家族でマインドフルネス!「これをすると落ち着く」方法を見つけ合いっこしよう~マインドフルネスティーチャー戸塚真理奈さんインタビュー後編~

心の筋トレともいわれるマインドフルネス、子どもでもできる方法があったら知りたいと思いませんか?「これをすると気持ちが落ち着く」というものが見つかると、安心感につながります。家族で楽しみながら、春に向けて心をトレーニングしていきましょう!

1.子どもにマインドフルネスを取り入れる方法

心のトレーニングとして、今注目されているマインドフルネス。

前編では、マインドフルネスとはどのようなものなのか?日常の中でマインドフルになれる方法について伺いました。

引き続き、マインドフルネスティーチャー戸塚真理奈さんにお話を伺っていきます。

ーーお話を伺って、自分の状態に気づく力を高めリラックスを得ることができるマインドフルネスの素晴らしさを知って、子どもでもできる方法があったら良いなと感じました。

マインドフルネスの呼吸法などは、小さい子は取り入れるのが難しいかなと思うところがありますが、戸塚さんのクラスではどのように教えていらっしゃいますか?

「子どもの場合はツールがあった方が取り組みやすいですね。

あとで手のひらを使う呼吸をご紹介しますが、『手の平を使うよ、◯◯を使うよ』と言って説明した方が簡単でやりやすいかと思います。」

ーー思春期の子どもで、照れてやりたがらない子にはどのように対応するのが良いですか?

「『これがいいから、あなたもやった方がいい』という言い方に、抵抗する年ごろはあると思います。

あなたのためにこれをやるよ、ではなくて『お母さん、今日こういう事習ってきて、家族で一緒にやってって言われたから、一緒にやってみてくれる?感想教えて。」というようなヘルプをお願いする言い方の方が伝わると思います。

お母さんこれやりたいから、あなた手伝ってと言うような感じで。」

ーー伝え方にも工夫が必要ですね。親御さんが自分自身でマインドフルネスの素晴らしさに気づいたら、子どもにもぜひやって欲しいと思いますよね。

「マインドフルネスをやると、注意力が高まるので、自分の失敗にも気付ける、学力が上がるという研究結果もあります。

ただし、大切なことは親目線でみたときに『これをやるとこの子は学力が伸びるんだ』という気持ちでやらないこと。それは、後からくる天からのプレゼントみたいなもので。

大切なことは、物理的な忙しさで気持ちがパンパンに張り詰めたり、人間関係の心配ごとや溢れる情報といった周囲環境からのノイズを外すのを大人が手伝ってあげることです。

マインドフルネスは、最近は企業や学校でも取り入れられている関係で、効果だけ謳われがちなところがあります。

結果を求めるのではなくて、最終的にそうなるまでの道のりの方が大事です。」

ーー何かを取り入れるとき、効果をつい求めてしまいがちですが、そうではなくて、ノイズを外して自分自身の今の状態をしっかり感じられるようになることが大切なのですね。


2.家庭でできるマインドフルネスの方法

ーー家庭で取り入れられるマインドフルネスの方法を教えていただけますか?

「簡単にできるものとして、手のひらを使う呼吸があります。

お教室に通ってくれていた小学校低学年のお子さんで、『ピアノの発表会の控室で自発的に手のひらの呼吸をやっていました』とお母さんが教えてくれたことがありました。」

ーー日常の場面で、自分でリラックスする方法をわかっていて取り入れられるのはすごいですね。

「そうですね。”これをすると自分は安心する”“なんだか気持ち良くて落ち着ける”などと気づけているから、日常の中で取り入れることができるようになるのですよね。

それでは、手のひらを使う呼吸の方法をご紹介します。子どもへの誘導はこのようにします。」

<手のひらを使う呼吸>

利き手でない方の手のひらを出してね。もう1つの利き手の人差し指はペンの形にします。
親指のつけ根からスタートして、ペンの指で、手のひらの外側をゆっくりなぞっていくよ。
なぞるときに、下から上への方向では息を吸って上から下への方向では息を吐いていこうね。
終わるタイミングは、それぞれ違うよ。あせったり急いだりする必要はありません。終わったら静かに手を挙げて教えてね。

 


小さい子には、大人がやってあげても良いですね!

ーーありがとうございます。他にも家庭で簡単にできる方法があったら教えてください。

「あとは、香りを使ったものがあります。五感、とくに嗅覚を使うことは、呼吸が深まったり、リラクゼーション効果が高いのでおすすめです。

頭を使って考えることは学校でたくさんやっているので、家では感じること、フィーリングを持つことを大切にすると良いと思います。

時間やエネルギー的に余裕がありそうであれば、エッセンシャルオイルなど自然の香りを含ませた脱脂綿を茶筒のような缶に入れて、嗅いでもらって感想を言い合ったり。

エッセンシャルオイルを数種類用意して、ゲーム感覚で『どれとどれが同じでしょう?』と聞くと好奇心が刺激され、より集中しやすい時間になると思います。

感じる時間を持つ体験を用意してあげることも、リラックスして集中する力を高めることにつながります

香りを使う体験では、お子さんにどんな香りに感じるか尋ねて自分の言葉で表現するのを見守ってあげたいですね。

もしかしたら、『すっぱい匂いがする』『甘いお花みたいな香り』などの言葉が出てくるかもしれませんね。

『あなたはこういう風に思ったんだね。いいね。お母さんはこう思ったんだけど』と感じたことをシェアするやりとりがあると、それぞれの感じ方があってどっちも素敵という世界観が家庭の中で作れると思います。

環境づくりという視点では、その子の自分の目・心で選んだことを尊重してあげることが大切です。」

ーー素敵な方法を教えていただき、ありがとうございます。

どんなことを感じて表現してもいいと思える環境が家庭にあると、本当に困ったときに子どもが1人で抱えてしまうことも防げますね。

3.「これをすると落ち着く」を家族で見つけ合いっこしよう

戸塚さんのお話、いかがでしたか?

お話を伺って、戸塚さんが子ども達にこれからの時代に必要な生きる力を届けてあげたいという強い想いを持って活動されていることが伝わってきました。

小学3年生の男の子がいる我が家でも、戸塚さんにお聞きしたエッセンシャルオイルを使ったマインドフルネスの方法を試してみました。

息子は、「今はこれに集中して」と言っても難しかったり、「あなたは今どんな気持ちなの?」と聞いても言葉で返せないところがあります。

しかし香りを使ったことで、嗅ぐことに集中でき、自分が感じたことをありのままに表現し合う時間を親子で持つことができました。

まずは、家庭を自由に気持ちをオープンにできる環境にしてあげる、感じることは人それぞれ違ってOKという雰囲気を家庭の中で作っていくことが、マインドフルネスの状態に近づく第一歩になるのではと思います。

これから、春の進級・進学の時期で子ども達もストレスを抱えがちになります。

子どもが「これをすると自分は落ち着ける」というロジックを見つけるのを、家庭でサポートしてあげませんか?

私自身も毎朝5分間のマインドフルネス瞑想の時間を持つことを習慣にしていますが、「これをすると、お母さん落ち着くんだよね」などと子どもと会話すると、子ども自身も自分のリラックス方法を見つけるきっかけになるかもしれません。

これがあるから大丈夫という安心感が、新しい環境の中で心細くなりそうな時きっと力になってくれると思います。


戸塚真理奈さんプロフィール
一般社団法人heARTfulness for living協会 代表理事 マインドフルネスティーチャー
子ども達が生きる力を高められるよう、こころの成長をサポートするマインドフルネスとEQ教育プログラムの開発と実践教育をされている。親子向けだけでなく、教育に携わる大人向けにもワークショップを展開中。

戸塚さんのご著書・学事出版「学校と家庭でマインドフルネス!1分からこころの幸せ・安心を育む63のワーク」にも家庭でできるワークが多数掲載されています!
一般社団法人heARTfulness for living協会ホームページ

執筆者:滝麻里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)

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