新学期前こそ発達障害の子どもの二次障害に気を付けて!ストレスサインを読み取り心を回復させる方法

発達障害の傾向がある子は普段からストレスを多く抱えていることが少なくありません。環境変化の起こる新学期は特に注意が必要です。放っておくと二次障害にもつながるストレスサインと、お家でできる対応方法をご紹介します。

1.発達障害の子どものストレスの原因と二次障害の怖さ

発達障害の子ども、中でもグレーゾーンと言われる子は、周囲の人からその困難さが理解されず、ストレスを抱えていることが少なくありません。

どんなことがストレスになるのでしょうか?

例えば、自閉症スペクトラム(ASD)傾向のある子どもは、物事の見方がまわりの人と異なり、認知のずれがあるといわれます。すると、何気ない会話の中で周りの人から意見を否定されたり、周囲の人の言っていることが理解できないことがあります。

また、独特なこだわりがあることも知られており、綺麗にものが並んでいないと気が済まなかったり、本人の思う順番通りに物事が進まないと気になって仕方なかったりするのです。

注意欠陥多動性障害の子どもでは、その名の通り多動性不注意、さらに衝動性を併せ持っています。
子どもによってどの特性が強く出るかは様々ですが、静かにする場面でしゃべりすぎてしまったり、座っていなければいけないときに立ち歩いてしまったり、荷物の管理ができないで忘れ物や失くしものが多かったりします。

すると、周りと比べてできないことが目立ち、怒られる機会が多くなります。また、実際には抑えられていなくても、行動を抑えなければいけないことは本人もわかっているため、自分の行動したい欲求を抑えようとするストレスもかかっています。

さらに、新学期に向かう時期は、卒業式に向けた練習や短縮授業も始まり、普段と異なるスケジュールで動く機会が増えます。いつもと違うことは、発達障害の子どもにとっては大変なんです。

敏感なタイプの子どもは、この時期からすでに、次のクラスや新しい担任の先生のことに不安を持っていることも多く、環境変化に向かう今の時期は、どの発達障害の傾向を持つ子どもにとってもストレスが多くかかる時期なのです。

そんなストレスをそのままにしておくと怖いことがあります。
それが二次障害です。

二次障害は発達障害などの一時的障害を持つ子どもが二次的に発症する「うつ病」「睡眠障害」「反抗性挑戦性障害」などの病気です。

ここまでストレスが悪化して、二次障害を発症してしまうと、子ども自身も辛さを抱え、心が回復するまでには時間がかかってしまいます。
外出はもちろん、日常の生活も大変になってしまったり、外で暴言や暴力が酷くなり、自分もまわりも傷つことになってしまったりと、二次障害を発症すると、親子ともに辛い日々が訪れます。

だから、ストレスがまだ大きくならないうちに対応してあげることが必要なのです。

2.子どもに出やすいストレスサイン

子どものストレスが大きくならないうちに対応することの難しさが、ストレスサインのわかりにくいさにあります。

子どもは自分自身でストレスがかかっていると気付くことは難しく、そのサインは体に現れてくることが多いんです。
すると、周りの大人たちから見ると、「ただの風邪かな?」「疲れてるだけじゃない?」「怠けてるだけでしょ?」と見えてしまうこともあり、早めに気づいてあげることが難しくなります。

なので、二次障害の予防のためにも、子どもに出やすいストレスサインを把握しておき、大人がアンテナを張ってあげることが必要です。


ではストレスサインをご紹介していきます!

「下痢や腹痛」
心とお腹は自律神経で密接に関係しています。大人でも緊張してお腹を下すことってありますよね?子どもも同じです。
朝起きてきて「おなか痛い」という。最近下痢が続いている。ということがあって、ほかに風邪や食あたりなどの原因がなさそうなら、ストレスサインである可能性が高いです。

「いつもよりイライラしている」
ストレスでいっぱいになっている子どもの心には余裕がありません。すると、刺激に対して敏感になり、少し声をかけただけでもイラっとして返答してくることがあります。
そんな様子があれば、ストレスサインだと捉えてあげましょう。

「夜なかなか眠れない」「寝すぎてしまう」
ストレスの影響で自律神経が乱れると睡眠にも影響が出てきます。以前は早寝早起きだった子どもが、最近やたらと寝てるな、逆による寝つきが悪いな、という様子があったら、注意してあげてください。睡眠のリズムが乱れると、さらに自律神経が乱れ精神的にも崩れていく悪循環になってしまいます。

「疲れやすい」
普段と同じことしかしてないはずなのにやたらと疲れてる。ずっとごろごろしている。など、今までより疲れやすくなっている様子があったら要注意です。

3.もっと早く気付いてあげればよかった。息子への後悔

ご紹介したストレスサインを見てみても、風邪と症状が似ていたり、様子を見て過ごしてしまうことが多いと感じるのではないでしょうか。

私もそうでした。ADHDとASD傾向を持つ息子は、高学年になって学校でトラブルが増えました。周りへの暴力や暴言などが出る二次障害を発症してしまったんです。

ですが、今思うと、そうなる前から前兆がありました。
始まりは下痢。学年が上がり始まった下痢に、最初は風邪かな?冷えたのかな?と思っていました。かかりつけのクリニックに相談してもわからず、下痢はだんだん悪化。大学病院で検査もしましたが器質的な病気の原因は見つかりません。

そうしているうちに学校でのトラブルがひどくなりました。

もっと早く、ストレスが原因だとわかってあげられたら。
もっと早く、心が安定するようなかかわりをできていたら。
息子はここまで苦しまなくてよかったかもしれません。

学校でのストレスがあることを全く知らなかったわけではありませんでした。
友達から馬鹿にされることが増えたんだなと、息子の会話から気づいてはいましたが、
ADHD傾向の息子は気持ちの切り替えが早く、家に帰ってくるとケロッとして遊んでいることがほとんどだったので、そこまでストレスが強いとわかっていなかったんです。

そんな私が息子のストレスを回復するために行ったことをご紹介します!

4.家で実践したい、子どものストレスを和らげる方法

発達障害の子どものストレスを和らげ、心を回復させてあげるためには、まず第一には休養させてあげること。無理に頑張らせようとせず、疲れて動けなくても、今は休むことが必要な時なんだと思って見守ってあげてください。

そのうえで第二に褒めてあげることが有効です。

ここでポイント。

褒めることは、できたことを褒めるだけではありません。
それではできていない自分には価値がないと、間違った印象を与えてしまいます。

なので、大事なのは、できて当たり前のことをしたときに、その事実を伝えること
お風呂入ったね、着替えたね、おはよう、起きたね、などなど。
日常の中でできていることを、片っ端から言葉にしてあげます。

そして感謝すること。
「ありがとう」って一見褒めているように感じないかもしれませんが、お子さんが心を回復させるためにはすごく有効な手段です。発達障害の子どもは自信を失っていることが多く、感謝されて自分の行動に価値があると思えることは、とっても良い心の栄養になります。

さらにスキンシップもおすすめです。
高学年など大きくなってくると、自然に減ってきている子どもも多いでしょう。ですが、看護の世界でもタッチングと言われる「背中をさする」「肩に手を添える」などの肌のふれあいは、安心感を与える手法としてよく用いられています。

大好きな母親からのスキンシップはさらに効果抜群。思春期の子どもには嫌がられることもあるので、あからさまなスキンシップではなく、物の受け渡しハイタッチなどで取り入れてみてください。

息子は二次障害まで発症していたので、休養のために学校を休ませたうえで、ストレスを和らげる方法を実践しました。

心はどんどん回復し、おなかの症状も和らいでいきました。
発達障害の子どもにとって、ストレスの原因は取り除くことが難しい問題です。
成長に応じて少しずつ困難さが減っていくことはありますが、急になくなることはありません。

特に春はストレスが多くかかる時期。春休みの時間を有効に使って、お子さんの二次障害の予防のためにも、心のエネルギーチャージをしてみてください。

執筆者:やなぎ みほ
(発達科学コミュニケーショントレーナー)

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