きょうだい喧嘩ばかり…発達障害で怒りっぽい子どもたちの喧嘩はこう落ち着かせる!

兄弟が顔を合わせると、喧嘩ばかりがしょっちゅう起きて「また?」と対応に困っているご家庭も多いのではないでしょうか。仲裁したほうがいいの?見守るほうがいいの?見極め方と、落ち着かせる方法をお伝えします。

1.また?きょうだい喧嘩ばかりで困っちゃう

家族が一日頑張ってきての、お夕飯前やご飯のあとなど、お互いにストレスがたまってピリピリと怒りっぽい雰囲気になっていたりすると…

「○○が俺(私)のものを取った~」
「○○が叩いた~」
などなど始まるきょうだい喧嘩。

そんなきょうだい喧嘩で困っているママも多いのではないでしょうか?

発達障害・グレーゾーンの子どもたちに限らず、兄弟が顔を合わせる時間が長く、距離が近くなっているときは、きょうだい喧嘩は起きるんですよね。

喧嘩ばっかりで、私たち親としては「また?」「いい加減にしてよ〜」とイライラガミガミしてしまいがちですが、実はきょうだい喧嘩は社会性を養うのに大切な実体験なんです!

ここはどうか、戦略的に対応していただきたい!ということをお伝えしたいと思います。

2.発達障害の怒りっぽい子どもがすぐ喧嘩になるわけ

発達障害・グレーゾーンの子どもたちは、一人一人の脳の特性によってきょうだい喧嘩が起きやすいと考えられます。

特に衝動性が強い特性があると、行動や感情をコントロールすることが苦手です。

それ以外には、
・気持ちを切り替えることが苦手
・「こうであるべき」というこだわりがある
・人の気持ちを考えることが苦手

など、このような状況や物事が自分の思うようになっていないことにイライラしやすいんです。

そして、このイライラする感情を自分でコントロールする力(理性)が、脳でまだ発達途中なんですね。

コロナ禍で、おうちの外でも思うようにならないストレスでイライラしているところに、きょうだいがちょっとでも自分の気に入らないことをすると、イライラの感情がわいてきて暴言や暴力となって表れます。

まだまだ理性が発達途中の兄弟同士では、お互いにイライラの感情をコントロールすることができずに、きょうだい喧嘩がはじまるというわけです。

「怒りっぽい」特性がある、まだまだ発達途中なんだと考えると、きょうだい喧嘩への見方が変わってきませんか?

イライラの感情をコントロールして、周りと折り合いをつけることを、家庭で学べる機会がきょうだい喧嘩なのです。

次では、きょうだい喧嘩ばかりと思うだけでなく、ママが仲裁するかしないかを見極めて、家庭で感情のコントロールができるようにしていく対応についてお話しますね。

3.きょうだい喧嘩で社会性を身につけるママの戦略

子どもたちが、それぞれうまく怒りの感情をコントロールできるようになるには、ママの戦略的な対応がとっても重要になってくるんです。

喧嘩がはじまったらまずは口を挟まずに様子を観察して見極めましょう。

◆様子を見守る場合

危険がなければ様子を見てあげてください。

兄弟でいろんなやりとりをしているうちに、いつの間にか笑っていたり、逆にエスカレートしたりするかもしれません。

喧嘩の中で、どんなことを言ったら、どんな態度をしたら、相手が怒ったり、泣いたりするか、という体験をします。

発達障害・グレーゾーンの特性があるなしに関わらず、発達途中の子どもたちは、このような体験の中から感情を学んでいきます。

きょうだい喧嘩を仲裁してしまうと、せっかくの発達のチャンスを逃してしまうことになってしまいます。

そんな機会を家の中で体験できるのですから、家の外でトラブルになって謝罪に行くよりよっぽどマシですよね。

そして、自分たちで喧嘩を収められたり、どちらかが好ましい行動、例えばその場から自分で離れたり、違うことをし始めたら

『○○してるんだね〜』と見たままを肯定してみたり、
『おやつにでもしよっか』と、違う行動に誘ってみたりもいいですよ。

◆仲裁に入ったほうがいい場合

危険そうだなと思う場合。

また、例えば、兄弟のお兄ちゃんが叩いたと喧嘩になっている場合。

叩かれたほうは「お兄ちゃんが叩いた!」など、あれシタ、これシタと言ってくるときもありますよね。

そんなときには、いったん手を止めて言ってきたことをそのまま言い返すことをこころがけて、「叩かれたんだね〜」「◯◯されたんだね〜」など同じ言葉で言い返してあげてください。

言い方としては、子どもの目線に降りて気持ちを理解してあげる感じです。

気持ちが落ち着き始めたら「痛かったね〜」「嫌だったね〜」と気持ちを受け止めてあげてください。

このとき、決して「お兄ちゃん嫌だね〜」「お兄ちゃんがそんなことしたんだー」「どっちがいい、どっちが悪い」などのジャッジはしないと言うことを意識して欲しいのです。

そして、もし、叩いたほうのきょうだいが「俺は(私は)悪くない!」「ママは◯◯ばっかり!可愛がる!」しまいには「◯◯なんて生まれてこなければよかった!」などと暴言を吐いてくることすらあるかもしれません。

本来そんなことは言ってはいけません!という言葉はぐっと飲みこんでくださいね。

このような状態の時に、正論を100回言っても子どもの脳には届きません!

気持ちが落ち着いてきたところで「叩くのは良くなかったね」「本当はどうしたかったの?」など、よくなかったことを伝えます。

他の兄弟にも、自分よりも他の兄弟ばかりをかばっていると思わないように気をつけながら、最後まで話を聞き、気持ちを受け止め、共感し、よくなかったことを伝えます。

すっきりしない様子のこともあるかもしれませんが、そうやって体験しながら落ち着いて考える力がついてきますよ。

お母さんもストレスがたまり怒りっぽい状態になっているときには、きょうだい喧嘩が始まると「あ〜もう!うるさい!いい加減にして!」な〜んて怒ってしまうこともあるでしょう。

そして自己嫌悪に陥ることもあるかもしれません。

そうなってしまったら、その時は自分の気持ちが落ち着いときに「さっきはごめんね」「ママもつい忙しくってイライラしちゃったの」と伝えてみてください。

こうやっておうちの中で、ママもこんな時もあるよ、失敗しちゃうこともあるよ、でもママも失敗しちゃったら謝る。

この姿を見せていって欲しいと思います。

そうすれば、兄弟間でもまた家の外でも、子ども自身が失敗したら自分の頭の中で考えて、謝れるようになってきますよ。

執筆者:遠藤有里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)

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