思春期発達凸凹キッズの災害ニュースとの付き合い方。不安な気持ちを和らげるおウチでできる行動とは?

発達障害グレーゾーンの子ども達は、災害ニュースを多く見ることで不安になります。メディアに触れる機会を少なくしたいけど、思春期は親の制限も難しくなります。思春期の子どもの不安を軽くする災害時の親子のコミュニケーションのコツをお伝えします!
 

1.思春期発達凸凹キッズには災害ニュースを見ることの制限が難しい

お正月に発生した北陸地方の地震から3日がたちました。また、翌日に起きた羽田空港での事故から2日…

地震の被害にあわれた地域の方は、余震も続いていますし、とても不安な状況が続いていると思います。一日でも早く、被災地域の皆様が元気な生活に戻れる日が来ますよう、お祈り申し上げます。

今回は、実際に被害にはあわなかったけれども、子どもが災害や事故のニュースを見てしまうおウチで気をつけて欲しいことをお伝えさせていただきます。

発達凸凹のある子どもの中でも、不安が強いタイプの子は、テレビやSNSで発信されている映像や音声にとても敏感です。

火柱が上がる火事の映像
津波警報の音
倒壊した建物や燃えた飛行機…

「怖いよ」と言葉に表すことができる子もいれば、中には、不安や恐怖を自分でも気づけない子もいます。

発達凸凹のある子どもには、災害や事故のニュースとの付き合い方には工夫が必要で、子どもには極力見せずに大人がこっそり情報収集する、見るときは親子で見て会話する、等をして、不安を蓄積させないようにしたほうが良いです。

が、しかし…

情報との付き合い方を親が全てコントロールできるのは、小さなお子さんまで。

思春期以降になれば、子どもが自分のスマホでSNS等に簡単にアクセスできます。

「不安になるから、怖いから、あんまり見ないほうがいいよ」と伝えても、SNSやYou Tubeでは勝手に災害ニュースが流れてきてついつい見てしまう…

ということになりかねません。

たとえ、子ども自身が「見ても怖くないよ!」と、言ったとしても自覚のないまま、ネガティブな情報は脳に焼き付いてしまいます。

だから、思春期発達凸凹の子には、小さな子どもとはまた別な対応の工夫が必要な場合があるのです。

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2.大停電を経験した後の不安と災害への好奇心からくるネット依存の弊害

我が家も数年前、北海道胆振東部地震でブラックアウトを経験しました。

震源地からは離れていたため、揺れによる被害はあまりありませんでしたが、北海道全域が停電に。丸2日間停電は続きました。

停電の間、当時4年生だった息子は、「ゲームしたい、ゲームしたい!」とずーっと言っていて、当時はまだ、息子がとても不安が強いタイプだということにちゃんと気づけていなかった私は、「普段からゲームばっかりするから、こういう時に辛いんだよ!」とひどい言葉をかけていました。

今思うと、不安が高まり、ゲームで安心したいという気持ちの現れだったのだなと感じます。

そんな怖い経験をしたものの、現在中学3年生になった息子は、今では「地震のニュースとか見ても怖くないよ」と言います。

むしろ、高知能であるため好奇心が勝り、災害等が起きると、災害のメカニズムや、被災状況などを熱心に調べたがる傾向があるのです。戦争が起きると、国際情勢や武力についてもどんどん調べていきます。

ですが、そうやって災害の情報をインプットしたことは、脳にしっかり蓄積されていきます。

調べ終わってしばらくしてから、不安が強くなり、

「日本に住んでいるのは危険だから海外に移住したほうがいい。」
「非常食のストック大丈夫なんだっけ?もっとたくさんしたほうがいいよ!」

等、突然、表情を固くして私に言ってくることがあります。

「ほら、ニュースの見すぎると不安になるでしょ」と伝えても、やはり好奇心が勝ってしまい、一切ニュースを見ないということは難しい。

今回も、息子は地震が起きたプレートのメカニズムについて、たくさん調べていました。そこで、今回は私も、「ニュース見ないで」と言うだけではなく、違う対応をしてみることにしました。

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3.ニュースを制限するのが難しい凸凹くんと親子でできること

人が不安を感じるのは脳の内側部分です。一方、怒りや悲しみなどの本能的な感情をコントロールするのは、脳の外側の部分。

脳の外側を使うような思考、つまり、災害や事故を理性的に考えて、不安よりも「私達には何ができる?」とポジティブに考える時間を作りました。

◆災害地域への募金をする

今回、息子から、「『Yahoo!』で募金ができるから募金したい。」と言ってきてくれました。

実際に、令和6年能登半島地震緊急支援募金がYahoo!で開設されています。

募金したい額を私が預かり、クレジットカードで募金させていただきました。

募金をすると、寄付総額や自分が何人目の支援者なのかがわかります。

「〇〇は何人目だったね。」
5億円も支援金が集まっているよ。」
「(翌日になって)今日で10億円になっているね。昨日の2倍だね。」
人数に対して額がすごく多いよね。1人でたくさん募金している人もいるよね。」

等と、具体的な数字を見て、論理的に会話し、復興のために自分が力になれているんだということを実感してもらえるようにしました。

◆災害用の備えを一緒に見直す

自宅の災害用のグッズや食料を一緒に見直しました。

今までは、ほとんど私が準備してしまっていましたが、子どもに「何が必要だと思う?」「大きくなってきたから着替えも入れ替えないとね」などと、確認して見直しをしています。

息子が、あと数ヶ月で賞味期限切れの非常食を発見し、「やったー、もうすぐ食べれる!」と楽しみもできました。

不安の強い子には、

安心材料を視覚化してあげる。
言葉に出してあげる。

この対応は安心に繋がります。

いつもは、「平気」と言いつつ不安になる息子ですが、今のところ元気に過ごせています。

みなさんも、不安の強い思春期のお子さんには、メディアとの付き合い方を注意して見てあげながらも、実際に親子で行動できることも探してみてください。

災害の多い日本ですから、子ども自身が落ち着いて対応できる大人になれるようにサポートしてあげたいですね!

執筆者:すずき真菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)

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