「もう大丈夫」と思っていた私。運動会で泣いて固まる姿にショックを受けた
息子は体を動かすことが好きで、保育園でもドッジボールやリレーを楽しんでいました。
一方で、運動会になると年少・年中の頃は泣いたり、踊らずに固まったり、友達と一緒にくっつきながら競技に参加したりする姿がありました。
「大丈夫かな?」私は毎年、そんな心配をしながら息子を見ていました。
ところが年長の運動会では、緊張した表情をしながらも踊り、競技にも渋らず参加することができました。
その姿を見た私は、「あっ、もう大丈夫だ」と思いました。
それまで抱えていた心配が、この1日で一気に吹き飛んだような気持ちでした。
そして迎えた小学1年生。
学校から届いた運動会のお知らせには、選抜リレーの補欠として息子の名前が載っていました。
学校への行き渋りの兆しはありましたが、私は、「運動会は大丈夫!」と、当日を楽しみにしていました。
ところが運動会当日の朝、息子はいつも以上に学校を嫌がり、車から降りようとしませんでした。
時間をかけながらなんとか昇降口まで送り、私にしがみつく息子を先生に託しました。
一度家に戻り、家族と学校へ向かいました。
「大丈夫かな……。そもそも参加できるのかな」
私の心はバクバクしていました。
開会式が始まり、1年生の列を見ると、先生の前で下を向いて泣いている息子がいました。

徒競走では、先生に手を引かれながら走りました。
ダンスでは先生に立ち位置まで連れて行ってもらいましたが、その場で固まっていました。
最後は玉入れ。息子は小さく踊り、玉入れに参加することができました。
その姿を見た瞬間、私は涙が出ました。
折れそうになっていた私の心を、唯一救ってくれた姿でした。
それと同時に、「リレーの補欠の出番がなくて、本当によかった」とも思いました。
運動会が終わり、周りを見ると、私には息子以外の子どもたちはみんな参加できているように見えました。
「やっぱりうちの子は何か違う」「なんでみんなと同じようにできないんだろう」と思っていました。
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運動会で泣く・固まるのは「できない」のではなく、不安で力を出せなかったから
運動会は、大勢の人がいる、いつもと雰囲気が違う、何が起こるか見通しを持ちにくいなど、
子どもにとって不安や緊張が大きくなりやすい場面です。

そのため、不安が強い子は、泣く、固まる、踊らない、動けないといった姿が表れることがあります。
年少・年中の頃にも、運動会で泣いたり、踊らずに固まったりする姿がありました。
それでも同じ環境の中で経験を重ねるうちに、
小さな自信や「できるかも」が少しずつ積み重なり、
年長では緊張しながらも踊ったり、競技に参加したりする姿が見られるようになりました。
そこまでに何年もかかっていたのです。
新しい学校生活に慣れることだけでも精一杯だった息子に、さらに運動会という普段とは違う1日がやってきたのです。
運動会で固まってしまったのは、息子に「できる力」がなかったからではありませんでした。
大きくなった不安や緊張によって、持っている力を出しにくくなっていたのです。
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泣いて固まる子に「自分ならできるかも」を育てた2つの関わり
「できなかった」ではなく、小さな「できた」を具体的に伝える
そんな中、私は北華ゆかさんから「未完の円」の話を聞きました。
完成している円よりも欠けている円の方に目が向くように、
私たちはつい、子どもの足りないところ、できていないところに目を向けてしまいがちだ
という話でした。
そこで教えてもらったのが、
「ずっと動けていないわけではない。動けるときもある。
その動けているところに目を向けよう」という見方でした。
私はこの話を聞いて、
できなかったことではなく、息子ができていたことを探してみようと思いました。
以前の私だったら、運動会が終わった息子に、
「本当は足が速いんだから、走ればよかったのに!」
「なんで踊らなかったの?」と、
できなかったことを責めるような言葉をかけていたと思います。
だけど、この日の私は、
「息子が動けていたところは、どこだったんだろう?」という視点で運動会を振り返りました。
そして、
「ダンスでさ、隊形移動で動けてたね」
「玉入れではさ、カゴまで強い球投げてたね」と、
できていたことを具体的に言葉にして伝えました。
息子は最初、「俺、全然できてなかった」と否定的なことばかり言っていました。
それでも、できていたことをたくさん伝えていくと、
「え、そうだった?」と、自分でも少し驚いたように受け取っていました。

私は、できなかったことをできるようにさせようとするのではなく、
息子自身が気づいていない小さな「できた」を見つけて伝えるようになったのです。
すると運動会が終わってから、息子は毎日のように家で楽しそうにダンスを踊るようになりまし
た。時には先生役になって、妹に踊りを教える姿まで見られました。
「大丈夫」ではなく、不安を受け止めて安心できる方法を一緒に考える
そして2年生の運動会が近づいてきました。
学校で運動会の練習が始まると、息子は家でも少しずつ踊るようになりました。
私はその姿を見て、
「腕がピンと伸びてるね」
「キレがあっていいね」と、目の前でできていることを具体的に言葉にして伝えました。
息子に踊りを教えてもらいながら、私も一緒に楽しむこともありました。
一方で、息子は、
「みんなに見られるのが嫌だな」
「途中でトイレに行きたくなったらどうしよう」など、
運動会への不安を口にすることもありました。
そんなとき私は、不安を消そうとするのではなく、
「たくさんの人に見られるとドキドキするんだね」と、
まずは息子の不安な気持ちをそのまま受け止めました。
そして、「トイレタイムになったら毎回行っておくと安心かもね」と、
不安に感じていることには、どうしたら安心できそうかを一緒に考えるようにしました。
不安な気持ちを受け止めてもらいながら、小さな「できた」にも気づく。
その経験を重ねることで、息子の中に「自分にもできている」という感覚が
少しずつ増えていきました。
そして、小さな「できた」が自信になり、
「不安だけど、自分にもできるかも」という気持ちにつながっていったのだと思います。
先生に手を引かれていた運動会から、自分の力で参加できた運動会へ
そして迎えた2年生の運動会。
応援合戦、徒競走、玉入れ、ダンス。
息子は緊張しながらも、すべての競技に自分の力で参加していました。
1年生のとき、先生に手を引かれながら走っていた息子。
ダンスでは立ち位置まで連れて行ってもらい、その場で固まっていた息子。
その息子が今、不安があっても自分の力で動いている。私はその姿を見ることができました。

そして、変わったのは息子だけではありません。
「なんでみんなと同じようにできないんだろう」と見ていた私も、
今では、「今、どこができている?」と息子を見るようになりました。
これからも私は、運動会だけではなく、
新しいことに不安を感じる息子のできなかったところを見るのではなく、
今できている小さな一歩を一緒に見つけていきたいと思います。
不安があっても、「自分ならできるかも」「やってみよう」と、自分の力で一歩を踏み出していく。
そんな息子の力を、これからも育てていきたいと思っています。
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運動会で泣いて固まる小学生についてよくある質問(Q&A)
A.運動会で泣いたり固まったりするのは、普段と違う環境で不安や緊張が大きくなり、持っている力を出しにくくなっていることがあります。
大勢の人がいる、いつもと雰囲気が違う、見通しを持ちにくいなど、運動会は不安や緊張が大きくなりやすい場面です。そのため、泣く、固まる、踊らない、動けないといった姿が表れることがあります。
A.できなかったことを指摘するより、子どもができていた小さなことを具体的に伝えてみましょう。
「隊形移動で動けてたね」「玉入れで強い球を投げてたね」など、本人が気づいていない「できた」を伝えることで、「自分にもできている」と感じる経験につながります。
A.「大丈夫だよ」と不安を消そうとするのではなく、まずは子どもの不安な気持ちを受け止めてみましょう。
「みんなに見られるのが嫌」なら「たくさんの人に見られるとドキドキするんだね」と受け止めます。「トイレに行きたくなったらどうしよう」など具体的な心配がある場合は、どうすれば安心できそうかを一緒に考えることもできます。
<執筆者>発達科学コミュニケーションアンバサダー
秋葉えり




