ギフテッドの癇癪はなぜ起こる?高IQの子が爆発する理由と対応

 
 

賢いのに、なぜこんなに癇癪を起こすの?高IQ・ギフテッドの子が激しく怒る背景と、癇癪を長引かせない親の対応を解説します。繰り返す爆発を「防衛モード」という視点から捉え、子どもが自分で落ち着きを取り戻す関わり方を紹介します。

 

1.「なんでこんなことで」ギフテッドの癇癪に困っていませんか?

 

ちょっと間違えただけなのに、怒る。

思い通りにできないと、泣いたり物に当たったりする。

負けそうになると、「もうやらない!」と投げ出す。

注意されると、言い訳や屁理屈が止まらなくなる。

 

できないことがあると、「もういい!」と全部をやめてしまう。

 

そんなわが子を見て、「なんで、こんなことで癇癪になるの?」と思うことはありませんか?

 

理解力は高い。

難しいことも知っている。

好きなことなら、大人が驚くほど集中できる。

 

だからこそ、「悔しいのはわかるけど、怒ったってしょうがないって、頭ではわかるでしょ?」と思ってしまうんですよね。

 

 

「間違えたって、もう一回やればいい」

「負けることだってある」

「最初から何でもできる人なんていない」

そんなことは、本人だってわかっているはず。

 

 

なのに、できない。

 

 

思い通りにならないと、爆発する。

 

 

だからママは、「こんなに頭ではわかっているのに、どうして?」と戸惑ってしまうんです。

 
 

私も、ギフテッドの特性を持つ息子たちを育てる中で、何度もそう思ってきました。

 

 

「怒ったってしょうがないよ」

「失敗したって、もう一回やればいいよ」

「そんなに怒らなくても大丈夫だよ」

そう伝えても、癇癪はなくならない。

 

 

むしろ、こちらがなだめようとすればするほど、さらに怒ることさえありました。

 

 

「こんなに頭ではわかっているのに、どうして?」

私もずっと、その答えがわかりませんでした。

 

 

だけど、子どもたちや生徒さんたちを見ていく中で、癇癪だけを見ていても、本当の理由は見えてこないことに気づいたんです。

 

 

そのことが、とてもよくわかる出来事がありました。

 

 

 

 

2.「宿題をやらなくていいなんて、僕を苦しめたいのか!」

 

生徒さんからこんな報告を受けました。

 

 

宿題をやりたくないお子さんと、毎日のようにバトルになっていたママ。

 

 

疲れているわが子を見て、「今日はもう宿題をやらなくていいよ」と声をかけました。

 

 

ママとしては、「今日は休んでいいよ」という気持ちだったと思います。

 

 

ところが、お子さんは烈火のごとく怒り出しました。

 

 

「宿題をやらなくていいなんて、僕を苦しめたいのか!」

 

 

ママからしたら、「え!?」ですよね。

 

 

「宿題をやりなさい」と言って怒るなら、まだわかる。

 

 

だけど、「やらなくていいよ」と言ったのに怒る。

 

 

「じゃあ、どうしたらいいの?」と思ってしまいます。

 

 

すると、その子はこんなことを言ったんです。

 

 

「宿題をしていかなかったら、僕が怒られるんだ!
ママは、僕が怒られてもいいのか!」

 

 

ここで初めて、この子が何に怒っていたのかが見えてきます。

 

 

宿題をやりたくない。

 

 

だけど、宿題をやらずに学校へ行って、先生に怒られるのも嫌。

 

 

だから、

「やりなさい」と言われても嫌。

「やらなくていい」と言われても嫌。

 

 

大人から見ると、「じゃあ、どうしたいの?」ですよね。

 

 

だけど、この子の中では矛盾していなかったんです。

 

 

「宿題はやりたくない。
だけど、ちゃんと宿題をやって学校に行きたい。」

 

 

この、「ちゃんとしたい」が、とても強かった。

 

 

だから私は、ギフテッドの子の癇癪を見たとき、「怒りすぎ」だけではなく、その子が“どうしたかったのか”を見ることが大事だと考えています。

 

 

癇癪の奥に、

「ちゃんとやりたい」
「できる自分でいたい」
「自分が納得できるところまでやりたい」

が隠れていることがあるからです。

 

 

そして、この強い「ちゃんとやりたい」を、私はただの困った完璧主義としてなくしたくありません。

 

 

なぜなら、この力は使い方が変われば、その子が何かを「極める力」になると思っているからです。




 

 

3.できないこともあるのに、なぜ「そこ」だけ許せないの?

 

ギフテッドの子を見ていると、何でも完璧にやっているわけではありません。

 

 

宿題をやりたがらないこともある。

苦手なことは避けることもある。

できないことだって、もちろんあります。

 

 

だからママからすると、「この子が完璧主義?」と、ピンとこないこともあると思います。

 

 

だけど、自分が「できる」と思っていたことができなかった。

 

 

思い描いていた通りにならなかった。

ゲームで負けた。

自分の答えが間違っていた。

 

 

そんな本人がこだわっているところでは、「まあ、いっか」ができない。

 

 

突然、激しく怒ったり、「もうやらない!」と全部投げ出したりする。

 

 

ママからすると、「できないことなんて他にもあるのに、なんでそこだけそんなに怒るの?」ですよね。

 

 

私は、この**「そこだけは譲れない」**にも、その子の完璧主義が隠れていることがあると思っています。

 

 

完璧主義って、何でも完璧にできることではありません。

 

 

むしろ、自分が「こうしたい」と思ったことに対して、強い基準やこだわりを持っている。

 

 

だから、その「こうしたい」と現実がズレたときに、本人にとっては、とても大きな出来事になる。

 

 

そして私は、この強いこだわりを、ただ「面倒な完璧主義」としてなくしたくないんです。

 

 

だって、

「こうしたい」

「ここまでできるようになりたい」

「もっと上手くなりたい」

と、自分の中に基準を持てることは、

 

使い方が変われば、一つのことを、とことん「極める力」にもなるからです。

 

 

 

4.完璧主義は使い方を変えれば、才能になる

 

では、本来「極める力」にもなる完璧主義が、なぜ今は、癇癪や「もうやらない!」になっているのでしょうか。

 

 

私は、完璧主義そのものが問題なのではなく、その力を何に使っているかが大事だと考えています。

 

 

そして、その力の使い方を変えれば、才能に変わっていくと思っています。

例えば、「もっと上手くなりたい」と思っている子が、失敗したとき。

 

失敗しても受け入れられる状態なら、「なんでできなかったんだろう?」「もう一回やってみよう」「次はこうしてみよう」と、その完璧主義を試行錯誤することに使えます。

 

ところが、

「失敗したらダメ」

「間違えたら恥ずかしい」

「できない自分は嫌だ」

という思いが強くなっていると、

 

失敗しないために、やらない。

 

負けないために、途中でやめる。

 

できない自分を認めないために、言い訳をする。

 

そして、思い通りにならないと、癇癪になる。

 

同じ、「ちゃんとやりたい」「もっとできるようになりたい」という力なのに、一方は、「もう一回やってみよう」に向かい、もう一方は、「もうやらない!」に向かう。

私は、ここを見てほしいんです。

 

 

問題なのは、完璧主義そのものではありません。

 

 

その子の「極める力」が、成長するためではなく、失敗から自分を守るために使われていること。

 

 

私は、このように

「失敗したくない」

「傷つきたくない」

「できない自分を見たくない」

と、自分を守ろうとする働きが強くなっている状態を、「防衛モード」という視点から捉えています。

 

 

防衛モードになっているときは、本来持っている高い思考力も、

「どうしたらできる?」

ではなく、

 

「どうしたら失敗しない?」

「どうしたら傷つかない?」

に使われやすくなります。

 

 

だから、癇癪を止めることだけがゴールではありません。

 

 

自分を守るために使っていた力を、もう一度「どうしたらできる?」に使える状態へ戻していく。

 

 

それが、完璧主義を「極める力」に変えていくために大切だと考えています。

 

 

だから必要なのは、「完璧じゃなくていい」と完璧主義を弱めることだけではなく、その力を、もう一度「やってみる」方向へ戻していくことなんです。

 

 

 

 

5.私も、癇癪をなくすことばかり考えていました

 

息子たちの癇癪が激しかった頃の私は、とにかく、「どうしたら怒らなくなる?」を考えていました。

 

 

癇癪を起こさないように先回りする。

失敗しないように助ける。

怒りそうなことを避ける。

正しいやり方を教える。

 

 

だけど、それだけでは、「自分で失敗を乗り越える力」は育っていきませんでした。

 

 

私が本当に育てたかったのは、癇癪を起こさない子ではなかったんです。

 

 

できないことに出会っても、「じゃあ、どうしたらできる?」と考えられる。

 

 

自分だけでは難しかったら、「ここ、手伝って」と言える。

 

 

失敗しても、「もう一回やってみよう」と次に進める。

 

 

そして、好きなことに出会ったら、自分の「もっと」を思い切り使って、とことん極めていける。

 

 

そんな子にしたかったんです。

 

 

だから私は、癇癪をなくすことより、癇癪の奥にある力を、どう育てるかを見るようになりました。

 

 

 

 

6.癇癪が起きたら、「怒らないで」の前に見て欲しいこと

 

もし、

間違えたとき。

負けたとき。

思い通りにできなかったとき。

注意されたとき。

 

わが子が激しく怒ったら、癇癪を止めることだけを考える前に、一度、「この子は、本当はどうしたかったんだろう?」と見てみてください。

 

「ちゃんとできたかった。」

「勝ちたかった。」

「自分でやりたかった。」

「分かってほしかった。」

 

その子なりの、「こうしたかった。」が見えてくるかもしれません。

 

そして、もう一つ。

「この子の『もっとできるようになりたい』は、今どこに向いている?」

 

 

失敗しないこと?

自分を守ること?

それとも、できるようになるためにもう一回やってみること?

 

完璧主義をなくす必要はありません。

 

癇癪の奥にある、「もっとできるようになりたい」まで消さなくていい。

 

むしろ私は、その力を大切にしたい。

 

失敗しないための完璧主義から、
「もっと知りたい」
「もっとやりたい」
「もっと上手くなりたい」
と、自分の世界を広げる「極める力」へ。

 

ギフテッドの子が持っている強い「もっと」は、困りごとだけではありません。

 

その子がいつか、誰よりも夢中になって何かを追いかけていく力になるかもしれない。

 

だから私は、「この完璧主義をどうやめさせよう?」ではなく、「この子は、この『極める力』で何を夢中になって追いかけるんだろう?」と考えられるママを増やしたいと思っています。

 

 

もし今、

「うちの子も、できないから怒っているのではなく、自分を守ろうとして爆発しているのかも」と感じたなら、癇癪の奥にある「防衛モード」を一度チェックしてみてください。

 

 

「怒る子」ではなく、「何から自分を守っている子なのか」が見えてくると、関わり方も変わってきます。

 

 

→ 防衛モード診断はこちら

 

 

執筆者:発達科学コミュニケーショントレーナー 神山彰子

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