学校でキレる発達障害ADHDキッズが、自分で落ち着ける対処法を作ろう!

発達障害の中でも注意欠陥多動性障害(ADHD)傾向の子どもは、怒りを抑える力が弱いことがわかっています。そんな子どもには、事前に落ち着くための対処法を決めておくことが有効です!対処法を考えるポイントをわかりやすく解説します!
 

1.発達障害の中でもキレやすい?注意欠陥多動性障害(ADHD)の子どもが怒りやすい理由とは?

発達障害を持つ子どもは、学校や日常生活の中で、周囲の人が想像する以上にストレスを抱えていることが多くあります。普通の人は何気なくしていることでも、倍以上の努力をしないとできなかったり、その場にいるだけで耳や目から必要以上の情報が入ってきていたりします

中でもADHD傾向を持つ子どもは、多動性衝動性を持っており、かかったストレスを衝動的に表現してしまう傾向があります。

感情は、周りから情報として脳に伝わり、そこで「いい情報か」「悪い情報か」選別されます。そして、体がどういう反応をするかを決めて行動が生まれます

発達障害を持つ子どもは、普段から怒られたり失敗したりしている経験を多くしていると、この入ってくる情報が「悪いものじゃないか」と敏感になっていることがあります。すると自分を守ろうとする行動、つまり「キレる」ことにつながるんです。

今までは抑えられていたんです。という方もいるかもしれません。

思春期に入ると、反抗期が訪れるのは、多くの方がご存じかと思います。
このころには、ホルモンの影響から、心の安定性が低下します。感情の土台がぐらぐらしてしまうと、あとから発達した理性で抑える機能が上手く働かず、今までより怒りやすい状態になります。
今まで落ち着いていた子がイライラし始める原因は思春期にもあるんです。

さらに、ADHD傾向の子どもは、感情から生まれた反応を行動に移す力が強い子どもが多く、その割にその力を理性で抑える力は弱い傾向があります。

すると、やっちゃいけないことはわかっているのに、抑えられない。ということが起きるのです。

2.本当は子ども自身だって抑えたいんです!

キレて暴れる子どもに、いくら言い聞かせてもやめられない
同じことを繰り返す、という経験ありませんか?

私は脳の仕組みを知る前、そんなやり取りを息子と繰り返していました。

自閉症スペクトラム傾向とADHD傾向を持つ息子は、
高学年になり、急に学校でのトラブルが急増しました。

最初は、今までできてたのに何で!?という気持ちから、よく息子と衝突していました。
「分かっているのに何でやるの?」「わかんないよ!」
という受け答え、何度したかわかりません。

友達に中指立てられて怒って暴れた。
友達に死ねって言われて怒って暴れた。

確かに嫌だよね。そんなこと言われたら怒るよね。
でも、暴れてしまうと、結局息子が悪者扱いされて、原因になることは追及されなくなってしまう。
「手が出ちゃったら、何を言ってもあなたが悪くなっちゃうんだよ」
そう話して聞かせても、止められませんでした。

子ども自身だって本当は抑えたいと思っているのに抑えられない。
ストレスがかかったときに、わかっているけどどうしたらいいかわからない。

脳の仕組みを考えたら当然だったんです。

だから、脳の仕組みを使って抑えられる対処法を息子と考えました!

感情の脳が活発になっている時、ほかの部位はうまく働きません
だから、ほかの脳を活性化してあげれば、感情の脳は活動が抑えられるんです!

具体的な対処法をご説明します!

3.親子で決めておきたい、怒りへの対処法

怒りを抑える力が弱い子どもには、事前に怒りを抑える対処法を決めておくことが有効です。
その対処法で取り入れたいのは、脳の感情以外の部分を使ってあげること。

具体的には、見ることや、聞くこと、考えることなどを意図的にしてあげることです。

ここで大事なのは、子どもが得意なことや好きなことで対処法を決めてあげること。
イライラしたときに苦手なことをさせようと思ってもうまくいかないことは想像がつきますよね?

そして、子どもがこれならできそう!ということをしっかり話し合って対処法に決めて、何度か練習しておくといいですね。

普段安心して過ごしている家の中での、ちょっとしたイライラから使っておくと、学校という突発的な場面でも対処法が自然としやすくなります。

対処法の例としていくつか具体例を挙げてみましょう!

「本を読む」見て理解する力を使います。本が好きな子にはおススメです。
「音楽を聴く」聞く力を使います。普段から音楽が好きな子、好きな歌手がいる子はいいですね。

この二つは、道具が必要になるので、本や音源があるときはいいですが、ない時が困ります。
音楽は、好きな音楽を覚えておいて、学校では思い出して口ずさんでもいいですね!

「好きなこと、楽しいことを思いだす」記憶する力を使います。決まって思い出す楽しいことがあると対処しやすいです。
「怒りレベルを数字で表す」考える力を使います。怒っている瞬間の自分を客観的にみられます。

この二つは道具が必要ないので、どこでもできます。

いつ怒る場面が訪れるかはわからないので、基本的には何も道具を必要としないもので対処法が準備できると、どんなときにも対応ができます。ですが、お子さんがあまり乗り気じゃない場合は、道具を使う対処法も一緒に取り入れてみてください。

大事なのは、子どもが取り組みやすいと思えるか、です。
お母さんがいいと思ったことを「これをやりなさい」と言っても、子ども自身がやりたいと思える対処法でなければ、結局実践できません。

おススメは、落ち着いているときに「学校で怒っちゃうと自分も怒られて嫌だよね~?気持ちが落ち着く方法調べてみたんだけど、どれなら取り組みやすいかな?」など、お菓子を食べながらや、お茶をしながら楽しく会話することです。

するとお子さんの考えるハードルも下がり、自分の好きなことから考えてくれます。もしかしたら、意識せず、お子さん自身が対処法を行っているかもしれません。そして、お子さん自身に対処法を決めさせてあげてください。

いろんな中から息子が取り入れたのは、「本を読む」ことと「ゲームのことを考える」ことでした。
ゲームは、家では苦手な教科の勉強の合間でやっていたので、息子にとって取り入れやすい方法でした。
学校ではもちろんゲームはないので、頭の中で考えることにしました。

本は最初読み終わってしまったり、その場になかったりすることもありました。
ゲームのことを考える対処法は、いつでもできて、授業中の気分転換でも使うことができていました。

自分からこうする!と決めたことはお子さんも実践しやすくなります。
そして、イライラしているときにやっていないなと気づいた時、お母さんが「やりなさい!」と言ってしまうと、やる気がそがれて続かなくなってしまうんです。そういう時は、何も言わずに見守って、落ち着いたときに「こういう時にゲームじゃない?」と声をかけると、お子さんも意識づけになります。

もしろん最初からうまくできるとは限りません。お子さんによっては、忘れてた!ということもあるかもしれません。そういう時にも責めずに、10回に1回でもできたら褒めてあげてください!すると、お子さんも自信につながって、日々の対処法として定着しやすくなります。

ここに挙げたこと以外にも、子どもの「好き」に合わせた対処法を親子でいろいろ考えてみてください。
せっかくなので、楽しく、面白く、対処方法を考えてくださいね!

状況に合わせて使える対処法をいくつか用意しておくと、子どもも自分の怒りへ対処しやすくなりますよ。

執筆者:やなぎ みほ
(発達科学コミュニケーショントレーナー)

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