中学生がゲームで伸ばす力は無限大!不登校を選択した中学生が家での過ごし方を教えてくれました

不登校の子どもの家での過ごし方で心配になることありませんか。ゲーム、You Tube、昼夜逆転…大丈夫!不登校だからこそ伸ばせる力を現役不登校キッズとママに聞きました!学校に行かない間にやるべきことが見つかりますよ。

1.不登校の中学生の過ごし方が気になりませんか?

思春期の子ども達が不登校になった場合、お家での過ごし方が心配になることはありませんか。

お家にいる時間のほとんどをゲームをして過ごしているお子さんも多いと思います。その姿を見てイライラしたり子どもの将来に不安がつのったりしてしまいますよね。

今回は、大好きなゲームを活用してあらゆる才能を伸ばしている中学生の男の子とそのお母さんにインタビューすることができました。

お話しをしてくれたのは、N高等学校という通信制高校に入学を控えていた中学3年生のSくんです。

Sくんは、中学校に入ってから授業中の居眠りが多くなったり具合が悪くなったりしてしまうことが多くなりました。

原因はギフテッドという特性をもっていたこと。しばらくは、学校の配慮でクラスでの集団授業を受けるのをやめて別教室で課題を行っていました。

しかし、中学3年生でSくんは自分の意思で中学校へ通うことをやめる決断をします。

中学校へ行かない選択をした理由、息子さんの意思を尊重したお母さんの想い、不登校生活の過ごし方についてお話しを聞いていきたいと思います。

2.学校へ行かないと決めたのは自分

ーーSくんが、中学校に行かないと決めた理由を教えてくれますか?

Sくん(以下、S):「もともと学校の授業を受けていると居眠りが多くて気分が悪くなることが多かったので、別教室で過ごしていました。コロナで学校が休校になり、学校が再開してから行くのが辛くなってきて。一人で学校にいる意味がわからなくなってしまいました。

ーーお母さんは、「学校に行くのをやめたい」と言われたとき、どう思いましたか?

お母さん(以下、母):「もしかしたら、いずれそう言うときがあるかもしれないとは思っていたので、「来たか…」と思いました。

PTAで学校に足を運んだときに、Sだけ別教室で1人で自習をしているところを見かけたことがありました。朝の1時間目から6時間目まで彼はこの状態をキープしているんだと思ったときに、私は学校に行く意味ってなんだろうと思ったのです。

彼がポツンと学校にいる姿を見ているのが悲しくてつらくなりました。

主人にもSは自分の気持ちを伝え、『勉強は家でする』、『友達はもういるから十分だ』と説明する様子をみて、この子なりに考えているんだな』と感じ、不登校を認めようと決めました。

ーー先生達もすぐに認めてくれたのでしょうか?

母:「先生達も彼の特性をよく理解してくれていました。『お母さんの選択は間違っていないと思いますよ』と言ってもらえました。」

ーー自分の気持ちを伝えることは勇気のいることだったと思います。Sくんはご両親にも認めてもらえたし、先生達など、周囲の大人達に恵まれていますね!普段から周りの大人がSくんのことを理解しようと努めていたからこそ、素直に「学校辞めたい」と言うこともできたのでしょうね。

3.ゲームから広がる学び

ーー次にSくんが学校に行かなくなってからのお家での過ごし方を聞かせてください。好きなゲームですごくおもしろいことをしていると、以前お母さんに聞きましたよ!

S:「『モンスターハンター(モンハン)』というファンタジーゲームがあります。登場するモンスターの生態が詳しく設定されていておもしろいです。モンスターの生態を自分で考察するのが好きです。

このモンスターはどんな生態なのかこんな生態だったらどんな行動をするのかということを考察します。生物学物理学科学などを元に調べたりして、グループで意見を出し合って、その分野に詳しい人が、その部分は合っていると思う、その部分はこうだよということをアドバイスしてくれます。」

※モンスターハンターについては公式ページをチェックしてください!
モンスターハンター公式ホームページ

ーーおもしろいですね!すごく勉強になりそうです。他の人たちとやりとりするのはSNSを使っているんですか?

S:「もともとはTwitterで考察していた人たちがDiscordというアプリでサーバーを作って、そこにみんなが入っていってやっているんです。」

ーーそこにはじめて入る時は大丈夫でしたか?緊張しなかったですか?

S:「緊張したけど、みんないい人でした。」

ーー自分の考察を伝えて批判が返ってくることはないのですか?

S:「批判はあまりないです。『こう考えると、ここがおかしくなっちゃうから、こうしたほうがいいんじゃない?』という風にアドバイスをしてくれます。」

ーーちゃんとした大人達が集まるコミュニティですね!お母さんは、SくんがSNSを使って大人達とやりとりすることに関して反対はなかったですか?

母:「ネットで取り沙汰されている問題ありますが、Sから話を聞いていると、ネットの周りの大人も案外色んな範囲で色んなことを教えてくれるんだなと感じています。色々な人の生き様を見せてもらって彼が色んなことを感じられる。学校の先生のようにこれはこうだという教え方ではないのでおもしろいですよね。」

ーーモンハンについての考察のお話を聞いて、考えをまとめる力や、伝える力がつくんじゃないかなと思うのですが、役に立っているなという実感はありますか?

S:「この言葉よりあの言葉を使う方がいいかな?とか、できるだけわかりやすく伝えるにはどうしたらいいかな?とか、仕組みをわかりやすく説明するのはどうしたらいい?と考えるので、まとめる力がついたと思います。

ーー自分自身でモンスターを新しく考えたりもするんですか?

S:「創作もします。自作モンスターというハッシュタグがあって、自分で考えたモンスターを投稿しています。主食はこれでこんな生活をしているとか、亜種とか共生関係とかもあって、現実にある生物に関連づけたりして考えています。」

ーー創作したモンスターに対して他の人からコメントがもらえるんですか?

S:「リツイートしてくれたりフォローしてもらえます。その人達の投稿も見て更に参考にできるんです。」

ーー1つのゲームでそんなに広がるんですね!好きなことから色々な学びを広げていく方法が素晴らしいなと感じました。好きなことからの方が、興味もあるので理解しやすくなると思いますし、記憶にも残りやすいですよね。

そして、一方的にゲームをするだけではなくて、他の人とのコミュニケーションの中で表現力もや伝達力も鍛えられていけるんだなと、新たに気づくことができました。

4.1日の家での過ごし方を大公開!

学校で勉強をしていなくても、子どもの興味を広げていくだけで色んなことを学んでいけるんだとわかってきました。じゃあ、ゲーム等が好きな子にはどのくらいやらせてあげていいのか、どのようにして1日の時間を過ごしているのかも気になります。

ーー学校で教わるようないわゆる勉強についてはどうしていますか?

母:「週4日、不登校になる前から通っていた塾に行っています。塾での時間と、塾からの宿題をやる時間とそれだけですね。」

ーー塾での勉強だけで自分の学年内容は理解できている状態ですか?

母:「塾の先生からは『学年相応の課題は理解できている、とりこぼしているところはない』とおっしゃっていただいています。

息子は通信制のN高等学校への進学を希望していましたし、進学校を目指すとか難関大学を目指すということでなければ、問題ないという状況かなと思っています。」

ーー学校の授業は気分が悪くなるけど塾の授業は大丈夫というのは、どうしてなんでしょうか?

S:「予想で言うと、学校のいわゆる大人数にむけた説明が自分には合っていなかったと思います。通っている塾は個別指導で先生1人に対して生徒3人です。そして先生の教え方がとてもおもしろくてわかりやすいからちゃんと勉強できるのかなと思います。」

ーーちゃんと自分のことを自分で分析できていますね!

母:「塾の先生達など、相性のいい人に巡り逢えてよかったと思っています。」

ーーお母さんも、Sくんも、人に対する嫌悪感のなさや壁を作らない雰囲気が感じられて、それがいい環境を引き寄せる要因なんだろうなと感じます。それでは、1日の時間の使い方も教えてもらえますか?

S:「僕は生活リズムがバラバラで、大体は、深夜くらいまで起きていて、朝になってから寝ています。最低6時間は寝るようにしています。

朝に寝る前や起きてからご飯を食べて、その後は自由な時間なので塾の宿題を終わらせたら、ゲームをしたりイラストを描いたりやりたいことをやって、夜ご飯を食べて、塾に行く。帰ってきたらゲームしたりして眠くなったら寝る、という感じです。」

ーーなかなかすごい生活リズムですね(笑)でも睡眠時間はちゃんととれているんですね!

母:「私が朝仕事に出かける時に寝ることも多いので、その時に朝ご飯を食べさせて少し話をして、『じゃあ寝なさいね』と言ってから出かけています。」

ーー朝に顔を合わせられるのは安心ですね。深夜にモンハンのコミュニティに参加することが多いんですか?

S:「それもあるし、TRPGというゲームもやっていて、午後10時から夜中1時くらいに終わってその後雑談して、そのまま朝になっているっていうことが多くて。体には悪いです…(笑)」
※TRPG:テーブルトークロールプレイングゲームのこと。紙や鉛筆、サイコロなどの道具を用いて人間同士の会話とルールブックに記載されたルールに従って遊ぶ対話型ロールプレイングゲーム。対面型のゲームだが、ネットを通じてオンラインで行うことも可能。

母:「たしかに健康には良くないですね。でも、こうしなきゃだめと言っていたころは、無理に電気を消して布団に連れて行っていました。眠れないのに布団の中に閉じ込めておくのも辛くて。

でも、友達と昼間会うときは、時間を調整して約束に間に合うように出かけていくので安心したんです。自分の都合に合わせて行動を調整できるのなら長い目で見ていればいいのかなと思っています。朝まで起きていたら、ご飯食べなさい、寝なさいと声はかけるようにしています。」

ーー昼間にやりたい活動があれば自己調整ができる、友達との関わりも継続できている、お母さんともコミュニケーションをとれているということで、気持ち的に安定しているのですね。昼夜逆転して親子喧嘩するよりも、多少生活リズムが不安定でも親子が信頼し合って気持ちよく生活できた方がいいですよね。

5.不登校中学生親子の学校への想い

ーーSくんはもうすぐ高校生ですね!高校生になってやりたいことはありますか?

S:「16歳になったら原付の免許がとれるので、免許を取りたいです。あと、バイトもしたいです。特に高校でやりたいことはまだないですが、将来について考えたりするのが苦手なので、高校入ってやりたいことを見つけれれたらいいなって思います。」

ーー子どものうちから将来をバッチリ決めれる人もなかなかいないですよ。免許取得したら、バイクをゲットしなきゃいけないですね!今回は色々と詳しく話してくれてありがとうございました。それでは最後に不登校で色々なやんでいるお子さんやお母さんへのメッセージをお願いします。

母:「最近では、学校に行く意味はないとか、画一的な授業を受ける意味がない等と言われていることもありますが、そのような意見だけが全てではないと思っています。それぞれの子どもがそれぞれの個性を持っていますから。

従来の学校を否定するのではなく、自分の子は、どんなことを目を輝かせて学びたいと思っているのかな?って観察してあげる。それが学校ではできないのなら、学校以外の場所を探してあげる。

学校という環境で安心して学べる子もいますから、子どもはどんなところがあっているのかを見極めて選択することが大事なんじゃないかと思っています。自分の子どものパーソナリティーがどこで開眼するのかな?っていう目で見て選択できれば自信を持っていいのではないでしょうか。

我が家は、通学するということに意味が見出せなかったら、子どもと一緒に違う側面を見ることができていいきっかけになりました。これしかないと思っていた大人になるまでの道のりが、こんな道もあるんだねって気づくことができ、貴重な体験だと思っています。」

ーーありがとうございます!それでは、Sくんからもお願いできますか?

S:学校が必要ないわけじゃないと思っています。学校は社会で必要な最低限のことを学ばせてくれる場所だと思っています。だけど、合わない子もどうしてもいる。学校で得られるメリットよりも、学校に行くことで具合が悪くなるとか、つらいと感じるデメリットの方が大きかったら無理して学校へ行く必要はないと思う。

学校に行かなくてどうしようじゃなくて、学校に行かないと決めたら今学校に行かない自分にできることはなんだろう?って考える方が楽なんじゃないかなって思います。」

ーー今できることがなんだろうって考えると言ってくれたのは、大人になっていく上でもすごく大事な考え方だと思います!15歳でそのような考えを持てているというのは素晴らしいと思います。Sくんありがとうございました。

6.家でゲームも悪くない!遊びから学べる要素を探してみよう

Sくんとお母さんのインタビューはいかがでしたか?

Sくんは、インタビュー前は「コミュ障だからうまく話せないかもしれない。」と言っていました。けれども当日、私の質問にしっかりと頭の中で考えてから慎重に言葉を選び答えを教えてくれました。とても話し方も丁寧で、「なんてしっかりしている子なんだろう!」と感じる青年でした。

親は、学校に行かないからダメ、ゲームばかりしていてはダメ、ではなく、子ども一人一人が好きなことや、学びたいことにはどんな学べる要素があるんだろうかと考えることが必要です。

一見、単なる遊びだと思えるようなことも、色んな学習要素に結びついているものです。

学校のように全て決められたカリキュラムでは、なかなか面白みを感じられず体調を崩してしまうくらいならば、子どもの心が生き生きとすることで脳を発達させてあげた方が将来に役立つと思います!

好きなことから目標が見つかり、新たな道に進めるようになる子もいるのです。自分でやりたいことを見つけ、方法を自らの手で探し出していく力をつけることは貴重な経験です。

自由な学び方を広げて、そこに価値を見出すことで、お母さんの心配も払拭していけるのではないでしょうか?

子どもと一緒にお母さんも物事を見る視野をひろげて、色んな力を伸ばしていきましょう!

今回インタビューを受けてくれたSくんとお母さんのTさん。
Sくんは15歳、N高等学校1年生。希望の学校に入学し、登校を頑張っています!
Tさんは、Sくんのゲームの話を「息子のことをもっと知りたいからたくさん聞きたい」と寄り添い聞いている姿がとても素敵なお母さんです。

執筆者:すずき真菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)

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