ギフテッド男子がプライドの高さを見せる裏には、自己肯定感の低さが隠れています。そして、自己肯定感が低下してしまうのは彼ら特有の「非同期発達」や「完璧主義」、「脳科学的な壁」が大きく影響しているのです。
1 ギフテッド男子が自己肯定感が低い理由
なぜ、褒められることもあるギフテッドの子たちの自己肯定感が下がってしまうのでしょうか?
それは、彼らの3つ発達特性に原因があります。
①非同期発達が引き起こすギャップ
②完璧主義が自己否定を強める
③脳科学的な壁
一つ一つ解説していきますね。
①非同期発達が引き起こすギャップ
ギフテッド男子は、知的能力が非常に高い一方で、感情面や社会性の発達が遅れていることがあります。この「非同期発達」によるギャップが、「僕はできない子だ」という劣等感を生み出します。
例えば、難しい言葉や科学的なことは知っているのに、友達とのちょっとした喧嘩で感情を抑えられない。
周囲の大人に「頭が良い子」と思われているからこそ、なんで、そんなことができないんだと誤解されて、責められてしまう。
こうした状況が、プライドを盾にして自分を守ろうとする行動につながっているのです。
非同期発達については、こちらでも解説しています▼
②完璧主義が自己否定を強める
ギフテッド男子は、こうした方がいいということを頭では理解できています。なので、「こうあるべき」という理想像を自分の中に持っています。
その高い理想に少しでも達しないと、「自分はダメだ」と感じ、自己否定に陥りがちです。
決して、完璧を目指そうとしているのではなく、みんなできて当たり前という感覚を持っているということです。
優秀な人のできている部分だけをみて、みんなはこれくらいできるはずなのに、自分はできていない、ダメな子だと思ってしまうのです。
③脳科学的な壁によって、自己肯定感が下がる。
IQが高い子は、前頭前皮質が厚みのピークに達するのが他の子よりも遅いと言われています。その未熟さから、ランドセルの中やお道具箱の中がぐちゃぐちゃ、忘れ物が多いなどになってします。
けれども、難しいことを知っていたりするので、怠けていると誤解されてしまったり、周りと自分を比較して、できない自分はダメな子だと考える様になってしまうのです。
こうして自己肯定感が低下し、さらにプライドの高さで自分を守るという悪循環に陥るのです。
2 自己肯定感を育てることが息子のプライドの高さを解消する鍵でした
私の息子は、IQが高く、発達に凸凹があるギフテッド(2E)と呼ばれる子です。
小さな頃は、好奇心が旺盛で想像力が豊かなニコニコしている子でした。
小学校に通い出すと、字を書くことが苦手、じっとしていることが苦手など、学校生活の中でうまくできないことが増えていき、彼は失敗を極端に恐れるようになりました。
そして、失敗しそうなことには挑戦しない、みんなの前では発表しない、簡単なこともやらなくなっていきました。
「〇〇になら、きっとできるよ。」と伝えても、フン!と答えるばかりで簡単なことでもやろうとしない。
テストを受けることもノートを取ることも授業に参加することさえも息子はやめました。
そして、ある日、一部の子とうまく関われないことで「友達はいない!」「学校を爆破してやる!」と感情を爆発させて不登校になりました。
その後の彼は、ゲームばかりで少しでも気に入らないことがあると癇癪をおこし、ハンガーストライキを起こしたり、彼は自分の体を大切にすることをやめました。外に出ることさえもやめました。
その時に気づいたのです。
息子ができなさそうなことにやらないのは、自分を守るための最後の手段だったのだということを。

3 自己肯定感の基盤を築くことで未来が開ける
自己肯定感が低いままだと、ギフテッド男子は、自分の力を信じられず、できる気がしないので、挑戦を避けるようになったり、他人と比べ、自己否定感を強め、人間関係で苦しむことになります。
心の内側に抱えたプレッシャーが、成長とともに大きな問題として表れることもあります。
けれども、彼らの特性を知り、自己肯定感を育ててあげることで挑戦することも人と関わることもできる様になっていきます。
特に小学生から中学生にかけての時期は、自己肯定感の基盤を育む重要なタイミングです。
この時期にサポートを始めることで、彼らの才能を輝かせる未来が開かれます。
4 ママの対応でプライドという防護壁を取り除こう!
プライドの高さは、ギフテッド男子が自分を守るために築いた防御壁です。
その背後にある自己肯定感の低さを理解し、適切なサポートをすることで、彼らはプライドを過剰に持たなくても安心して自分を表現できるようになります。
親として、彼らの内側にある繊細な心に寄り添いながら、才能を伸ばすサポートをしていきましょう。

執筆者:発達科学コミュニケーショントレーナー 神山彰子
