【お家療育シリーズ8】ゲームをやめられない子に親ができること|「切り替える力」を育てる家庭での関わり方

テレビを見る子ども
ゲームをやめられず、約束を守れない子どもに悩む保護者へ。ゲームから切り替えられない理由を脳科学の視点から解説し、自分で「切り替える力」を育てる家庭でできるお家療育を実体験とともに紹介します。
 
 

1.「ゲームやめなさい!」毎日の親子バトルに疲れていませんか?

 
 
「もうゲーム終わりだよ!」
「あと一回だけ!」
「いい加減にしなさい!」
 
 
毎日のように繰り返される、ゲームをめぐる親子バトルに疲れていませんか?
 
 
「ゲームは1時間」と約束しても守れない。タイマーをかけても、鳴った途端に「今いいところだから!」と怒り出す
 
 
そんな姿を見ていると「このままゲーム依存になったらどうしよう…」と心配になりますよね。
 
 
けれど、ゲームをやめられないのは、必ずしも「約束を守る気がない」「我慢が足りない」からではありません。
 
 
もしかすると、楽しいことを終えて次の行動へ移るために必要な「切り替える力」が、まだ育っている途中なのかもしれません
 
 
お家療育で目指したいのは、親が毎回ゲームを取り上げて終わらせることではありません。
 
 
「もっとやりたいけれど、今日はここまで」と、少しずつ自分で気持ちと行動を切り替えられるようになることです。
 
 
今回は、ゲームをやめられない子どもの脳で何が起きているのか、そして「切り替える力」を育てるために家庭でできる関わり方をご紹介します。
 
 
テレビを見る子ども
 
 

2.【生徒さんの体験談】「なんで約束が守れないの?」ゲーム三昧だった息子さんの話

 
 
私のスクールの生徒Hさんも、小学生の息子さんがゲームやYouTubeをやめられないことに悩んでいました。
 
 
学校から帰ると、ランドセルを置いてすぐに画面の前へ。
 
 
「宿題をしてからにしようね」
 
声をかけても返事はなく、何度言っても、だんまり、無視、最後には逆ギレ…。
 
 
「ゲームは〇時までにしようね」と約束しても、タイマーが鳴ると、「まだ最後まで見てない!」「あと一回だけ!」と、毎日のように親子バトルになっていました。
 
 
Hさんも、そのたびについ強く叱ってしまっていたそうです。
 
 
そして息子さんが大声で泣いたり怒ったりするたびに
 
「私がこれまで甘やかして育ててしまったから…」と、自分を責めていたそうです。
 
 
けれど、発達科学コミュニケーションで子どもの発達について学ぶ中で、Hさんの見方が少しずつ変わっていきました。
 
 
息子さんは、ゲームを「やめようとしない」のではなく、「楽しいことを終えて次の行動へ切り替えること」が苦手なのかもしれない。
 
 
そう気づいたのです。
 
 
そこからHさんは、「約束を守らせなきゃ」とゲームをやめさせることばかり考えるのではなく、「どうしたら、この子が自分で切り替えられるようになるだろう?」と考えるようになりました。
 
 
子どもの行動は同じでも、その理由が分かると、親の見方や関わり方は変わります。
 
 
怒られて耳を塞ぐ子ども
 
 
では、ゲームをやめるとき、子どもの脳ではどんな力が必要なのでしょうか。
 
次章では、「切り替える力」を脳科学の視点から見ていきましょう。
 
 

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3.ゲームをやめられない子に必要なのは「我慢」ではなく「切り替える力」

 
 
ゲームをやめることは、大人から見ると「電源を切るだけ」の簡単な行動に見えます。
 
 
けれど、子どもの脳ではそうではありません。
 
 
ゲームを終えるためには、
 
「もうすぐ終わり」と気づく
→「もっとやりたい」という気持ちを抑える
→ 今していることを止める
→ 次にすることへ頭を切り替える
 
という、いくつもの力が必要です。
 
 

◆「もっとやりたい」にブレーキをかける力

 
私たちの脳には、目の前の行動や感情をコントロールする「実行機能」という働きがあります。
 
 
その中の一つが、「もっとやりたい!」という気持ちにブレーキをかける力です。
 
 
ゲームで次のステージが始まりそうなときに、「時間だから今日はここまで」と自分で止まるためには、この力が必要になります。
 
 
しかし、子どもの脳はまだ発達の途中です。
 
特に、好きなことに夢中になりやすい子にとって、楽しい活動を自分から止めることは簡単ではありません。
 
 
だからこそ、「やめない=我慢が足りない」と考えるのではなく自分で止まる力を育てている途中と捉えることが大切です。
 
 

◆ゲームから次の行動へ頭を切り替える力

 
もう一つ必要なのが、今していることから別のことへ頭を切り替える力です。
 
ゲームから夕食へ。
YouTubeから宿題へ。
遊びからお風呂へ。
 
 
子どもはゲームを「終える」だけでなく、そのあとに待っている別の行動へ頭と気持ちを切り替えなければなりません。
 
 

◆「あと5分」が分かりにくい子もいる

 
さらに、「あと5分」「そろそろ終わり」という時間の見通しをつかむことが苦手な子もいます。
 
 
大人には分かりやすい「あと5分」も、子どもにとっては曖昧です。
 
 
つまり、ゲームをやめられない子に必要なのは、何度も「約束したでしょ!」と言われることではありません。
 
 
ゲームをする男の子
 
 

4.ゲームを「切り替える力」に変える!今日からできる5つのお家療育

 
 
では、ゲームをやめられない子に、家庭ではどんな関わりができるのでしょうか。
 
 
ポイントは、親が「やめさせる」のではなく、子どもが自分で終わるための手助けをすることです。
 
 
ゲームの時間を、「切り替える力」を育てるお家療育の時間に変えていきましょう。
 
 

①ゲームを始める前に「終わり」を一緒に決める

 
ゲームに夢中になってから「もう終わり!」と言われても、子どもはすぐには切り替えられません。
 
 
そこで大切なのが、始める前に終わりを決めておくことです。
 
 
「今日は何時までにする?」「3回と5回なら、どっちにする?」など、子どもと一緒に決めてみましょう。
 
 
親から決められた時間ではなく、「自分で決めた終わり」を意識することが、自分で行動をコントロールする練習になります。
 
 

②「あと○分」を目で見えるようにする

 
「あと10分だよ」と声をかけても、遊びに夢中な子には伝わりにくいことがあります。
 
 
そんなときは、タイマーや時計、残りの回数を書いたカードなどを使って、終わりを目で見えるようにするのがおすすめです。
 
 
「ママに突然やめさせられた」ではなく、子ども自身が「もうすぐ終わりだ」と確認できるようにすることがポイントです。
 
 

③「何分後なら終われそう?」と子どもに聞く

 
時間になった瞬間に「はい、終わり!」とゲームを切るのではなく、「いつなら終われそう?」と聞いてみましょう。
 
 
「ここまでやったら終わる」「あと1回で終わる」など、どう終わるかを子ども自身に考えてもらうのです。
 
 
親の指示で動くのではなく、自分で考えて行動する経験を増やしていきましょう。
 
 

④ゲームの「次」にも小さな楽しみをつくる

 
ゲームをやめた先に待っているのが「宿題しなさい」「お風呂に入りなさい」だけでは、楽しいゲームから切り替えにくいですよね。
 
 
そこで「終わったら一緒におやつ食べよう」「お風呂で今日のゲームの話を聞かせて」など、次の行動にも小さな楽しみをつくります。
 
 

⑤時間を過ぎても「自分でやめられた」を見逃さない

 
ここが、私が一番大切にしてほしいポイントです。
 
 
例えば、17時にゲームを終える約束だったのに、実際に終わったのが17時10分だったとします。
 
 
つい「10分も過ぎてるじゃない!」と言いたくなりますよね。
 
 
けれど、「約束を守れなかった」という結果だけでなく、「最後は自分でゲームを終えることができた」という行動にも注目してみてください。
 
 
「自分で終われたね」「切り替えられたね」と、できたことを言葉にします
 
 
お家療育のゴールは、最初から完璧に時間を守らせることではありません。
 
 
「もっとやりたいけれど、自分でやめられた」そんな小さな成功体験を積み重ねることが、自分で気持ちと行動を切り替える力につながっていくのです。
 
 
手のひらに花を持っている
 
 

5.目指すのは自分で切り替えられる力

 
 
ゲームをやめられない姿を見ると、つい「ゲームの時間を減らさなきゃ」「もっと約束を守らせなきゃ」と考えてしまいます。
 
 
けれど、大切なのはゲームをしない子にすることではありません。
 
 
「もっとやりたいけれど、今日はここまで」と、自分で気持ちと行動を切り替えられる力を育てることです。
 
 
ゲームは、子どもにとって大好きなものだからこそ、「もっとやりたい」という気持ちと折り合いをつける練習ができる時間でもあります。
 
 
そして、そこで育てた「切り替える力」は、ゲームだけに必要なものではありません。
 
 
遊びから宿題へ。
テレビからお風呂へ。
楽しい休日から翌日の学校へ。
 
 
これから自分で生活を整えていくためにも必要になる力です。
 
 
今日から「ゲームやめなさい!」を一つ減らして「何時なら終われそう?」と聞くところから始めてみませんか?
 
 
そして、たとえ約束の時間を少し過ぎても、自分でゲームを終えることができたら「自分でやめられたね」と伝えてあげてください。
 
 
困った行動を叱って直すのではなく、その行動の背景にある「まだ育っている途中の力」に目を向けること。
 
 
それが、家庭で今日から始められるお家療育の第一歩です。
 
 
座って話している親子
 
 

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