1.不登校になった発達障害の小学生の「好き」を一緒に楽しんだお母さん
発達科学ラボに所属している愛川さんの息子さんは、こだわりの強い発達障害、自閉症スペクトラム(ASD)を持つ小学4年生です。
前回の記事(「もう破裂しそう」こだわりの強い発達障害ASDの子どもが不登校になった原因と、ママが不登校を受け入れた理由)では、息子さんが不登校になった時の様子などを伺いました。
不登校を受け止めて、不登校中でもポジティブに過ごしたい、と思えるようになった愛川さん。
では実際にどのように過ごしたのでしょうか。
更にお話を伺いました。
ーー不登校期間中はどこで過ごしたのでしょうか?
「結構、外で過ごしましたね。学校に行かないとなったら、だんだんと元気になってきました。
外に出て、同じ学校の友達や、同年齢の子どもに会ってしまったら不安、ということはありましたが、その時間帯を避けてどこにでも行っていました。
息子は電車が大好きだったので、よく二人で旅をしました。
四国とか福井とか、奈良、和歌山など、突然思い立って出かけていました。
息子が行きたい場所を決めて、新幹線に乗ったり。いろいろな路線を乗りに行きました。鉄道旅ですね。」
ーー鉄道旅!素敵ですね。お母さんは不登校期間中に外出することに抵抗はありませんでしたか?
「近所の方や昔から仲の良かったママなどは、会ってもとやかく言ってくることもなかったので、特に気にしませんでした。
ただ、学校の登下校中などは、息子が同級生に会うことを嫌がったので、その時間は避けていました。
それでも息子が楽しく過ごせることが一番と思っていました。」
ーー自宅ではどのように過ごしましたか?
「息子はその当時とにかく鉄道が大好きだったので、鉄道の駅名を書いたり、鉄道関係の動画を見たり、旅の日記を書いたりしていました。
吹き出しをつけて漫画みたいにしたり。旅日記はたくさんできましたね。」
ーー息子さんもとても楽しそうですね。その他にやっていたことはありますか?
「その時、息子は鉄道模型にもハマっていました。鉄道模型ってすごく高いんです。
でも本人のお年玉とかを使って、たくさん買っていました。息子のやりたいという気持ちを大切にしたかったので、止めずに、『買いたいなら買ってもいいよ』と言っていました。
とにかく、息子の好きや、やりたい気持ちを伸ばしてあげたいという思いがあったので、息子の行きたいところや、やりたいということを全部叶えてあげようと思いました。
好きなことを、たくさんやらせてあげて、嫌がることはやらせないという感じですね。」
――嫌がることとは、例えばどういったことですか?
「勉強とかお出かけをするときに、息子がいやだと言ったときは無理強いはしませんでした。
学童もすごく嫌がっていました。
でも学童の先生が『学校に行かないんだったら、せめて土曜日の午前中はおいで』と言っていて、本当に学童に行くのが嫌だった息子は、小学校に行くことを選びました。」
ーーそれはいいきっかけになったのでしょうか。
「小学校は月曜日から金曜日までじゃないですか。息子は、土曜日はお休みの日なのに、なんで休みまで学童に行かなければいけないんだ、と納得がいかなかったようです。
休みの土曜日に学童に行くなら、平日に学校に行った方がいい!となりました。」
ーー息子さんは自分で納得して学校に行くことを選んだのですね!よかったですね。
「よかったです。その後は運動会に普通に参加できたり、2年生の2学期は、ちゃんと行くことができました。」
ーーー
とことん息子さんの「好き」や、「やりたい気持ち」を応援した愛川さん。
息子さんは自分で、小学校に戻ることを決めました。
不登校中に、お母さんと一緒にたくさんの好きなことをしたことも、頑張る力の源になったのでしょう。
続いて家庭でのコミュニケーションについて伺いました。
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2.こだわりの強いASDの子にオススメの発コミュテク!
ーー愛川さんは、発達科学コミュニケーション(以下発コミュ)はいつ頃知りましたか?
「不登校のメルマガなどは読んでいたのですが、再登校したので内容的に少し違うなと思っていました。
3年生から療育にも行き始めましたが、そこで相談をしたり、家での対応を教えてもらえたりすることもありませんでした。
なので、自分は息子の特性に対してどう対応したらいいんだろう、と思いネットでいろいろ探しました。
そこで、発コミュのブログに出会って、記事を読んでいるうちに私も発コミュを学んでみたいと思い、講座を受講することにしました。」
ーーこだわりの強いASDの息子さんに効いた発コミュのテクニックはありますか?
「とにかく褒めました。最初の頃は、息子も褒められ慣れていなかったので、何か裏があるのではないかと疑っていました。
しばらくすると、裏はないんだなとわかってくれたようで、褒め方に対する要求が出てきました。
こだわりが強いので、褒めに対しても、声のトーン、表情、タイミングなど全て息子の望んだものでないと、何度もやり直しをさせられました。
そんなやりとりを繰り返して、今はそういった要求は減ってきました。
私もどうしてもイライラしてしまう時があるので、
『今はお母さんもイライラしていて、その要求は聞けない』とか
『やってあげたいけど、お母さんはとても疲れているから無理です』と、
本音を話すようにしました。
すると、『そんなに疲れているなら仕方ないね、明日言ってね』などと、自分で折り合いをつけられるようになりました。とても成長しましたね。」
ーーお母さんが正直に本音を話す様になると、お子さんも分かってくれるのですね!
すごい成長ですね。「あとは『ありがとう』と、よく言うようにしました。
『何々してくれてありがとう』とか『すごく助かる』と、たくさん言っています。
すると、息子も『ありがとう』と言ってくれたり、私のことを気遣ってくれるようになりました。
以前は、本当に召使いか奴隷の様な扱いだったんです。
ですが、随分労ってくれるようになりました。」
ーーそれは嬉しい変化ですね。その他に愛川さんがオススメの声かけはありますか?
「言葉を可愛く言ったりすることですね。
例えば『寝よう』だったら、『ゴロンしよう』とか、『サッサとやりなさい!』だったら『ササーっとやっちゃおうか』の様な感じです。
可愛い言葉の方がすんなりと耳に入るようです。」
ーーなるほど!それはいいアイデアですね。
「その他に、家の中でも気が付いたときは、名前を読んで手を振ってあげたり。
『〇〇ちゃん、元気〜?』と声をかけると喜んでくれます。」
ーーお母さんが見てくれているという安心感があるのでしょうね。
「そうだと思います。あとは、ASDの子どもは言葉の受け取り方が字義通りだったり、こちらの思っていることがしっかりと伝わらないことがあります。
なので、褒める時などに、『今から褒めるからね』とか、しっかりと注目をさせてから話すようにしています。
褒めたつもりでも伝わっていない、ということがないように、『こういうことだからね』とシンプルに伝えてあげることが大切だと思います。」
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3.ASDの子どもを受け止めて、明るい未来を描けるお母さんになろう!
息子さんの発達特性がわかってから、トコトン息子さんの気持ちに向き合ってきた愛川さん。
お話を聞いていて、本当に頭が下がる思いでした。
ASDの子どもは、こだわりの強さ、不安の強さ、コミュニケーションの苦手さなど、たくさんの生まれ持った脳の特性を抱えています。
これらは一見、わがままや自己中心的な態度と思われがちです。
その本来の特性に気づいてもらえず、親にも友達にも理解されずに否定された子どもは、将来どうなってしまうのでしょう。
きっと、自信をなくし、頑張る力をも失ってしまうでしょう。
ですが、一番身近な存在であるお母さんが、その子のこだわりや好きなものを認めてあげて、トコトン付き合ってあげたとしたらどうでしょうか?
子どもは
「お母さんが僕の好きなことを認めてくれた!」
「お母さんは僕のことをわかってくれている!」
と自信を取り戻し、明るい未来に向かって歩んでいけるはずです。
私達も、個性的で色とりどりな子ども達を、いつでも笑顔で応援できるお母さんでいたいですね!
愛川さんの体験談が、少しでも不登校に悩む発達障害グレーゾーンの子を持つお母さんの子育てのヒントになると嬉しいです。
執筆者:別井理恵
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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