自分で決められない子どもに「早くして!」と言っていませんか?実はそれ、逆効果かもしれません。安心して考えられる状態を作ることで、子どもが自分で動き出した実体験から、関わり方のポイントをお伝えします。
1.自分で決められない子どもに感じる不安
今は成人した息子の以前の話です。一緒に買い物に行っても、なかなか買いたいものが決まりませんでした。
たとえば自分の服。試着室に入っても、なかなか出てこない。何軒回っても決まらない。
一般的には思春期になると、自分が欲しいものを選ぶ場面が増えていくと思います。
それなのに、この年になっても自分で決められない息子の姿を見ると「この先、大丈夫なのかな」そんな不安を感じていました。
大学生になると私服での通学になりました。
そこで、通学用にと息子と服を買いに行った時のことです。

試着室に入るまでもなかなか決められない様子の息子でしたが、やっと試着室に入った!と思ったら、出てくるまでに20分かかったのです。
ただ着てみるだけなのに、なにしてるんだろう…と、外でただ待つしかできない私にはその時間が果てしなく長く感じました。
こんな場面のとき、以前の私は時間がかかると息子を急かしていました。
「早くして」「そろそろ決めて」
そう言わないと進まないと思っていたのです。
2.急かすほど止まるのは脳の仕組みだった
息子は、高校卒業のころ注意欠如・多動症(ADHD)と診断されました。
そんな息子にどう関わればいいのか悩んでいたときに発達科学コミュニケーション(発コミュ)に出会いました。
学ぶ中で知ったのは、「自分で決められない」のは性格ではないということです。
急かされると「ちゃんと決めなきゃ」「早くしなきゃ」と不安が強くなります。
すると、考えるより先に、頭の中が焦りでいっぱいになります。
ADHDの子どもの脳は、思考の整理が苦手なことが多いため、不安が強くなったときにその不安を押さえるのが難しいことがあります。
そのため、急かされるほど頭の中が混乱し、考えがまとまりにくくなるのです。

そんな息子に対して、私は普段から家族を回すことを優先していました。
服を選びに行ったときに限らず、晩御飯やお風呂と家族のタイミングに合わせるために、夕方になると焦ってつい「早くして」と声を掛けていました。
実はその声掛けが息子の考える力を止めていたのだと、後から気づきました。
3.自分で決められない子が安心して考えられる親の関わり
発コミュを学んでから、自分で決められない息子には「早く決めさせる」よりも、安心して考えられる状態を守ることを意識するようになりました。
たとえば、
「いま考えているんだね」
「選ぼうとしているね」
と、考えている途中を言葉にして伝えるようにしました。
すると、息子は急かされている不安ではなく、“自分のペースで考えていい”という安心感を持てるようになったのです。
正直、待つのは簡単ではありません。
それでも、
途中で答えを言わない。
決める前に否定しない。
この関わりを続けることで、息子は少しずつ自分で選ぶ経験を積んでいきました。
関わり方を変えてから付き添いで服を買いに行ったとき、私は以前のように急かすことはしませんでした。

試着室に入ってからしばらくたっても出て来ない。
前だったら、この時点で「早くして!」「なにしてるの?」「まだ決められないの?」と声をかけていました。
その日は「今選んでいるんだね」そう一言だけ伝えました。
正直、時計ばかり見ていましたし、早く決めてほしいという気持ちが何度も出てきました。
しばらくしてカーテンが開き、息子は少し迷った顔でまたすぐ中に戻りました。
その顔を見て、このときの私は「まだ悩んでいるんだな」と受け止めることができたのが大きな変化でした。
4. 待つことで動き出した息子の変化
何度か試着を繰り返し、最後に選んだのは一見どこにでもありそうな白い長袖Tシャツ。
帰り道、息子が言いました。
「これ、肌触りがよくてイメージ通りのシルエットなんだ」
そのひとことを聞いたとき、安心して考えられたから自分で決めることができたのだと確信できました。
そして、一見なんでもなさそうなものでも息子のこだわりが詰まっているのだということにも気付きました。
こうして私が対応を変えたことで、その後の息子に少しずつ変化が見えてきました。
始めは自分で服を見に行くようになりました。
そして今ではひとりで買い物に行くようになったのです。
以前よりずっと短い時間で、自分の欲しいものを選べるようになっています。

自分で決められない息子はもういません。
そして、私が買い物に付き添うことももうありません。
けれども親子の関係は前よりずっと良くなっています。買い物には行かなくても一緒にお茶をしに行く仲です。
こんな風に和やかに楽しめる日が来るとは、以前の自分は想像できませんでした。
はじめは、時間がかかっても大丈夫です。
すぐに変わらなくても、「自分で決めた」という経験は、少しずつ子どもの中に積み重なっていきます。
急かす声より、安心して考えられる時間。
その積み重ねが自信になり、「自分で決める力」を育てていくのだと、私は息子から教わりました。
わが子が自分で決められない子だと感じているママは、まずは一度子どもが決めるまで待ってみてくださいね!
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執筆者:コメダ リエ
(Nicotto Project 発達科学コミュニケーションアンバサダー)
動きが遅すぎるとどうしても「早くして!」と言いがち。お母さんの気持ちは「言いたくて言ってるんじゃない!」ですよね。動きが止まってしまう子の特性が理解できると、子どもが自分で選び始めることができました。”決める力”を育てる関わり方をメルマガでもお伝えしています。ぜひ、ご登録くださいね。





