子どもから「どう思う?」「どこがいい?」と何度も感想を求められ、どう答えたらいいのか困っていませんか?褒めても繰り返し聞いていた息子が、褒め方を少し変えたことで質問が減り、自分から作品のこだわりを話すようになったわが家の体験をご紹介します。
1.「どう思う?」と何度も聞いてくるASDの息子に戸惑う日々
自閉スペクトラム症(ASD)の息子は、毎日のように自分が作ったレゴを見せながら、
「このレゴどう思う?」
「どこがかっこいい?」
と何度も繰り返し聞いてきます。
最初は「かっこいいよ」「上手だね」と褒めて返していましたが、「あとは?あとは?」「他には?」とさらに感想を求めてきます。
気づけばレゴを見ながら同じようなやりとりを10分以上続けていることもありました。
「ちゃんと褒めているのに、どうして何度も聞くんだろう? 」
「何て答えたら満足するの?」
何度答えても終わらないやりとりに、私はどう返せばいいのかわからず、戸惑うばかり。
そして、「ちゃんと伝わっているのかな?」と不安になり、そんな様子の息子に向き合うのは、想像以上に疲れることでした。

2.「かっこいい」だけでは伝わりにくかったASDの息子
ASDの子どもの中には、抽象的な表現よりも、具体的で分かりやすい言葉の方が受け取りやすい子がいます。
「かっこいいね」
「上手だね」
「すごいね」
一見、しっかり褒めているように思える言葉ですが、「何が」「どのように」いいのかまでは伝わりません。
また、こうした言葉は、伝える側の評価でもあります。
本人が「ここを見てほしい」と思っているところと違っていたり、本人自身が「かっこいい」と思っていなかったりすると、その言葉をそのまま受け取りにくいこともあります。
息子も、「かっこいいよ」と伝えても、「どこが?」「あとは?」と繰り返し聞いてきました。
息子の場合、漠然とした褒め言葉だけでは十分に納得できず、納得できるまで何度も確認したいという気持ちが表れているように見えました。
私は、息子にこうした特性があることを知らず、「かっこいいね」「上手だね」と抽象的に褒め続けていました。
そのため、息子の「もっと詳しく!」「どこが?」という質問に応えきれず、二人のコミュニケーションはいつもモヤモヤしていたのだと思います。
そこで私は、もしかすると「かっこいい」という言葉だけでは、私が作品のどこを見て、何を感じたのかが息子に十分伝わっていないのかもしれないと考えました。
「もっとたくさん褒めればいい」のではなく、褒め方そのものを変えてみることにしたのです。

3.「すごいね」より伝わる!具体的な褒め方
私が意識したのは、作品全体を漠然と評価するのではなく、私が見たことや感じたことを具体的に伝えることです。
例えば、息子が作ったレゴを見ながら、
「ここ、この赤いブロックと黒いブロックを組み合わせたんだね」
「ここの細かいところまで作ったんだね 」
と、作品の一部分を指さしてまずは目で見て分かることをそのまま言葉にします 。
さらに、
「この赤と黒の組み合わせ、とてもきれいだね」
「こんなブロックの使い方、ママは初めて見たよ」
「ママは、この形の組み合わせがおもしろいと思ったよ」
と、私自身がどう感じたのかを伝えることもありました。
「かっこいい」「上手だね」と評価するだけではなく、どこを見て、どう感じたのかを具体的に伝えるようにしたのです。
すると、息子にも「ママはここを見て、こう思った」ということが伝わりやすくなったようでした。
私自身も「次は何て褒めればいいんだろう」と言葉を探し続ける必要がなくなり、息子との会話が楽になっていきました。

4.「あとは?」が減り、自分から話してくれるように
最初は「あとどこ?」「もっと言って」と何度も感想を求めていた息子。
ところが、見たことや感じたことを具体的に伝えるようにしてから、少しずつ繰り返し聞く回数が減っていきました。
私の感想を聞くと、 1回のやりとりで満足そうな様子で作品作りに戻っていくことも増えました。
さらに、
「ここが難しかったんだよ」
「ここをこうするのを頑張ったんだ」
と、自分から作品について説明してくれるようにもなりました。
何度も私の感想を聞く代わりに、自分がこだわったところや工夫したところを、自分の言葉で話してくれるようになったのです。
私自身も、「次は何て答えたらいいんだろう」と悩むことが減り、息子との会話を楽しめるようになりました。

5.何度も聞かれたら「もっと褒める」より「具体的に」
「どう思う?」
「どこがいい?」
「あとは?」
何度答えても繰り返し聞かれると、「ちゃんと褒めているのに、どうして?」と思ってしまうかもしれません。
私も以前は、息子が満足する答えを探して、褒め言葉を重ねていました。
けれど、息子に必要だったのは褒める言葉を増やすことではなく、「どこを見て、どう思ったのか」を具体的に伝えることだったのです。
同じように、ASDの子どもから何度も感想を求められて困っているときは、
「すごいね」ではなく、「ここまで細かく作ったんだね」
「かっこいいね」ではなく、「こんな使い方、ママは初めて見たよ」
と、まずは一つ、目に見えた事実や自分が感じたことを具体的に伝えることから試してみてください。

執筆者: おかもと ひろ
発達科学コミュニケーション リサーチャー





