学校までは来られるのに教室に入れない。毎朝先生に託していた私
小学1年生になり、息子の行き渋りが始まり、私は毎朝、息子と一緒に昇降口まで付き添って登校していました。
なんとか学校までは来られても、そこから先へ進めません。そんな息子を見て、担任の先生は毎朝昇降口まで迎えに来てくれていました。
ところが先生が、「はい、行くよ」「体育だから着替えるよ」と手を差し出すと、息子は逃げます。先生が追いかけ、息子がまた逃げる。
まるで鬼ごっこのようなやり取りが毎朝のように続いていました。そんな姿を見るたびに、私は申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
「先生にはクラスのみんながいるのに、息子だけにこんなに時間を使ってもらっていいのかな」そう思いながらも、私には仕事があります。

時間が迫ると息子が泣いていようが、暴れていようが、手を振り払い、先生に託して車まで走る。「これしかない」そう自分に言い聞かせていました。
生活に慣れてくれば、そのうち大丈夫になる。朝は大変だけど、学校に入ってしまえば普通に過ごしている。私はそう思っていたのです。
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教室に入れないのはなぜ?不安が強い子が動けなくなる理由
朝、立ち止まってしまい教室に入れない子は、教室が嫌だとは限りません。不安が大きくなり、次の行動へ進めなくなっていることがあります。
不安が強い子にとって、朝の登校は「学校に着けば終わり」ではありません。家から学校へ行き、昇降口に入り、ママと離れ、先生や友達のいる教室へ向かう。
朝は短い時間の中で、次々と環境が変わり、不安を感じやすくもなります。

息子は新しい環境の中で、困っても「困った」と言うことが苦手でした。そのため、不安が大きくなると、体が固まったり、先生から逃げたりして、次の行動へ進めなくなっていたのです。
そんな状態のときに、「早く行こう」「教室へ行くよ」と次の行動を促されても、息子にはすぐに動くことが難しかったのだと思います。
必要だったのは、教室へ向かわせることを急ぐことではありませんでした。まず、「ここなら大丈夫」と思える安心をつくることだったのです。
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教室に入れない朝、先生にお願いした2つの関わり
毎朝先生が迎えに来てくれているのに、先生から逃げてしまう息子に、私はどうしたらいいのか分かりませんでした。
そこで北華ゆかさんに相談しました。
先生が息子を迎えに来たときに、「行くよ」「体育だから着替えるよ」と、次の行動を促す言葉から入っていることを話すと、「まず、今できていることを認めるところから入ってもらおう」とアドバイスをもらいました。
そして、ただ「朝、教室に入れなくて困っています」と伝えるのではなく、「この子が動きやすくなるために、どう関わってもらうか」まで具体的に先生にお願いすることにしました。
私が先生にお願いしたのは、次の2つです。
指示より先に「よく来たね」と声をかけてもらう
それまで先生は息子を迎えに来ると、「はい、行くよ」「体育だから着替えるよ」と、次にすることを伝えてくれていました。
そこで私は先生に、「指示を出す前に、まず『よく来たね』と声をかけてもらえますか?」とお願いしました。
息子には「早く動こう」と次の行動を促されるより先に、「まずは学校まで来られた自分を認めてもらえた」という安心が必要だったからです。
今できていることを認めてもらうことで、「ここなら大丈夫」と安心でき、先生から逃げず、次の一歩を踏み出しやすくなっていきました。
それからは、「今日のジャンバーかっこいいね」「あったかそうな服だね」など、言葉のバリエーションを変えながら、先生に朝の対応をお願いしていきました。
大勢ではなく、安心できる人に迎えてもらう
もう一つ先生にお願いしたのは、誰が迎えに来るのかということでした。
登校すると、息子のことを気にしてくれている子どもたちが、勢いよく迎えに来てくれることがありました。息子を思って来てくれていることは、私もとても嬉しかったです。
ところが、たくさんの子に一気に囲まれると、息子は固まってしまい、普段できていることまでできなくなることがありました。
不安が強くなっているときは、たくさんの人から一度に声をかけられることも、息子には負担になっていたのです。
そこで先生には、朝は大勢の子に囲まれるのではなく、先生か、息子が安心できる特定のお友達に迎えてもらいたいとお願いしました。

「今日は誰が来るんだろう」と分からない状態ではなく、「誰が迎えに来るのか分かる」ことで見通しが持て、それが息子の安心につながりました。
先生にお願いしたことで、朝の鬼ごっこがなくなった
先生に朝の関わり方をお願いしたところ、昨日まで先生から逃げ回っていた息子が、自分から先生のところへスッと歩いていったのです。
そして、その後も3日間連続で、自分から先生のところへ行くことができました。
「昨日までの追いかけっこは何だったの?」と思うほどの変化でした。
以前の私は、先生に何かお願いするたびに、「こんなことまで頼んでいいのかな」「迷惑をかけているんじゃないかな」と申し訳なく思っていました。
だけど、先生にお願いすることは、息子のできないことをすべて助けてもらうことではありませんでした。
北華ゆかさんに相談したことをきっかけに、私自身の見方も変わりました。
「先生に迷惑をかけないようにしなきゃ」ではなく、「息子が動ける方法を先生と共有しよう」と考えるようになったのです。

先生と一緒に朝の安心をつくったことで、息子にとって学校にも「ここなら大丈夫」と思える場所が増えていきました。今でも息子は、1年生のときの担任の先生が大好きです。
教室に入れることだけをゴールにするのではなく、「どうしたら安心して、自分から一歩を踏み出せるだろう」と考える。その安心が、息子がママの手を離れ、自分から教室へ向かう一歩につながっていったのです。
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朝、教室に入れない行き渋りに悩むママのQ&A
A.不安が強い子にとって、朝は環境が次々と変わる時間だからです。
家から学校へ行き、昇降口に入り、ママと離れて教室へ向かう中で、不安が大きくなることがあります。そんなときは、無理に教室へ向かわせるより、まず「ここなら大丈夫」と思える安心をつくることが大切です。
A.困りごとだけでなく、「どう関わってもらえると動きやすいか」まで具体的に伝えてみましょう。
わが家では、指示をする前に「よく来たね」と声をかけてもらうことや、大勢ではなく安心できる人に迎えてもらうことをお願いしました。子どもに合った関わりを先生と共有することで、朝の安心につながります。
A.私も「先生に迷惑をかけているのでは」と申し訳なく思っていました。
ですが、先生にお願いすることは、子どものできないことをすべて助けてもらうことではありません。「どうしたら安心して教室へ向かえるか」を先生と共有することで、息子は少しずつ自分から次の一歩を踏み出せるようになりました。
<執筆者>発達科学コミュニケーション アンバサダー
秋葉えり





