1.高校進学は不登校キッズが引きこもりから卒業するチャンス!
不登校のお子さんの高校選び、順調に進んでいますか?
不登校からの高校進学は、子どもがたくさんの経験をし、学ぶチカラやコミュニケーション力を体得していくステージに入ることができる大チャンスです!
小学校、中学校で不登校になると、子ども達がおウチ以外で過ごせる場を探すのが難しかったですよね。
そもそも、おウチ以外の場所へ出ることを嫌がったり、フリースクールは高い、自宅の近くにない、興味が合わない…など、様々な問題があって、義務教育期間の子どもが通うのにピッタリな場所を見つけるのは大変です。
そのため、おウチで過ごすことがほとんどとなる不登校の子は、「引きこもり」状態になってしまいやすい。
ですが、高校からはたくさんの選択肢が増えますし、子どもも、「高校くらいは行かないと…」「不登校解消のチャンスだ!高校は行きたい!」という気持ちになりやすいです。
だから、どんなに長期の不登校だった子にも訪れるチャンスの機会をしっかり掴み取ってほしいですよね。
2.久々の集団生活で心配なのはコミュ力‼さぁ、どうする⁉
高校を選ぶ際に、お子さんの状況に合わせて、お子さんが通いやすいところ、楽しく過ごせそうなところをお母さんは一緒に考えていると思います。
今は、通信制高校が主になりますが、登校頻度や登校時間を選ぶことができたり、完全オンライン対応で学べたりと、引きこもりっぱなしの子でも安心して通学できそうな高校が増えています。
ただし、どんなに負担の少ない高校を選んだとしても、同級生や先輩、先生など他者の話を聞く機会が格段に増えたり、自分の意見を考えて伝える時間が増えます。
それが、今まで引きこもっていた不登校の子どもにとっては、不安や心配の種となりやすい。
「うまく人と喋れるのかな?」
「自分がバカだってバレるなぁ」
「変なリアクションしてウザがられないかな?」
「友達なんてできるかな?」
「先生はどんな人なのかな?面談とかできるかな?」
こんな心配が、高校進学を前に頭をめぐらすようになっていきます。
元々、繊細タイプのお子さんは周りの反応を感じすぎて、自分がどう振る舞えばいいのか考えることでヘトヘトになっていたことでしょう。
マイペースなお子さんは、自分の世界に没頭しすぎて、周りに奇妙な目で見られることもあったかもしれません。
やんちゃタイプのお子さんは、感情をセーブできずに相手の子を傷つけてしまって、大人にたくさん注意されて自信がなくなってしまっているかもしれません。
お母さんとしては、「先生たちも優しいし、不登校を経験した同級生や先輩達がいる学校なんだから、そんなに気にしなくて大丈夫だよ!」と言いたくなると思います。
しかし、数年間、学校に行かず、集団生活をしていなかった不登校キッズにとってはもう一度学校に行くということ、家族以外の誰かと話す機会が増えるということはとても不安で怖さまで感じる場合もあるのです。
だから、子どもが進学に対してコミュニケーションの不安をもらしたら、まずはしっかりと安心させてあげることが大切です。
決して、
「じゃあ、高校入学前に集団生活に慣れるために集団塾に入れよう!」とか、
「フリースクールに短期間だけでも行って人に慣れておいで!」
等というのは、子どもの失敗体験を増やして自信をなくさせてしまいかねないのでオススメできません。
もちろん、「高校に入る前にしっかり勉強を復習したい」とか「人生勉強のためにフリースクールってやつに行ってみたい」等と子どもが希望している場合はOKですよ!
3.行きたい高校はある!でも人が怖い…
我が家の長男も小学校からの不登校で現在中学3年生です。
「高校卒業資格は欲しいから、高校は行くよ。」
「登校日数も選べるから僕もやっと学校に行けるよ!」
と、最初はワクワクして中学2年生から、通信制高校を見学したり、オープンスクールに参加したり、個別相談会に行ったりと、じっくりと自分の通いたい高校を選ぶことができました。
そして、中3の夏も過ぎ、いよいよ受験する高校を決めたのですが…
元々とても繊細で不安も強く、考えすぎる面もある息子。こんなことを言い始めました。
「やっぱ登校するのは無理じゃないかな」
「家から出たくないよー」
「自分がどんな人間かバレるのが怖い…」
2年かけてたくさん相談して決めたのに今さら??という気持ちが沸き起こりましたが(笑)、
「そっかー」
「そりゃ、ずっと家にいる時間が長いから怖いよね」
と、ひとしきり息子の気持ちを受け止め、その場は息子も立ち直ることができたのですが、コミュニケーションの不安は今のうちに少しでも解消させてあげようと思いました。
以前は、家では、自分の興味のあることになるとマシンガントークで話しすぎるような子でしたが、発達科学コミュニケーションで子どもの会話力を育てる方法を学び、今では、親との1対1の会話や、家族との会話は問題なくできるようになりました。
けれど、家族以外の人と話すときには、一見なんの問題もないように話すものの、本人の中では、
「相手はどう思っているのかな?」
「僕の話はこれでいいのかな?」
と考えすぎて、自分が何を話したかを覚えていないなんてこともあるようなんです。
そこで、繊細で、かつ思春期に突入している息子が、嫌がらずにやってくれそうなおウチでのしかけを考えてみました!
4.おウチでおいしく⁉できるコミュ力アップ作戦!
世の中には、社会で人と上手に関わりながら生きていくためのスキルを身につけるための、ソーシャルスキルトレーニングがありますが、家庭で真面目に取り入れるのは至難の技です。
発達凸凹の子どもは興味関心の幅が狭いですし、思春期になれば親とトレーニングを一緒にするなんてことも嫌がりますよね。
だから、あらたまった方法ではなく、いつでも簡単に自然にトレーニングできる場面を作れるといいんです!
我が家で、注目したのは、「食べる」シチュエーション。
子どもは食べることが好きですし、毎日3回は必ず食べます。だから、そこにコミュ力アップできる場面を作っちゃおうと思いました。オススメの2つをご報告します!
◆おやつとりジャンケン!
家族の人数✕3〜5個くらいのおやつを準備します。種類はなるべくバラバラの違うものの方が良いと思います。
全部のおやつをテーブルに広げて、家族で集合!
「このおやつ、ジャンケンして買った人から1個選んでとっていっていいよ!」と伝えます。
そして、「最初はグー‼」でジャンケンを。
勝った人が「何にしよう?」と悩む表情や、負けて選ぶのを待っている人が「あれはとらないでー!」と感じている表情を見ることで、楽しく人の心を読む練習ができます。
お母さんが欲しかったおやつを誰かが先にとってしまったら、
「それ食べたかったー!」と悔しがったり、
「お母さんはあれが食べたいんだよね、わかる?」
と視線を送って子どもにあててもらったりするのも相手の感情を気にしたり、理解したりするトレーニングになりますよ。
◆お食事タイムはロシアンルーレットしちゃおう!
王道ですが、お昼ごはんや晩ごはんのときにロシアンルーレットをするのはいかがでしょうか?
たこやき、コロッケ、おにぎり、いなり寿司、餃子…等々。
何でもできます!
気をつけたいのは、味覚過敏があるお子さんもいらっしゃると思うので、絶対食べたくないものは入れないこと。また、罰ゲーム要素が強くなると子どもが楽しめないので、美味しいものもいれるのもオススメです!
我が家では、チョコレート、マスタード、梅、スナック菓子などを入れました。
これも、上のじゃんけんゲーム同様、他の人の表情を読み取る練習ができますし、繊細な子は、自分が嫌だ・辛いと感じたことを押し殺して伝えられない場合がありますが、これだと、「まずいー!おいしくないー!」と嫌なことを堂々と伝える練習にもなります。
お母さんも一緒に食べて、「本当だ、めっちゃおいしくないねー!」と伝えることで子どもが共感されたと感じさせてあげることもできますので、苦手なコミュニケーションが楽しいに変わっていきます。
毎日はできませんが、気が向いた週末にこんな遊びをとりいれて家族でご飯を食べたり、おやつを食べたりすることで、息子のコミュ力を鍛えています。
最初は、「高校に行くのが怖い」と言っていた息子も、今では言わなくなり、「僕みたいなニッチな(個性的な、マニアックな)友達できるかなー?」とちょっと楽しみにもなってきている様子です。
みなさんも、引きこもり歴の長い子が少しずつ社会に出ていくため、コミュニケーションのチカラをおウチでつけてあげませんか?
おウチでできること、たくさんありますよ!
執筆者:すずき真菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
学校に行けなくても、友達がいなくても、おウチで社会性も伸ばしてあげられます!