またケンカが始まった!癇癪を起こすと嫌だな…兄弟ケンカが発生するたびにまた対応しなきゃ。とうんざりしているママはいませんか?この記事ではASDの子どもの兄弟ケンカに巻き込まれずに癇癪を落ち着かせるための対応をお伝えします。
1.兄弟ケンカのたびに癇癪を起こすASDの子どもの対応にお困りのママはいませんか?
夕方の忙しい時間帯に、ふと子ども部屋から大きな声が聞こえてくる。
駆けつけると、兄弟が顔を赤くして言い争い、涙をこらえきれないASDの子どもが物に当たり始める。
そんな光景に、あなたは「またか…」と心の中でため息をつく。
そして、ついに堪えきれず、
「いい加減にしなさい!」
「仲直りしなさい!」
と叫んでしまう兄弟ケンカの仲裁をしていませんか?
ケンカをしている声って 聞いてる側もいやな気持ちになるので、 「やめて欲しい」と思って、 何度も注意したり、諭したりしますよね。
ですが、毎日の兄弟ケンカの仲裁をママがしても 兄弟ケンカ、そこからの癇癪は全く減らないという現実があります。
ケンカが起こる→ママが仲裁する→子どももママも疲れる
この悪循環を卒業していきたいですね。
2.毎日の兄弟ケンカの癇癪にうんざりしていました
私には自閉スペクトラム症(ASD)の診断を受けた小5になる息子を含めた、4人の子どもがいます。
毎日が賑やかなのですが、兄弟ケンカがものすごく多い時期がありました。
ASDの息子は、お兄ちゃんとのケンカの度にひどい癇癪を起こしていました。
・ずっと泣き続ける
・物に当たる
・私に当たる
この姿を見て、
「いい加減にしなさい!」
「いつまでも泣かない!」
「泣いててもどうにもならない」
とASDの息子に言い、
兄弟ケンカの発端のお兄ちゃんたちにも
「ケンカになるとめんどくさいからやめて」
「また、始まった。うるさい」
「怒らせないでくれる?」
と注意が厳しくなっていきました。
私の中で、兄弟ケンカから始まるASDの息子の癇癪は、大きなストレスでした。
この癇癪は、ずっと続くのだろうか?と不安でいっぱいでした。
3.ASDの子どもが兄弟ケンカから癇癪を起こす理由
たびたび起こるASDの子どもの兄弟ケンカには適切な対応が必要です。
兄弟ケンカをやめさせるのではなく、兄弟ケンカをどう解決していくのか。
どう自分の気持ちをコントロールしていくのかが重要になります。
兄弟ケンカから学べることがたくさんありますよ。
ASDの子どもが兄弟ケンカから癇癪を起こすのは、
・感情コントロールが難しい
兄弟とのケンカで怒りや不安が高まると、それを抑えることができない
・予測できない状況に対応できない
兄弟ケンカは、突然起こるもの、予測できない状況に不安が増す
・自分の気持ちを伝えることが難しい
言葉にできず、伝えられない代わりに癇癪を起こしてしまう
・ストレスを受けやすい
感覚過敏さにより、大きな声やケンカ中の体の接触がストレスになる
などの理由が重なり合っています。
なぜ癇癪になっているのかをぜひASDの子どものママには知って欲しいと思います。
これらの理由をママが知っておくと、対応が変わってきます。
ASDの子どもにとって、ママが「分かってくれた!」という感情はとても安心に繋がっていき、心が安定していきます。
ママの声かけと対応で、安心・安定の気持ちをしっかり作り、兄弟ケンカから癇癪を起こす悪循環を減らしていきたいですね。
次の章で、実践編をお伝えします。
4.癇癪を起こすASDの子どもの兄弟ケンカに巻き込まれない対応3ステップ
兄弟ケンカの癇癪の最中はものすごくストレスがかかっています。
次のステップで進めてみてくださいね。
①癇癪がちょっとおさまるタイミングまで様子を見る
激しく泣いている時は、こちら側から注意や助言をしても、聞き入れる態勢になっていません。
ちょっと泣く声が小さくなってきたり、別の行動をし始めたら、気持ちが落ち着いてきたサインです。
すぐに声をかけずに、泣き方に変化がないか様子をみてみましょう。
②ママに当たってきた時はチャンス!
「ママ〜」 「お兄ちゃんがね」などと、 ASDの子どもがママに対して
ケンカの原因やモヤモヤを言いに来た時はチャンスです。
「うるさいなー」 「まだ泣いてるの?」というママの気持ちは 一旦横に置いておいてくださいね。
兄弟ケンカから上手に、切り替える力を育てる貴重なチャンスになります。
「何を言ってくるんだろうか?」とママの気持ちを整えましょう。
③「他には?」と言うことがもうない!というところまでアウトプット
こんなことがあった、これが嫌だった!などママにだけ話をしてくれたことに共感していきます。
「そうかー」「うんうん」と、とにかく聞き手に回ります。
「他には?」「他には?」と全部吐き出し、アウトプットさせる声かけをしていきましょう。
ママのアドバイスは不要です。
もう言うことは全部言ってしまったというところまでじっくり聞いてみてください。
本人が嫌だと感じた瞬間が分かったり、お兄ちゃんたちがモヤっとした出来事が感じ取れたりと、新たな発見が見つかることもありますよ。
最後は、「話してくれて、気持ちが分かったよ」と話してくれたことを肯定して終わっていきます。
兄弟ケンカをやめさせるのではなく、起こった時にどう対応するかが大事です。
兄弟ケンカを通して学ぶことが多くあることを知った私は、兄弟ケンカを観察するようになり、ASDの息子の気持ちを全部受け止めることをゴールに設定して、このステップで対応を続けました。
今では、私に当たることもキレイになくなり、 ケンカになっても自分でお兄ちゃんたちと距離をおいて、自分で気持ちを気持ちをコントロールできるようになっています。
また、私がケンカの仲裁をしなくなってから、 兄弟ケンカそのものが減るという思わぬ嬉しい効果もありました。
この記事が、兄弟ケンカの捉え方を考えるヒントになれば嬉しいです。
執筆者: 堀このみ
発達科学コミュニケーション トレーナー