つことが少なくなっていきました。
気持ちを切り替える余裕が生まれ、落ち着いて子どもの言葉を聞けるようになったのだと思います。
すると子どもも、ただ「帰りたい」と伝えるだけでなく、「今はこんな感じだから帰りたい」と、自分の状態や理由を言葉にするようになっていきました。
さらに、「帰ったら、これとこれをやろうと思う」と、帰宅後の行動を自分で決めて話す姿も増えていきました。
3Sは、子どもを変えるためのものではなく、安心して気持ちを話し合い、一緒に考えられる関係に戻るための関わり方だったのだと思います。

「このまま不登校になったら…」
「いつまで続くんだろう…」
そんな不安を抱えているママへ。
登校しぶりは、
少しずつ流れを変えていくことができます。
執筆者:夏井さや
発達科学コミュニケーション トレーナー




