1.発達障害グレーゾーンの息子が小学校高学年でいきなり無言攻撃!
息子は発達障害の診断基準は満たさないけれど、凸凹のある発達障害グレーゾーンの子です。
小さい頃は普通に会話ができる子でした。
でも小学校高学年になると、何を聞いても無言…という状態になりました。
たとえば、学校から帰ってきた息子がイライラしている時
「嫌な事でもあったの?」と聞いても無言。
そこから先は、何を聞いても無言。
何も言わない息子に私もイライラして
「なんで黙るの?」
「心配して聞いているのに何で返事しないの?」
「黙ってないで何とか言ったら?」
と声を荒げて苛立ちを息子にぶつけても、ひたすら沈黙する息子…。
全くコミュニケーションが取れず困ることがたびたび起こり始めました。
思春期だから?反抗期?などいろいろ考えました。
でもよく観察すると、自分の気持ちを伝える場面でこの無言攻撃が起きていました。
この状態はなんで起きるの?と思いますよね。
それは息子が持つ発達の特性が原因で起こっていることでした。
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2.どうして急に会話ができなくなったの⁉
息子は視覚優位で見たものの情報が入りやすく、衝動を抑えるのが苦手なタイプ。
自分の気になるものが目に入ったときに、すぐに体が動いてしまう特性があります。
食事中でも気になるものが目に留まると、席を立って自分の興味を満たすために行動してしまうところがありました。
今は何をするべきか、その行動をしても良いかを考えることなく、衝動的に気になることに対して体が動いてしまうのです。
息子のようなタイプのお子さんだと、どういうことが起こりやすいかを例をあげて説明します。
たとえば、子どもが母親と一緒に公園へ遊びに行った場面をイメージしてください。この時、子どもの母親がボールを持ってくれているとします。
公園には、楽しそうにボール遊びをしているお友達がいました。
息子のように視覚優位で衝動性の特性が強い子どもの場合、お友達が楽しそうにボール遊びをしている状況を見ると、いきなり母親からボールを奪ってすぐに蹴り始めてしまいます。
「僕もボールで遊びたい」
「遊んでもいい?」
「お母さん、そのボール貸して」
という言葉が抜けてしまっています。
お母さんに言葉で自分の気持ちを伝える→お母さんからOKをもらってからボールを受け取って遊ぶ、というステップが抜け落ちて、いきなり行動してしまいます。
視覚優位で衝動を抑えるのが苦手なタイプの子どもは、目に入ってきた物が興味のあるものだと、会話をする前に衝動的に行動に移してしまい、自分の気持ちを伝え、相手の状況も考えた上で行動するという経験が少ないまま成長します。
発達障害の特性がある子どもは、コミュニケーションが苦手な子が多いです。
タイプによってコミュニケーションが苦手になってしまう要因は様々ですが、息子のようなタイプは、自分の気持ちを理解して相手に伝えるという経験が少ないということが一つの要因になると考えられます。
低学年のうちはそんなに困ることがなく過ごせていました。
でも高学年になると、友達関係もより深く付き合うスタイルに変わってきます。
幼児期のような単純なやりとりから、自分の気持ちを言葉で伝え、相手が言った言葉の深い意味を読み取り会話をしていく時期に入りますが、発達障害グレーゾーンの子どもはここでつまづいてしまう子が多いのです。
小学校高学年、思春期からは、男の子はお母さんとの会話が少なくなりがちですが、息子の場合は発達の特性もあり、余計にどう自分の気持ちを伝えたら良いのかわからずに、無言になってしまっていたようでした。
子どもとの会話がない状態。思春期だから、反抗期だからとあきらめずに、お母さんの家での対応を変えていくことで、改善していけます!
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3.会話がない状態から脱却する3つのステップ!
私が発達障害グレーゾーンの息子にしたことはおもに3つです。
◆ガミガミをやめる
息子に無言攻撃されると、私はイライラして「なんで答えないの?」「答えてくれないとわからないでしょ?」と怖い顔でガミガミ言い続けました。
その結果、息子は私が何か言おうとすると「またお母さんにガミガミ言われる」と思い込み、耳を閉じ聞こえないふりをしていました。
私の言う事を真剣に聞かなくなり、とりあえず何も言わず無言攻撃する癖がついてしまいました。
これでは、ますます悪循環に陥ってコミュニケーションがとれないですよね?会話が続かないからコミュニケーションが苦手になるのは当然の事でした。
まずお母さんがガミガミ言うのをやめると、子どもは怒られなくなったと安心することができます。
安心できると、お母さんのいう事を聞く準備ができ、お母さんが何か問いかけると聞いて短く答えてくれるようになります。
これができると第一ステップ突破です!
◆子どもの言葉を否定せず共感してあげる
コミュニケーションを続けるには、お母さんと子どもで言葉のキャッチボールができるようになることが必要ですよね。
やっとお母さんの話を聞いて返事をしてくれるようになったら、子どもが話したことを否定しないで聞いてあげてください。
「それって違わない?」「そーじゃないよね?」とお母さんが子どもの言ったことを否定してしまうことありませんか?
自分の意見を否定されて、うれしく思う人はいませんよね。それは、子どもも一緒です。
せっかく話をしてくれるようになっても、お母さんが子どもの言葉を否定してしまうと、否定されたと思って、また話をしなくなります。
お母さんと子どもがたくさん会話をすることで、子どものコミュニケーションの苦手さが改善されるのです。
会話をたくさんするためには「へーそうなの?それで?」「そー思うんだね?」と子どもに共感しながら聞いてあげることが大切です。
お母さんの意見は一旦封印して、子どもの気持ちをまず受けとめてあげてください。
イライラして帰ってきた子どもが「頭きた‼」と言ったら「もう、そんなこと言わないの‼」と言わずに「頭きたことがあったんだね。嫌だったね。どんな嫌なことがあったの?」と答えてあげるのです。
このように一度、子どもの気持ちを受けとめ、共感する、理由を聞く。
この対応を繰り返して、会話が少しでも続くようにお母さんが誘導してあげてください。
お子さんの話を聞くとき、お母さんは笑顔でいましょう!
お母さんが笑顔で共感してくれると、子どもはうれしいと感じ、もう少し話してみようと思います。そうすることで会話が続くようになります。
これで2つ目のステップ、突破です!
◆気持ちに名前を付けてあげる
これが我が子の場合、一番難しいことでした。
衝動性の特性が強い子の場合、思いついたらすぐ行動してしまうため、気持ちをどう表現したらいいかわからない時、その場から逃げたりイライラして手が出たりしてしまいます。
自分の気持ちを言葉で表すことをあまり経験していないので、言葉で気持ちを言ってごらんと言われても、この気持ちはなんて表現すればいいのだろう?と思ってしまいます。
気持ちを表現するための言葉のボキャブラリーが少ないのです。
私が一番努力したのが息子の気持ちに名前を付けるという作業でした。
息子がネガティブな気分になってしまっている時は、悔しい、悲しい、イライラする、ムカッとする、困っている、このような言葉を使って、その時の息子の気持ちに名前を付けていきました。
「今、困った顔しているね?なんて言ったらいいかわからなくて困っているの?」
「今、目が怒っているね?イライラしているのかな?」
このように子供が感じているであろう気持ちを私が代わりに言葉にしていきました。
この会話を聞くと「もう高学年なのに?」と思われるかもしれません。
でも、息子のように衝動性の特性が強く、イライラして暴力的になってしまう、会話の途中でフリーズしてしまう子の場合は、自分の気持ちをどう伝えて良いのかわからないのです。
会話の中で子どもが感じていると思われる気持ちを、お母さんが代わりに言葉にして教えてあげる、これが3つ目のステップです。
とても簡単な方法ですが、この3つのステップで息子は学校からイライラして帰って来ても、無言攻撃をすることなく、自分の気持ちを話してくれるようになり、コミュニケーションが上手くできるようになりました。
お母さんと楽しく会話ができるという成功体験が増えると、子どもの自信につながり、コミュニケーションの苦手さを克服できるようになりますよ!
執筆者:上坂 なおこ
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
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