前はできていたのに…。小学校を不登校になったその後には、食事や身支度など生活面でできていたことが一時的に難しくなることがあります。できなくなってしまう理由から見えた無理に戻そうとしない関わり方の重要さと具体的なやり方を紹介します。
1.「前はできていたのに…」できなくなったわが子に戸惑った日
不登校になり始めた頃、前はできていたことが急にできなくなり、戸惑っていませんか。
食事や身支度など、それまで普通にできていたことが急に難しくなると、「わがまま?」「やる気の問題?」と感じてしまうこともありますよね。
この記事では 、小学校を不登校になったその後に見られる「前はできていたのにできなくなる変化」と、その時の関わり方についてお伝えします。
息子が学校に行かない日が増えてきていた頃、食事時間に何気なく「ご飯はちゃんとお箸で食べようね」と口にしました。
それまではいつもお箸を使っていたのに、手でおかずをつまんで食べていたからです。

その姿に「なんで今までできていたのに、お箸を使わないんだろう?」と感じていました。
小学生になっているのに、家族の中でひとりだけ手づかみで食べる姿を見て、私は困った行動だと思ってしまいました。
そんな私の心の中が伝わったのか、怒ったわけでもないのに、息子は無言で手を止め表情が一瞬にして曇っていったのを覚えています。
その表情を見て、そういえば学校に行けなくなってから手づかみが増えた気がする…と気付きました。
前はできていたのに、今はできなくなったことに違和感が残りました。
2.小学校の不登校その後に見られる「できなくなる変化」がやる気の問題ではない理由
子どもが急にできていたことをしなくなると、 「やる気がないのでは?」と感じてしまいますよね。
しかし、そうとは限りません。
実は、やる気ではなく、疲れやストレスが原因で一時的にできなくなることがあります。
たとえば、
・学校で気を張って過ごしたあと
・新しい環境でがんばり続けたあと
こうしたときに、これまでできていたことがうまくできなくなることがあります。
息子のように食事で手づかみが増えたり、身支度に時間がかかったりするなど、「前はできていたのに」と感じる変化として表れることも少なくありません。
こうした一度できていたことが、できなくなる状態は、特別なことではなく、だれにでも起こりうる自然な変化です。

小学校を不登校になったその後は、特に心や体の疲れが表れやすい時期でもあります。
つまり、エネルギーが少なくなっている状態なのです。
この時期は「やる気がない」と決めつけず、疲れやストレスによる変化かもしれないと考える視点が大切です。
また、注意欠如・多動症(ADHD)や発達凸凹の子どもは、集中したり周りに合わせたりする場面で、脳のエネルギーを多く使いやすい特徴があります。
そのため、疲れやストレスがたまると、脳のエネルギーが少なくなり、本当はできることでも一時的にできなくなることがあるのです。
だからこそ、このときに大切なのはすぐに元に戻そうとしないことです。
無理に戻そうとすると、子どもにとっては 「またがんばらなきゃいけない」と感じ、安心して過ごしにくくなってしまいます。
3.正すよりも小さなできたを積み重ねる関わり方
では、具体的にどのように関わればいいのでしょうか。
無理に元に戻そうとせず、まずは安心して過ごせる関わりを大切にします。 その上で、ポイントは2つあります。
① ルールをシンプルにする
たとえば食事であれば、細かいマナーをすべて守らせるのではなく、「食事の前後に手を拭く」など、本当に大切なことだけに絞ります。
我が家では食事のルールを「食事の前後に手を拭くこと」一つにして、それ以外は、箸でもスプーンでも手でもOKにしました。
② できていることを言葉にする
正すことをやめ、できている行動に目を向けて言葉にします。
「座って食べてるね」
「たくさん食べたね」
こうしたできていることに目を向けた声かけが、「できた」という感覚を積み重ね、安心して行動できる状態をつくっていきます。
小学校を不登校になったその後は、無理に元に戻そうとするのではなく、このように小さな成功体験を積み重ねる関わりが大切です。

この関わりを続けることで、息子に少しずつ変化が見えてきました。
最初は手づかみだった食事も、スプーンを使うようになり、今ではお箸も使っています。
また、「一生学校に行かない」と言っていた息子が、 「給食だけ食べに行こうかな」と話すようになり、 運動会や遠足などの行事にも参加できるようになっていきました。
無理に戻そうとするのではなく、安心して過ごせる中で、子どもは自分のペースで少しずつ変化していきます。
できていたことができなくなってしまったと悩んでいるなら、まずはできていることを言葉にして伝えるところから始めてみてくださいね。
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執筆者:長谷川アン
(Nicotto Project 発達科学コミュニケーションアンバサダー)
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