「急に体当たりしてくるようになった」
「何度やめてと言っても、ぶつかってくる」
「ふざけているだけなのか、この先が心配…」
そんな不安を感じて、この記事にたどり着いたお母さんも多いのではないでしょうか。
これは私自身も、かつて抱えていた悩みです。
そして現在、発達科学コミュニケーションのトレーナーとして活動する中で、特に思春期前の小学生ママから、このお悩みをたくさんご相談いただいています。
小学生の子どもが体当たりしてくるのはなぜ?
体当たりの行動は、「遊びたいから」「構ってほしいから」それだけで起きているわけではありません。
今、体当たりという形で表れているのは、子どもの中で起きている“調整のサイン”であることが多いのです。
体当たりの背景にある4つの状態
◉これは「わざと困らせたい行動」ではありません。
体当たりの行動は、注目を集めたい・感覚で自分を整えたいなど、今の脳の状態を調整するために起きていることが多い行動です。
・体に強い刺激を入れることで、自分を整えようとしている
・たまったエネルギーを外に出したい
・感情の出口が、まだ言葉ではなく体の動きしかない
・気持ちを言葉で調整する力が、発達途上の脳の状態
どれか一つではなく、複数が同時に起きているケースがほとんどです。
その「調整」の中でも、特に多く関係しているのが「注目の受け取り方」です。
ここで大切なのが、「注目」には2種類あるという視点です。
子どもは、
・叱られる
・注意される
・止められる
といった否定的な注目でも、「ママが自分を見てくれた」と感じることがあります。
一方で、
・落ち着いているとき
・穏やかに過ごしているとき
・素直に関われているとき
に向けられる肯定的な注目は、子どもの脳を安心させ、行動を安定させていきます。
体当たりが続く背景には、否定的な注目が増え、肯定的な注目が足りなくなっている状態が重なっていることも少なくありません。
なぜプレ思春期に増えやすいのか
プレ思春期とは、思春期(12〜14歳頃)の少し手前、小学校高学年(9〜11歳頃)にあたる時期のことです。
この時期は、自我や自立心が育ち始める一方で、心と体の成長のスピードにズレが生じやすく、イライラ・反抗的な態度・無気力といった形で不安定さが表れやすくなります。
「自分で考えて動きたい」という気持ちが強まる反面、気持ちを言葉で整理したり、自分でブレーキをかけたりする力は、まだ成長途中。
そのため、気持ちを体の動きで表す行動が増えやすい時期でもあるのです。
脳は、安心しているときは落ち着きやすく、緊張や不安がたまると、体を使って発散しようとします。
体当たりは、「今の状態を何とか保とうとするために、体を使っているサイン」として現れていることも多いのです。
体当たりが起きていない時間に目を向けること


