吃音当事者だから言える、吃音改善の本来の意味とは
今回パパ、ママにお伝えしたい事があります。それは、吃音改善とは吃音が治ったという意味もありますが、もっと大切なことがあるということです。
その答えは、子ども本人が吃音を忘れること、そして吃音を忘れさせるほどの好奇心を育てるということです。
子どもが何に対して目を輝かせているのか?楽しいと思い行動しているのか?そこに注目してほしい、そして失敗を常に大きな心で受け止めてほしいのです。
一見、吃音改善とは全く関係がなくみえますが密接に関わっているのです。その証明が、私の体験談です。
吃音が治ってほしいと思うことは当然のこと
どもらなくなってほしい
どうか吃音が治ってほしい
そう思うことは当たり前のことですし、私も吃音のある子を持つ母親として強く感じています。
しかし、その気持ちが強ければ強いほど、子どもがどもると顔色や態度に出てしまいやすいのです。
吃音がある子どもは、自分がどもることによって人の表情の変化、周囲の態度に非常に敏感です。
「失敗した」
「またどもってしまった」
「次こそ上手に話さなければママをがっかりさせてしまう」
「ママに笑ってほしいから今度はゆっくり話してみよう」
このような間違った学習が吃音悪化の負のスパイラルになりやすくなります。
吃音当事者の体験談 吃音が原因で壁にぶつかったのは社会人になってから
私は吃音当事者で、主に連発が出ます。小学生までは頻繁にどもっており、お友達になんで「ああああってなるの?」と聞かれたことを鮮明に覚えています。
しかし人生で一番吃音の壁にぶつかったのは社会人になってからでした。電話をとる際「お電話ありがとうございます」が言えないのです。
ところが「ありがとうございます」からならば言えるのです。「お電話ありがとうございますだよ」と先輩社員から指摘されることもありました。
言いたいけど言えない、これが想像よりずっと苦しいのです。当時、周囲に吃音のことをカミングアウトするなんて考えられませんでした。
そのため周囲の理解がないので「いつか皆の前でどもってしまったら・・・」と、電話が怖くなってしまいました。
それからというもの、他の社員が電話をしているとき聞き耳をたて「この人はどもっているのか?どもらないのか?」を気にするようになり、常に人の話し方を気にするようになっていました。
思い返すと、吃音に支配されていたなぁと感じます。ところが今現在、私は吃音があってよかったと思えるほどにまで幸せになれているのです。
完全には治っていませんが、なぜこのように思えるの?と感じる方もいるかもしれません。
その答えが、吃音を忘れること、そして好奇心なんです。
吃音を忘れることとは?
吃音を忘れるということは、きっかけが必要だと感じています。
そして、誤った吃音の対応として、本人に吃音と認識させないために、吃音のことは話題に出さないという対応がありました。それとは全く異なるということだけ先に伝えさせていただきます。
私は社会人になって吃音が悪化しました。症状が悪化というより、吃音に対して強い不安が毎日ありました。
日常生活はあまりどもらないのに電話の時だけ悪化することから、過去の経験がどもりを誘発させることが分かりますね。
ところが、今現在私は電話対応でどもりません。これこそが吃音を忘れること!吃音を忘れるきっかけとなったのが、私の場合は子育てでした。
子どもが生まれるまでは吃音に支配されていましたが、どもるなんて気にしていられないほど大変な子育てが待っていました。
気づけばどもることなんてすっかり忘れ、子どもの成長が楽しくて幸せで日々驚きの連続。
子育てが私の好奇心を刺激し毎日が楽しいのです。
今は育休を終え社会復帰しており、電話対応ができています。他の人の電話対応を聞いて感情が揺れることもありませんし自信がなくなることもありません。
完全に吃音への価値観が変わったのです。
吃音があって良かったと思えるほど幸せな日々のポイントは好奇心
私には夢があります!「吃音で悩む人をゼロにすること」です。
吃音当事者だけじゃなく、吃音がある子に深く関わるパパやママも、吃音に振り回される事を無くし、皆が幸せに暮らせることこそが私の夢です。
今現在私の話し方は完璧には改善していません。しかし吃音を忘れる事がきっかけで自信や好奇心がグーンと成長しました!
ガチガチに吃音に支配された大人の私が改善できたのだから、脳が柔軟な子どもは、パパママの働きかけで吃音改善は可能なのです!
どもるどもらないことよりもっと大事なことに気づく大切さ、この自分の体験を、吃音のことについて誰にも相談できないママやパパに届けたい!
力になりたい!大丈夫!と伝えたいのです!吃音当事者の私が言うのだから間違いありません。
吃音改善は、周囲がどもる事に注目せず、いかに本人が吃音を忘れるか、どもることへの意識を上回る好奇心を育てられるかがキーポイントです。
Play Talk Labではお子さんがどもることを忘れるほどの好奇心のタネを育てます!
私は吃音に携われる仕事に就けていることが幸せでたまりません。吃音で悩む人をゼロにするという夢を叶えるため今後も発信していきます!
執筆者:いわもとあさな
(発達科学コミュニケーショントレーナー)