さて今日は、
起立性調節障害で、
「こだわり」が強い子が
本当に困っていること
についてお話しします。
こんなこと、ありませんか?
「それ違うよ!」
「絶対こっちの方がいい!」
「だって普通こうでしょ!」
家族が何か言っても、
なかなか引かない。
アドバイスを嫌がる、
教わることを嫌がる、
マイルールを修正できない。
「そんなにムキにならなくても…」
とこちらが思うくらい、
ひとつのことに固執する。
予定が少し変わっただけで
機嫌が悪くなる。
一度「嫌だ」と思ったら
なかなか切り替えられない。
そして学校でも、
友達の言い方が許せない。
先生のルールに納得できない。
「こう言われたから、
きっと嫌われている」
と思い込むと、
別の可能性を伝えても入らない。
ママからすると、
「もう少し柔軟に考えられたら
本人もラクなのに」
と思いますよね。

だけど私は、
この子たちが困っているのは
「融通がきかないこと」そのものではない
と思っています。
このタイプの子は、
自分の中に
「こうあるべき」
「これは正しい」
という基準を
しっかり持っていることがあります。
だから本人にとっては、
わがままでも、
相手を困らせたいわけでもない。
むしろ、
「私は正しいと思ったことを
言っただけなのに」
なんです。
本人の中では
ちゃんと筋が通っています。
だから、
友達に嫌な顔をされた。
先生に注意された。
家でも
「またそんな言い方して」
と怒られた。
そんな経験が増えていくほど、
本人には、
「正しいと思っていることを言ったのに
なんでわかってもらえないんだろう」
という体験が積み重なります。
そして少しずつ、
「どうせ自分はわかってもらえない」
「また自分が悪いんだ」
と傷ついていく。
ここから不安が強くなる子もいます。
こういうお子さんは
自分の意見をしっかり言えるので
自信家に見えることがありますが、
実はその奥で
「いつもと違う」を極端に嫌う
不安の強さも併せ持っている子。
そして厄介なのが、
不安が強くなればなるほど、
人は、
いつもの考え方、
いつものやり方、
予測できるものに
しがみつきたくなることです。
だからさらに、
「絶対こう」
「こうじゃなきゃ嫌」
「きっとこうなる」
が強くなる。
こだわっているから不安になる。
だけではなく、
不安だから、
もっとこだわりから離れられなくなる。
そんなループが
起きるんです。
すると、
本人も苦しい。
周りも苦しい。
毎日の小さな出来事まで
ストレスになっていきます。
だから私は、
この子たちの回復を
「こだわりがなくなった」
ということだけは評価しません。
むしろ、
こだわりそのものは
その子の強みにもなります。
自分の考えを持てる。
納得できるまで考える。
好きなことなら
とことん追究する。
人が流してしまうことにも
疑問を持てる。
私は、
そんな力まで
丸く削ってしまいたいとは思いません。
育てたいのは、
「絶対こうに違いない」から、
「私はこう思う。
だけど、もしかしたら
他の見方もあるかもしれない」
へ考えを広げる力です。
自分の考えを
捨てるのではなく、
自分の考えを持ったまま、
選択肢を増やせること。
例えば、
「友達に無視された。
絶対嫌われた」だった子が、
「嫌われたのかもしれない。
でも、
聞こえなかっただけかもしれない」
と考えられる。
「今日は予定通りじゃないから無理」
だった子が、
「予定とは違うけど、
ここまでならやってみようかな」
と気持ちを立て直せる。
私は、
こういう瞬間を
大きな回復のサイン
だと見ています。
学校に行けたかどうかよりも、
朝起きられたかどうかよりも、
私はその子の中に、
“ひとつしかなかった答えが
二つ、三つに増えてきたか”
ここが大事なんです。
なぜなら、
これから子どもが生きていく世界は、
自分の思い通りにならないことも、
納得できない人に出会うことも、
予定通りにいかないことも
たくさんあるからです。
そのたびに、
自分の正しさを捨てて
人に合わせる必要はない。
反対に、
自分の正しさだけに
閉じこもる必要もない。
「私はこう思う。
あなたはそう思うんだね。
じゃあ今、私はどうする?」
ここまで考えられるようになること。
それが、
私がこの子たちに
育てたい力です。
起立性調節障害の回復というと、
朝起きられる。
学校へ戻る。
体調が良くなる。
そこに目が向きがちです。
もちろん、
それも大切です。
だけど私は、
体が動くようになったその先に、
この子が自分の人生を
どう動かしていけるのか
までが回復だと思っています。
「カラダは良くなりました、
だけどそのあとも動きません。」
これでは本当の回復とはいえない。
人に合わせるでもなく、
自分の正しさだけで
世界を閉じるでもなく、
自分で考えて、
選択肢を増やして、
その時の自分に合うものを選ぶ。

こだわりをなくすのではなく、
こだわりの隣に“余白”をつくる。
私はそこまで育ってこそ、
この子たちが
不安に振り回されず、
自分の人生を
自分で動かしていけるようになるのだと
考えています。
そうそして、それができるのが
おうちのコミュニケーションです。
もっというと、
ママにしかできない、
ママだからこそできるもの。
もしも、ママにそんな知識とスキルが
あったら…
選択できる未来を手渡せるママに
なれると思いませんか?
今日はここまでです。


