1.学校を休ませたら引きこもりになってしまいそう⁈
子どもが突然学校へ行けなくなり、休ませたものの、家の中でどのように過ごさせていいか不安になりますよね。
学校に行くのは無理でもせめて生活リズムを整えて欲しい。
少し気分転換にでも外にでて欲しい。
ずっと子どもと一緒に家にいるのもしんどい‼︎
このまま引きこもりになったらどうしよう…
と、お母さんは心配でいっぱいいっぱいになってしまいますよね。
たしかに、学校に行けなかったとしても規則正しい生活をし、散歩したり、スポーツしたり健康的に過ごして欲しいという願いはわかります。
けれども新学期、周りがフレッシュな気持ちで学校に馴染んでいるのに、自分だけ行けなくなってしまった…という子どもにとって、大人が「普通通りに」と思う生活をするのはとっても大変なことなのです。
学校へ行けない罪悪感。
みんなは大変でも行っているのにという後ろめたさ。
外で誰かに会ったら気まずいな…と思う心配。
皆んなが歩んでいるレールから外れてしまったという罪悪感から、子ども達の行動にはブレーキがかかってしまうのです。
学校に行かなくても好きなことをして前を向いて欲しい!
そんな想いから子どもを上手に褒めて動き出すきっかけを与えてあげたお母さんのお話をお伝えしたいと思います。
2.中学生で動けなくなってしまった男の子の話
発達科学コミュニケーション上級講座生の栗山さんの中学生の息子さんは、中学1年生で学校に行くことができなくなりました。
中学校に入学すると体調が悪くなり始め、1年生の冬にはぱったりと動けなくなってしまいました。息子さんには学習面での苦手さがあるものの、先生から理解してもらえず、自信がどんどんなくなってしまったそうです。
元々は活発で運動が大好きでバスケを頑張っていた普通の男の子だった息子さん。
「自分は何もできない…」
「人は表と裏の顔があり信用できない…」
と、家に引きこもるようになってしまいました。
そのときの、栗山さんの気持ちは、
「その時の感情はうまく表現できませんが、どうして他の子と同じように学校生活を送れないのか?ともどかしく思っていました。
息子が弱っていく姿を見ていたけど、もう少し息子が頑張ればいいのではないか?と思い学校に通わせていました。
限界まできていた息子の心に、私が更に追い打ちをかけていたのかと思うと、後悔というか息子に申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。」
と、お母さん自身も自分を責めてしまっていたのです。
3.見守る言葉で運動好きな男の子が復活の兆し?
運動大好きで元気な息子さんの笑顔を取り戻すために、栗山さんが家庭で実践したことをお話してもらいました!
ーー活発で元気に動き回っていた男の子の元気がなくなっていく姿を見るのは、お母さんにとってとても辛いことでしたよね。どのようにご家庭で息子さんに接していましたか?
「最初は自分の部屋に引きこもっていることが多かったのですが、YouTubeを見たりゲームをしているときにはガミガミ言わずに肯定的な言葉をかけるようにしました。
『ゲームしてるんだね。』
『面白い動画あった?』
と、声をかけました。」
ーー家にいることを否定されずにゲームやYouTubeにもお母さんが興味を持って話しかけてくれると、息子さんは心を開いてくれましたか?
「次第に部屋から出てくるようになり、起き上がれるようになると、自分で筋肉の衰えを感じたのか筋トレをするようになりました。
自分で効果がありそうな動画を検索して取り組んでみたり、家の中をウロウロ歩いてみたり、夜になると犬の散歩にもついてくるようになりました。
筋トレをしたときは、
『筋肉大きくなってきたんじゃない』
『腹筋われてきたじゃん!』
と声をかけたり、散歩についてきたときには、
『ふくちゃん(犬の名前)走り回るから一緒に走ってくれて助かるよ!』
と声をかけてほめるようにしていました。すると、犬の散歩だけでは物足りなくなったのか、『バスケそろそろやろうかな』と言ってくるようになりました!」
ーー息子さんが自分から好きなバスケをしたいと気持ちが前向きになってきたのですね!一時期は心を閉ざしてしまった息子さんが、外に関心を向けられるようになったのは、栗山さんが息子さんができていることを認めて焦らず寄り添ってくれたからでしょうね。
4.大好きなバスケにチャレンジできた!
栗山さんの息子さんは、バスケをしたいという気持ちが芽生えてきたものの、学校の登下校の時間と重なる時間に外にでるのは嫌、1人で行くのは嫌と、人目が気になり1人で外出することは難しかったそうです。
フルタイムで働く栗山さんが解決策に選んだのは、訪問看護でした‼︎
ーー訪問看護の人に来てもらうという選択肢はどうして選ぶことになったのですか?
「たまたま小学校の特別支援学級で仲良くしてもらったお母さんから教えてもらいました。訪問看護は身体的に障害がある人や介護が必要な人しか利用できないと思っていたのですが、リハビリの一環で利用できることがわかり、早速利用してみることにしました。」
ーー知らない人が来て一緒に外出するということが、思春期の子にとってはハードルが高いんじゃない⁈と思ってしまうのですが、どうやって息子さんが安心して訪問看護を使えるようにしたのですか?
「お友達も利用していたので、最初は一緒に参加させてもらいました。
どんな人が来るのか?どんな風に接してもらえるのか息子に見てもらい『この人なら大丈夫』と納得してもらい利用することになりました。
また、訪問看護の人は息子のように精神的に不安な人もたくさん受け持っているため、息子の様子に合わせて時には優しく時には厳しく接してくれています。」
ーー最後に、現在の息子さんの様子や栗山さんの気持ちを教えてください。
「息子は体を動かすとすっきりするようで、表情が明るくなりました。
また、体調にも気を付けるようになり、自主的に筋トレするようになりました。
私も、この先楽しいこともなく一日中家の中にこもっているのかと不安な気持ちで一杯でしたので、表情が明るくなり、活動できるようになった息子を見れて良かったと思いました!
また、あれだけ行くのを嫌がっていた学校に少し行ってみようかなという気持ちも出てきたようですし、釣りやキャンプに出かけたいと言うようになりました。
心が弱っている時はまったく外に出ようとしなかったので、ずいぶん回復してきたなと思います!」
5.必勝ポイントは休ませることと作戦会議にありました!
学校に行けなくなっても皆が皆、そのまま不登校になるということはありません。
元気を取り戻せるようになると学校に行けるようになる子もいれば、違う居場所を見つける子もいます。
学校に行けなくなった直後は子どももお母さんもとっても辛い想いをしますよね。けれども、大事なのは、学校に行きしぶるようになったからといって焦らないこと!
お母さんの心配する気持ちは素直な気持ちなので捨てる必要はないのですが。
心配しながらも今のお子さんは、元気をためる時期なのかな?学校に行くエネルギーはたまっているのかな?と状態をよーく見極めてあげてください。
お母さんに子どもを「休ませてあげる力」があると、子どもはちゃんと回復することができるんです。
まずは、
家の中で元気に過ごせること!
好きなことをする時間がもてること!
少しでも外に出て興味のあることをできること!
等を目安にして、子どもが学校を休んだときはエネルギーをチャージする時間だ!と考えるといいですよ。
家庭を子どもが心からのんびりできる安全基地に整えること、そしてお母さんの褒め言葉で自信を取り戻してあげることが大事ですね。
そして、今回私は、お母さんが自分だけで頑張りすぎずに周りの人に頼るということ、子どもとしっかり相談することも大事なポイントだなと思いました。
早く子どもに元気になって欲しいあまり、お母さんが「こんなところ行こうよ!」「ここはいいと思うよ!」と子どもの背中を押しすぎてしまうこともあります。
栗山さんのように、事前に情報収集をしておく、子どもと一緒に作戦を練ることを意識することで、繊細で周りが気になる子どもがスモールステップで確実に行動範囲を広げてあげることができますね。
親子の対話で、子どもが動き出すタイミングを見極められるようになりますよ!
執筆者:すずき真菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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