さて今日は、
「夫に相談してから決めます」
その前に、
ママに確かめてほしいこと
というお話です。
個別相談の最後に、
「私はやりたいと思っています。
だけど、夫に相談しないと……」
と、立ち止まるママが
時々おられます。
その言葉を聞くたびに、
私は思うんです。
このママは、
夫に決めてもらいたいのではない。
もし、自分で決めて
子どもが変わらなかったらどうしよう。
「だから言っただろう」
と、夫に責められたらどうしよう。
夫婦の関係まで
悪くなってしまったらどうしよう。
わが子のことだからこそ、
間違えたくない。
自分一人で決めるには、
背負うものが大きすぎる。
そんな怖さが、
「夫に相談してから」
という言葉の奥に
隠れているのだと思います。
家族みんなを大切にしたい。
夫婦で同じ方向を向いて、
子どもを支えたい。
そう願うのは、
ママの弱さではありません。
家族を壊したくないほど、
一生懸命守ってきた証拠です。
けれど、
ここで一つだけ
分けて考えてほしいことがあります。
「夫に相談すること」と
「夫に判断を預けること」は違う、
ということです。
夫が賛成したら動く。
反対されたら、
自分の思いを引っ込める。
それを繰り返していると、
ママ自身が
わが子を見て感じてきたことまで、
「私の考えは間違っている
のかもしれない」
と、わからなくなっていきます。
けれど、毎朝、
子どもの顔を見てきたのはママです。
起きてきたときの表情。
声をかけた瞬間に
消えてしまった笑顔。
学校の話をしたときだけ
重くなる口調。
昨日はできなかったのに、
今日は自分から動いたこと。
そんな小さな変化を
一番近くで見てきたママの感覚は、
誰かの許可がなければ
信じてはいけないものではありません。
子育ての答えは、
夫の中にも、
専門家の中にも、
私の中にもありません。
答えはいつも、
目の前の子どもの中にあります。
だから私は、
「夫が反対しているんです」
と話してくださったママに、
こう問いかけます。
「ご主人がどう言うかは、
一度横に置いてみましょう。
お母さん自身は、
この子のためにどうしたいですか?」
すると、それまで
ご主人の話をしていたママが、
少し黙ってから
自分の言葉で話し始めます。
「本当は、このまま
様子を見るだけでは不安です」
「受験だけを乗り越えるのではなく、
高校に入ってからも
自分で動けるようになってほしいです」
「私も、この子に合った関わりを
できるようになりたいです」
そこにあるのは、
夫に反抗したい気持ちではありません。
誰よりも近くで
わが子を見てきたママだからこそわかる、
「今、動いた方がいい」
という感覚です。
主体性を持つとは、
夫の意見を無視して
一人で決めることではありません。
まず、
「私は、どうしたいのか」
を、自分の言葉で持つことです。
自分の意思が見えてきたら、
次はご主人への伝え方です。
不安が大きいと、つい、
「この方法が必要なの」
「今始めないと間に合わないの」
「だから賛成して」
と、正しさを一度に
わかってもらおうとしてしまいます。
けれど、ご主人にも、
「本当に変わるのか?」
「大きなお金をかけて大丈夫なのか?」
「今までのやり方ではダメなのか?」
という不安があります。
反対しているように見えても、
ご主人もまた、
わが子のことで
失敗したくないのかもしれません。
だから、
「全部賛成してほしい」
ではなく、
「まず、私の考えを聞いてほしい」
まで、お願いのハードルを下げます。
たとえば、
「今すぐ賛成してほしいわけではないの。
毎日この子を見てきて、
私が感じていることがあるから、
まず一度、
最後まで聞いてもらえないかな」
そう伝えてみる。
夫を言い負かすのではなく、
夫が受け取れる入り口をつくる。
それは、
夫に遠慮することではありません。
ママが家族を動かす道筋を
自分で考え、つくることです。
私は、個別相談で
ママの代わりに答えを
決めたいわけではありません。
「この講座を受けるべきです」
と、私に判断を委ねてほしいわけ
でもありません。
私がしたいのは、
ママがわが子の状態を見立て、
「今、この子に必要なことは何か」
を考え、
自分の意思で
次の一歩を選べる状態をつくることです。
なぜなら、
子どもの状態は毎日変わるから。
今日は休ませた方がいいのか。
今日は声をかけても届くのか。
今は安心を増やすときなのか。
それとも、小さな負荷をかけて
「やってみる」を育てるときなのか。
そのたびに夫や専門家へ
答えを聞かなければ動けないのではなく、
目の前のわが子を見て、
「今日は、これをやってみよう」
と、ママ自身が選べるようになる。
その力は、
今回の決断だけではなく、
この先もずっと
わが子を支える力になります。
だから、ご主人に相談する前に、
まず自分に聞いてみてください。
「夫が賛成するかどうかではなく、
私は本当は、どうしたい?」
「私は、この子に
どんな未来を手渡したい?」
夫の答えを待つママから、
わが子を見て、
自分で考え、選び、
家族が動ける一歩をつくるママへ。
その最初の一歩は、
夫を説得することではありません。
自分の中にある答えを、
自分が先に受け取ることです。
私も実は最初、夫に内緒で
講座を始めました。
なんでも夫の指示を仰ぎ、
夫の望む子育てをやろうとしていた
私がです。
そして息子が回復して夫に
告白したとき夫はこういったのです。
「内緒でやってくれてありがとう」
相談されていたら
きっと反対していただろうという
夫の見解でした。
この出来事はただ夫に内緒で
決めたという話ではありません。
夫の答えを待つ私から、
目の前の息子を見て、
自分で考え、選び、動く私へ。
私自身の子育ての軸を
取り戻したのです。
だから今、
夫の反対を前に立ち止まっているママに、
私は伝えたいと思います。
ご主人に相談する前に、
まず、自分に聞いてみてください。
「夫がどう言うかではなく、
私は、わが子のためにどうしたい?」
その答えを持つことは、
夫婦を壊すことではありません。
わが子の未来を
誰かに任せきりにせず、
ママ自身が
子育てのハンドルを握り直すことです。
そうやって初めて
あなたとお子さんの人生が
動き始めます。
今日はここまでです。


