1.どうして集中力が続かないの?発達障害ADHDの特性を知ろう
お子さんの勉強嫌いに悩んでいませんか?
勉強を始めようとしたのにすぐに手が止まっていたり、違うことをし始めたり…
「なんでこんなに集中力が続かないの?」
とイライラしてしまいますよね。
お子さんの進級を目前にして急に学力がたりているか心配になって「うちの子なんとかしなくちゃ!」と大慌てする方が多いですが…
苦手のある発達障害グレーゾーンの子どもたちは、一朝一夕では変わりません。
今から進級に向けて”勉強習慣”を育むための取り組みをスタートしませんか?
注意欠陥多動性障害(ADHD)の子どもは、こんな特性をもっています。
・先生の話を聞き逃してしまう
・先生が言ったことを整理するのが苦手
・長い時間集中できない
・興味のない分野は苦手
・他のことに気がそれてしまう
こんな発達の特性とからむ「苦手さ」があるので、勉強との相性がじつはあまり良くないんですね。
当の本人は「頑張っているつもり」なのに、周りからは「もっとがんばれ」「ちゃんとやれ」と言われるのですから、子どもたちは自信を失ってしまいます。
そうなると勉強=嫌なものとして記憶にインプットされ勉強をしようと思うたびに「嫌だなー」の感情がセットで出てきてしまうので、
嫌だ!嫌だ!嫌だ!
になるわけです。
2.今の勉強方法で本当にお子さんに学力がついてますか?
一方、私たち大人はと言えば
「勉強はいっぱいやるほどできるようになる」
「塾に通わせれば学力がつき成績があがるようになる」
「もっと難しい問題も解けるようにしないと!」
なんて思ってしまいがちですよね。
私も、発達科学コミュニケーション(発コミュ)と出会うまでは勉強が苦手な息子に「もっとやれ!」「もっとがんばれ!」と言い続けていました。
塾も、家庭教師も、通信教材も、たくさん試してかなりの大金を投資しました。
不思議なもので、塾には成績があがらなくてもお金を払い続けてしまうのですよね。
「やらなかったら今よりもっとできなくなるかも」
という不安があるから、やめられなくなってしまう…
ですが我が家が通っていた塾は発達のことに詳しい塾ではありませんでした。
集団でみんなが同じペースで進まなければいけないカリキュラムで、とにかく量と時間をやればいいという方針、学校の授業とは異なるさきどり講義(スピード感)など。
今思えば、どれをとっても集中力のない息子には合わない方法だったのです。
私は、塾に大金を投資するのをやめ息子の発達を学ぶことに投資しました。
結果、息子は大大大嫌いだった勉強で集中できるようになり、だんだんと学力がついてきました。
そして受験にチャレンジする子になり高校生活をエンジョイする子になっています。
3.これがADHDキッズに集中力をつける新常識!
◆勉強はスモールステップで始めるべし!
発コミュでは、ADHDの子どもの集中力をつけるために、簡単なことやできることから少しずつ成功体験を積ませる「スモールステップ」を大切にしています。
ちょっと頑張ったらできそうなことを短期の目標として掲げる方法です。
お子さんの毎日の勉強に置き換えると、例えばこのような感じです。
・勉強時間は長くなくてもいい=1日10分でもいい
・全部の教科をやらなくてもいい=好きな科目からでOK
・みんなと同じところをやらなくてもいい=学校の授業の進度と違ってもいい
そこまでレベルを下げて大丈夫?と、不安をお持ちになるかもしれませんね。
しかし、ちょっとここで考えてみましょう。
お子さんは、「勉強なんて大嫌い!」になっている状態です。そこに、もっとたくさん、もっと難しい問題を、やらせてみたら…お子さんは頑張れそうですか?
その方法でやったけれど、うまく行かないからこそ悩んでおられるはずです。
『集中』って、「楽しい」「おもしろい」「それならできるかも!」という気持ちがないとできないと思いませんか?
集中力はすぐにつくものではないけれど、ADHDの子どもが確実に身につけることができるのがスモールステップ作戦なのです。
このスモールステップには、子どもが気づかないうちに楽しくトレーニングを続けられる仕組みが隠されています。
このスモールステップをゲームに例えて考えてみましょう。
ゲーム会社がゲームを作る時に一番頭をつかっているのは「いかに簡単に」ゲームを始められるか、ということです。
最初からつまらないゲームはすぐに飽きられます。
最初から強い敵が出てきたら勝てないから「もうやらない」となります。
やっぱりドラゴンクエストの最初の敵は「スライム」だからいいのです。
ゲームはラスボスを倒すことがゴールになりますが、発達障害グレーゾーンの子たちの勉強のラスボスは「学習習慣をつける」もしくは「学力がつき成績があがる」ことです。
ラスボスまでひとっ飛びというわけにはいきません。
だから、今日の最初のステップでやってもいいぜ!これならチャレンジできそう!と思わせることがとても大切になります。
脳はクルマと似ていてエンジンをかける時に大きなパワーが必要です。
一番パワーがいる場面なのに、一番大変なことをやらせようとするからエンジンがかからないままなのです。
できそうなことからトライして「やった」「できた」という成功体験をつませてあげましょう!
◆繰り返しで脳にしっかりインプット
発コミュは要求量を下げたままで終わるようなことはいたしません。
大事なのは子どもに「勉強をした実感をもたせる」ことです。
「1日10分でいいから算数のできるところをやってごらん」という声かけなら、集中がつづかないADHDの子も「10分ならできそう」「できるとこだけでいいならやってみよう」となります。
この積み重ねで「俺!今日もがんばったぜ!」という経験を積ませてあげます。
繰り返される行動は脳に定着しやすいのです。
言葉で100回「勉強やれ」と言われるより1回「勉強できた!」の体験をすることの方が、脳は確実に「勉強する」ことをマスターしていきます。
だから、繰り返すことが大切!
繰り返すためには毎日続けられないハードな宿題よりできそうなことが良いのです。
本人にとって「できないかも」と思う「辛い」行動はその行動と「嫌だ」という感情がセットになってインプットされるのでその行動をしようとするたびに「やりたくない!」の感情がひょっこり顔を出すわけです。
だからもっとやらなくなっちゃう。
せっかくやらせたのに逆効果だなんてもったいないですよね。
「行動が先!やる気はあと」
行動できるからそれに対してやる気が育つわけなのです。
4.集中力のない不登校キッズが高校受験をクリア!
我が家の場合は、
・1日10分
・プリント数英1枚ずつ
・数学は小学校の学び直し
・英語は並べ替えのみ
こんなスタイルでスタートしました。
数学は、計算問題のみで、苦手なところがあれば小学校の問題でもしっかりやる。
文章を整理するのが苦手だったので文章題はやらなくてよし!
英単語はスペルを覚えられないので、選択肢にある単語を並べ替えて文章を完成させることに注力。
こんな感じで、ぐーっとハードルを下げた結果…息子は不登校から復活し、授業を聞くようになり、提出物を出し始めるようになりました。
さらには、受験をする決意をして中3の冬は1日4~6時間勉強する子になっていました!
子育ての本を読んだり、ネットで学んだりするだけだと“良い”と言われる部分をつまみ食いするので、イマイチ納得いく形で進んでいかないことがあります。
しかし、子どもが伸びる順番にそって理論的にやれば子どもたちは伸びていくのです。
未来を見据えて今やることを整理できると、お母さんの子育てもお子さんの毎日も、もっと楽になるし変化が起きやすくなります。
これからの勉強法の新常識は
「『くりかえす』をうまく作り出して脳にしっかり経験をインプットする!」なのです。
子どもの未来を信じて、学習をサポートしてあげてくださいね!
執筆者:清水畑 亜希子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
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