ADHDタイプの子が授業中に鉛筆や消しゴムを落とす原因は、不注意だけとは限りません。実は目の動きや見え方の問題によって本人が思っている場所と実際の位置がずれていることがあります。見えている世界が違うと知ったことで、息子が変わっていきました。
1.ADHDかも?と思う子が授業中に物を落とすのは「不注意」だけではない
「授業中に鉛筆や消しゴムを何度も落とすんです」
学校の先生からそう言われたことはありませんか?
そそかっかしい、集中力がない、そんなADHDタイプのお子さんが物を落とすと、
- 不注意だから
- 落ち着きがないから
- そそっかしいから
と思われがちです。
ですが実は、そうとは限りません。
ADHDタイプの子どもが物を落とす原因は、不注意だけではなく「見え方」にあることがあります。
目の動きがうまく働いていないと、視力に問題がなくても物の位置を正確に把握しにくくなります。
すると本人は机の上に置いたつもりでも落としてしまうのです。
しかも厄介なのは、本人もそれが普通だと思っていること。

我が家の息子も長い間、
「どうしてそんなに物を落とすの?」
と叱られ続けていました。
ところが思春期になり、親子の会話が増えたことで、息子が見ている世界は私たちとは全く違っていたことがわかったのです。
ゲームばかりでこのまま2学期を迎えて大丈夫…?
▼不登校の子に足りないのは“ゲームをやめる力”ではありませんでした。

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2.「机があると思って置いたのに落ちる」ADHDタイプの息子の世界
我が家にはADHDグレーゾーンの息子がおります。息子は3年生になると鉛筆や消しゴムなどを落としていることが目立ち始めました。
低学年の頃から同じように落としていた他のお友達は成長とともにだんだん落ち着いてきたのですが、息子はいつまでたっても変わらないままだったからです。
6年生の3学期ごろ、担任の先生から「いい加減、机の上の物を落とすな」と叱られます。先生にそう指導されるたび、息子にとっては「机が小さいんだ」と屁理屈を言って怒っていました。
私も、その時は先生と同じように
「周りのお友達は同じ大きさの机を使って、鉛筆と消しゴムを使っているでしょう?」
「どうしてそんなにポロポロと落とすのよ。」
「授業中何度も落とす音がしてしまうと、真面目に勉強している子に迷惑になるでしょ!」
と叱っていました。
それでも、息子の様子は変わることがありませんでした。中学に上がっても、物を落としてしまう行動はなくなりませんでした…
叱られることが増え、息子は登校しぶりをするようになり、不登校にもなりかけました。

そこで、発達科学コミュニケーション(発コミュ)を受講し、叱ることのなくなった私。
叱ることは子どもの脳の発達にとって全然効果的ではなかった!そう学び叱らなくなり、親子関係ははとってもよくなりました。
思春期の息子でも素直に悩みを打ち明けてくれるようになり、ある日、学校生活について聞いていると、息子はこう言いました。
「机があると思って右側に鉛筆を置くとなぜか落ちてしまうんだよ」
物を落としてしまう原因は机が小さいという理由でもADHDだからでもなく、見え方に問題があることに親子の会話の中で気づいたんです。
それから私は目の見え方に関わる書籍を調べました。そこで学習障害の事例で子どもたちがどうのように文字を見ているかのイラストがあったので、息子に見せました。すると
「俺、こんなふうに見えてるよ」
と教えてくれたのが、文字が二重に少し重なって見えているイラストでした。
息子が見ていた世界では学校の机の形も少し右側だけ広く伸びて見えていたため、そこに机があると思ってつい鉛筆を置くと落ちてしまっていたのでした。文字も右斜め上に宙に浮くような感じで重なるように見えていると教えてくれました。
国語の教科書は行間のところに同じ文章の文字があるように見えるとのことでした。
部活動ではバスケットボール部でしたが、「バスケットボールのゴールが右にもう一つあって、それをめがけて投げると外れるから左のゴールを狙っているんだ」と言うではありませんか。
これには本当に驚いて、どうしてもっと早く気づいてやれなかったのかと息子に申し訳なく、大変後悔しました。
息子は「俺はこれが普通だと思っていたから、違和感を感じなかった」と言います。
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3.見え方が変わると子どもの困りごとも変わり始める
なんとかして、くっきりと見えるようにしてあげたい、その一心でたどり着いたのがビジョントレーニングでした。
近くにビジョントレーニングをしている先生がいらっしゃったので相談にいくと、目の動きがとても遅いと言われました。
トレーニングを始めて3ヶ月たった頃、息子の目の動きはまだ平均よりは遅い様子でしたが、「こんなにくっきりした世界だったのかぁ」と変化の様子を教えてくれました。
自宅でトレーニングをして3ヶ月に1度先生のところへいくことになっていましたが、自宅でできるならもう先生のところへ行くのはめんどくさいというので今は行っていません。
ビジョントレーニングの方法は色々と書籍があり、自宅で簡単に取り組めます。
まずお試しとしてウォーミングアップに目玉を左右に動く範囲ギリギリまで往復で動かしてみましょう。その次に上下でもやってみます。目玉を一周ぐるっと動かすのもいいですね。
スマホ生活で意外と目の周りの筋肉は凝り固まっているので、ママにもおすすめです。いきなり子どもにやらせようとしても嫌がることが多いので、ママができるようになってから誘ってあげるのがオススメです。
メトロノームでテンポよく左右に動かせるようになるとバランスが取れてきます。実際やってみると、これが意外と動かないんです。無理せず柔軟体操のように毎日少しずつトレーニングをすることが大切です。決して焦らないでくださいね。
ただし、子どもは「Theトレーニング」的なことをおウチでやりたがらないことも多いです。
外に出かけたときに、
「〇〇色のものを何個見つけよう!」
「あの駆け回ってる犬を3分間、目だけで追いかけてみよう」
などと楽しんだり、
回るルーレットを使った人生ゲーム(ボードゲーム)で遊ぶ
お昼ご飯の麺をゆでるときにお箸でぐるぐるかき混ぜるところを目で見て追う
等々、日常生活でもたくさん目を動かすきっかけづくりを入れることができます。
息子は今までは机に教科書やノートを置くとすぐに落ちてしまうかもと不安に思っていたようですがそのストレスがなくなったと言います。

バスケットボールのゴールもくっきりと一つに見えてシュートがしやすくなったそうです。
半年取り組み続けていると、意識しなくてもずっとくっきり見えているようです。
ビジョントレーニングをしてもう一つ変化があったのは、極度の車酔いがなくなったこと。
次々変わる景色が二重に見えていたのですから、目を開けているだけでも大変だったと思います。
気づくのが早ければと後悔しかありません。
どう見えているかは本人の言語化がなければ分かりませんでした。生まれた時から見えているものが自分の世界だったのですから。
思春期に入った息子の困り事を解決できたのも発コミュを実践して、穏やかな親子の会話ができたからこそ、目の見え方に気づくことができました。
文字が複雑に見えていた分、漢字の書取りや板書の苦手がありますが少ししずつ頑張って取り組んでいます。もし同じような状況が少しでもあれば、おウチで目を動かすトレーニングを試してみてください。
目の疲れを取る運動と言いつつ、親子で楽しみながら取り組めるといいですね。
「それならやってもいいよ!」
ゲームばかりの子が動き出しました。
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執筆者:中曽根里美
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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