1.毎日ゴロゴロする子どもを見て、つい心配になるあなたへ
毎日ゴロゴロして過ごす子どもを見て「このままで大丈夫かな…」と不安になることはありませんか?
特に繊細で不登校の子どもは人の目を気にしやすく、家という「安全基地」の中で過ごす時間が長くなります。
すると、外の世界に触れる機会が減り、行動力や好奇心が育ちにくくなるだけでなく、自己肯定感や自信も十分に育ちにくいのです。
これは、脳の働きとも深く関係しています。

同じ場所・同じ体験ばかりが続くと、脳が受け取る刺激が偏ってしまい、「やってみようかな」という好奇心を生む思考回路が育ちにくくなり、「新しいことをやってみたい」という意欲が湧きにくくなります。
私の娘も同じでした。
「どうすれば娘の行動力を少しずつ伸ばせるだろう?」
この問いが、今回の旅行を計画するきっかけになり 、五感をフル活用した体験で学校生活や社会適応につながる土台を作っていくことにつながりました。
2.外出を嫌がる娘から「行ってみたい!」を引き出すママの戦略
私の娘は不登校の中学生女子ですが、不登校になった当初は外出することをとても嫌がり、無気力になることもありました。
HSC(highly sensitive child=ひといちばい敏感な子)の特性があり、ささいな音や人の感情にも敏感に反応します。
小学校6年生で不登校になり、現在は中学2年生。
家で過ごす時間が長く、新しい体験には不安を感じやすい状態でした。
そんな中で私は、発達科学コミュニケーション(発コミュ)に出会い、親が子どもの安心できる環境を整えてあげることの大切さを学びました。
まずは、親と一緒ならお出かけできる体験から積み重ねてきました。

少しずつ成功体験を重ねることで、外の世界に対する不安はやわらいできました。
娘は少しずつ外出に慣れ、挑戦したい気持ちが芽生えてきましたが、それでも家という「安全基地」から外に出る機会は限られていました。
行動力を伸ばすには、家で味わえない“新しい環境“が必要。
「大自然の中で娘の“やってみたい!“を引き出したい」
そんな私の想いから、森の中でキャンプ体験ができるフォレストグランピング旅行 選びました。
最初は「行きたくない」と言うかもしれないと思っていたので、まずは泊まる場所の写真を見せながら声をかけました。
「こういうおしゃれな場所に泊まれるところがあるんだけど行ってみない?」
「夜は星がすごくきれいに見える場所なんだって」
「夕ご飯のBBQは熟成肉を食べることができるんだって」
しばらく写真を見たあとに、娘は「いいね。行ってみたい」と返事をくれました。
3.行動力を伸ばす「リフレッシュ期」を逃さない
不登校には、大きく分けて4つのステージがあると言われています。
・SOS期(登校しぶり期)
・荒れ期(暴言・暴力・不安定)
・ひと休み期(無気力・無関心)
・リフレッシュ期(回復期)
リフレッシュ期は、心と体のエネルギーが少しずつ回復してきて、「やってみたい」「行ってみようかな」という小さな意欲が芽生えやすい時期です。
この「リフレッシュ期」に非日常の自然体験を取り入れることで、五感が刺激され、脳が活性化します。
脳は新しい体験をすると「ドーパミン」という意欲を生み出す物質を分泌します。
このドーパミンが「楽しい!」「またやりたい!」という感情を作り、次の行動につながるんです。
だからこそ「安全」かつ「ちょっと新しい」体験を選ぶことが大切なんです。
我が家も、娘の特性を理解し、安心できる環境を整える対応を続けたため、このリフレッシュ期がちょうど訪れた時期だったんです!

ここからは、不登校の繊細な中学生女子の行動力がアップした自然体験の効果 、私たち親子がフォレストグランピング旅行で得た4つの大切な気づきをご紹介します。
4.不登校の繊細な中学生女子の行動力がアップした自然体験の効果
◆1新しい環境で五感をフル活用
森の景色、小鳥のさえずり、虫の鳴き声、BBQの匂い、熟成肉の味。
フォレストグランピングでは、五感を刺激する非日常体験が一度に味わえます。
五感を通した刺激は、脳に新しい神経回路を作る栄養になります。
そして「楽しかった!」というポジティブな記憶は行動意欲をさらに引き出す力になります。
◆2「やってみたい!」を尊重する
普段は外出をためらう娘ですが、森の中でブランコやアスレチックを見つけると、自分から挑戦。
「ここにもあった!」「今度は3人乗りだ!」と笑顔で駆け回る姿が印象的でした。
この「自分から行動する体験」は、脳の“前頭前野”を活発に働かせます。
前頭前野は「考える力」や「判断力」「計画する力」をつかさどる場所。
ここが鍛えられることで「自分で決められる」という自信が育ちます。
◆3親も一緒に楽しむ
繊細な子どもにとって、親が楽しむ姿は、「ここは安全で楽しい場所だよ」でいう大切なメッセージになります。
脳には“ミラーニューロン”という、相手の感情を自分も体験するように働く仕組みがあります。
親が楽しそうにしていると、子どもの脳でも同じワクワクが再現され、挑戦意欲が高まるんです。
「ふたりで丸太渡りクリアできたね〜!」とハイタッチ!
「星がキレイー!癒される〜!」と一緒に感動したり。

親子で同じ体験を共有することが、子どもの行動力を伸ばす近道になります。
◆4学校復帰ではなく「世界を広げる」体験を重視
旅行の目的は学校復帰ではありません。
繊細な不登校の子は、脳の「扁桃体」という“危険を察知するセンサー”が過敏に働いていることがあります。
知らない場所や新しい環境に対して不安を感じやすいのは、そのためです。
だからこそ、「外の世界は安全で楽しい」という感覚を体験から少しずつ積み重ねることが大切です。
星空観察、森のせせらぎ、鳥の鳴き声、アスレチックをクリアした達成感…
こうした五感をフル活用した体験が、学校復帰や社会適応につながる土台を作っていきます。
今回のフォレストグランピング旅行は、娘にとって「外の世界は楽しい」という感覚を体験できる大切な時間になりました。
この体験をきっかけに、行動量の少ない不登校の中学生女子だった娘も、お手伝いをしてくれる回数が増えたり、自ら勉強を始めたり、体を動かす習慣がついたりと外出のハードルも下がり、行動力がぐんと上がっていきました。
お子さんの好奇心を刺激する自然体験は、ママにとっても癒しの時間になるかもしれません。
まずは親子で、小さな“新しい体験”をひとつだけ試してみませんか?
その一歩が「外の世界は楽しい」というポジティブな記憶に置き変わるきっかけになります。


執筆者:黒柳ゆうみ
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
繊細な思春期女子の「こじらせ」も和らぐ脳の育て方を発信しています!
▼▼▼



