不登校の子どもの勉強がうまくいく方法大公開!大学合格以前に大事な家庭でできるキャリア選びとは

不登校の子どもが高校受験や大学受験を目指すときに気になるのが、“勉強の遅れ”。「いつから?何を?」具体的にどう対策したらよいのか知りたいですね。不登校の子どもに受験勉強を教えているプロの先生にインタビューしました!

1.不登校の勉強の遅れが心配ではありませんか?

不登校の子どもの勉強の遅れ、気になりませんか? 

今は通信制高校など、不登校の子でも卒業しやすかったり、大学受験のサポートもしてくれたり、大学への学校推薦がある高校ができています。

不登校で勉強していなくても大丈夫!という情報もたくさんあります。

我が家の中学2年生の息子も、通信制の中学校に所属しながら自宅で好きな勉強をコツコツしていますが、学校に通っている子と比べてしまうと圧倒的に勉強量は足りない!

そのため、こんな心配が頭に浮かびます…

いつまで勉強していなくて大丈夫なんだろう?
いつからやれば大丈夫なんだろう?

前回のインタビュー記事では、大学受験を希望する子どものために親ができることをテーマにお伝えしました。

今回は、不登校の子どもに勉強の遅れがあったらどうしたらいいのか?不登校を経験したのちに大学合格した子ども達のその後はどうなのか?について聞いていきたいと思います。

2.「不登校から大学合格!」の情報は要注意!

ーー早野さん、大学に行きたいと言うものの勉強しない子もいると思います。勉強の遅れはどうしたらいいでしょうか?

「基本は大丈夫です。ですが、不登校から〇〇大学行きましたという情報がよくあるけど、全て鵜呑みにしないほうがいいと思います。勉強のスタート地点でそれぞれの子どもに差はあるので。

ただ、まったく勉強せず、高2、高3でがーっと勉強して超難関大学に合格しちゃう子もいるんですけど、そういう場合はちょっと危険ですね。集中力がすごくあるのは素晴らしいけど。」

ーー危険というのはどういう意味ですか?

「例えばですけど、エジソンいいな、偉大な発明してすごいな!と思うけど、自分もなりたいかというと、なりたくないなと思いませんか?実験で爆発して、耳が聞こえなくなるほどの能力のアンバランスがあるんです。

短期間で難関大学に入った子はたしかにすごいし、才能は素晴らしいけど、僕は皆にそこを目指してほしいとは思っていないです。その人に合った道を選んでほしいですよね。

ーーそうですね。◯◯大学合格とか、不登校で全然勉強していなかったのに合格とかいう言葉を聞くと少し安心もしますが、どうやって合格したんだろう?と気になっていました。情報の中身をよく知ることは大事になりますね。

 

3.不登校の勉強は戦略を練って計画的に

ーー先程のお話を聞くと、やっぱり不登校になってもある程度勉強のベースがないと、大学に入るのは無理なのかな?と思ってしまうのですが、どうなんでしょうか?

「中学生時代に僕が家庭教師をしていた不登校のお子さんは、一昨年、明治大学の理工学部に受かりました。中学時代は勉強したくないからゲームしようよという感じだったんですよ。今年青山学院大学に入ったお子さんも、中1から高3の11月まで勉強はしていなかったんですが、そこから勉強して受かりましたね。」

ーー高校生からの勉強で大丈夫ですか⁉小中学生で勉強していなくても焦る必要はないんでしょうか?

「勉強をしているに越したことはないけど、焦っても仕方がないですからね。大丈夫ですよ。関東の私立大学だと、1年あれば合格できます。早稲田や慶応になってくると2年は必要ですが。東大や医学部になると、2、3年は勉強漬けになる必要があるので、僕はオススメしないですけどね。」

ーーでは、学校での勉強の習慣がなかった子に対してできる対策はありますか?

「国語や日本史等は学校に行っている子も行っていない子も点数は変わらないです。歴史なんて、定期テストが終わったら忘れますよね、だから変わらない。

英語はちょっと差がつくけど、中3までの参考書をやればいいです。普段からラノベ(ライトノベル)を読んでいる子は現代文はよくできますよね。

学校によってですが、私立大学なら受験科目も絞ることができるので、英語と数学とか、英語と現代文とか、小論文のみとか、不登校の子でも全然戦えます。

ただし、東大や医学部などの受験科目が多いところは、勉強習慣のある人との差はうまらないですね。彼らは小学校からずっと勉強している人達なので。」

ーー受験の勉強は学校の勉強と分けて考える必要があるのですね。学校に行っていれば安心ではないし、不登校でもしっかり対策をすれば受験できるということなんですね。

4.不登校の子どもが生き抜くために勉強よりも大事なこと

ーー最短ルートで大学に入れたとして、入った後大丈夫なのかな?と親としては気になるのですが。

「文系だとそんなに厳しくないので大丈夫です。ただし、理系や芸術系は、専門分野で人間関係も固定されやすいので合わなかったら大変です、絶望的!ただし、それは不登校じゃなくても職場などでもありえることですよね。大学だとすぐに辞めにくいというのはあるけど。」

ーーなるほど、では大学選びも慎重にしなくてはいけませんね。特に不登校になったような子は、興味がないと頑張れないという面がある場合もあるので、入れそうだからという理由で決めるのは特に注意したいですね。

「本当にその大学行きたいのか?人間関係は大丈夫か?をよく考えるようにしたほうがいいです。

ですが、もし駄目だったら変えるのも手ですね。学部を変える、大学ごと変える。嫌な会社だったから転職することあるじゃないですか。」

ーー実際に大学や学部を変えたり、辞めて働いたりしたお子さんはいますか?

「いますいます!大学生のご相談等もあるんですよ。大学に入ったら安泰ではないです。普通の人も就職したら安泰ではない。悩みはつきないと思います。

行きている限り安泰はない。〇〇大学に入れました!ハッピーです!で終わる記事とかあるけど、そこでハッピーではないんですよ。色んなことが起きます、人生。

不登校の子には凸凹があるので、先回りするわけじゃないけど、種まきをして、色んなことを想定をして考えて備えをしておくということはしておいたほうがいいですね。地震の備蓄しておいたほうがいいのと一緒です。」

ーー何かハプニングが起きたときに、対応できるような子に育てていけるといいですよね。

「そうですね!大惨事にならないように。種まきは、子どもが気づくようにそれとなく言っておくのがオススメです。

ADHD系のお子さんだったら、『お父さん、おっちょこちょいでお金の計算すぐ間違えるから、銀行に就職していたら死んでいただろうな〜』等とぼやいておく。

人と接するのが苦手なアスペルガーの子だったら、親が、プログラミング系のITの会社の友達を作っておいて、『こんな仕事もあるらしいよ』と食卓で話しておく。

情報提供をさりげなくしておくのがいいです。人の例えで。子どももそのうち気づいていきますから。」

ーー家族で会話することが大事ですね。さりげなく、日常の会話の中に子どもが自分のことに気付けるようなヒントの種を巻いておくのはとてもいいと思いました。

5.進路選択は人生の通過点!楽しく親子でコミュニケーションをとろう

ーーこれまでたくさんの不登校の子ども達、ご家庭を支援してきたご経験から、読者の皆さんにメッセージをお願いできますか?

「大学受験はひとつの道です。どうしても向いてない人もいます。学習障害のタイプで受験勉強が向いていないという子は、稼がせてあげたほうが向いています。

不登校でも大学受験でも就職でも、過去の事例というのは過去問に当たります。学んでいけば楽に進めます。地図がなくて目的地に行くというのは無理がある。過去の事例を集積して進んでいくと自分が楽になる。レシピがないとカレー作れないですよね。一人目の子どもより5人目のほうが育てやすいですよね。

色々な事例を活用するといいですよ。子どもには適材適所があります。親御さんの中には、大学には絶対行くもの!と思っている方もいらっしゃいますが、疲弊させて勉強させるよりプログラミングとかやって楽しい子にはその道を勧めてあげてください。」

ーーたくさんの不登校のお子さんをサポートされてきた方の言葉は、とても説得力がありますね!早野さんありがとうございました。

不登校の子どもが大学を目指したいと言ったとき、対策方法はあるのだということを知ることができました。また、必要なのは勉強だけではない!ということもわかりました。

進路に目が向き始めた子どもにいきなり「どんな学部にする?何になりたいの?偏差値どのくらいの学校にする?」と聞いても、子どもの勉強へのやる気スイッチは入らなそうです。

どんな得意があるのか
何にワクワクするか
辛くても頑張れるくらい好きなことは何か

毎日一緒に暮らしているからこそ知っている子どもの強みは、会話の中で伝えてあげられますよね。そうすることで、子どもも頑張りたい道が見えてくるのではないでしょうか。

「君みたいにゲームばっかりしていた人もこんな進路を歩んでいるよ。」
「君はなんでもネットで調べるのが好きだから、研究好きかもしれないね。」
「いろんな事をお母さんに教えてくれるから、人に教えるの向いていると思うなー。」

等と、家庭で楽しく、子どももいい気持ちになるように、子どもの関心が進路に向くような会話を取り入れていきませんか?

また、子どもの得意なことや好きなこととキャリアの選択肢を結びつけるためにも、色々な進路を事前にリサーチしておきたいですね。受験を意識する前から、色々な大学の学園祭に行ってみて大学の雰囲気を感じたり、学部の様子を見てみたりするといいですね。

職業に関しては、私達親世代が社会に出たときとは仕事の種類も内容も様変わりしています!

今はホームページやSNS等で話を聞きたい人と直接やりとりできる時代になりました。気になる人にはメッセージを送って気になることを聞くこともできます!

色んな情報を探しておいてあげて、押し付けずに伝えてあげる。大学や就職をゴールにしてしまうと、親も焦ったり不安になったりしてしまいがちです。「勉強しないと!」という声掛けは、子どもの足を引っ張る原因になりかねません。

進路を決めるのは人生の通過点なんだと考えて、楽しく将来について話すことで勉強へのモチベーションも高めてあげましょう!

執筆者:すずき真菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)

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