1.ネガティブな記憶が何度もよみがえる脳の思考回路は変えられないの?
子ども達は外の世界で親の知らないたくさんの経験をしてきますよね。みなさんはどんな風にお子さんの話を聞いていますか?小学生で不登校になり思考がネガティブに傾いていた息子のモヤモヤがなくなった体験談をお伝えします!
発達に特性がある子ども達は、ネガティブな記憶が残りやすいといわれています。
みなさんは、お子さんと過ごす時間の中で、
・過去のネガティブな記憶を繰り返し持ち出し、感情を爆発させて負のスパイラルに入ってしまう
・1日を振り返れば、楽しい事もあったはずなのに、うまくいかなかった出来事にフォーカスしてすべてに×をつけてしまう
と感じた事はありませんか?
私たち人類の脳は原始的な生活をしていた頃から進化していますが、大昔から変わらず今も人が持っている動物的な脳の部分が、ネガティブさに関係があるところです。
古来の人類が生存競争で生き残るために必要な感情は、恐怖や不安でした。
この場所は危険だ、天敵がいる、この実には毒がある、と身を守る記憶力がベースだったという事です。
よってもともと人はハッピーな事よりもネガティブな事に反応しやすいといわれます。
さらに、気持ちの切り替えが苦手な発達特性を持つ子が、常にストレスレベルが高く神経がいら立っている環境にいるとしたらどうなるでしょうか。
普通の状態よりも動物的な脳の部分が異常にはたらいてしまい、強い不安や恐怖を感じてしまいうつのような症状があらわれてしまいます。
現在感じる気持ちと過去に同じように感じた嫌な気持ちがつながって、記憶を引っ張り出してしまうのかもしれません。
人が感じるストレスは、原始時代と令和のそれとは様変わりしていますが、
お母さんたちは、お子さんと一緒に幸せを毎日感じながら今を生きていきたいですよね!
お子さんがネガティブな記憶を持ち出す脳の回路、書き換えられたらいいと思いませんか?
2.子どもの話どんな風に聞いている?私がやってしまった重大なミス
わが家の小学生の息子が小3で不登校になった頃、過去の記憶を何度も引っ張り出して、怒りを爆発させたり先の事の不安を膨らませている事がありました。引き金になるのは現在のささいな事のようでも、過去の嫌な気持ちとリンクしてしまうようでした。
過去の話は何回か聞いたことのある話ばかりでしたが、私は重大な事に気が付きました。
それは当時、話を聞いているようで息子の気持ちを私が全く聞いていなかった、という事です。
例えば保育園の時の話、お友だちに押されて遊具から落とされたと教えてくれた時に、怪我もなかったことから、
「お友だちもわざとじゃないよ、きっと」
「自分がされて嫌だったことは人にはしないでおこうね」
「(もしわざとだとしても)いじわるしてくる子よりされた子の方が痛みを知ってる分優しい子になれるよ」
と言っていた事を思い出しました。息子の気持ちを受け入れるのではなく、私の中にある道徳的な価値観で判断した言葉を返していたのです。
お友だちに怒らず、みんなと仲良くニコニコしているうちの子はいい子だと勝手に満足し、心の傷を理解していませんでした。事柄だけを取り出し、私の価値観で言葉を返し、それ以上息子の中にあった負の感情を吐き出させないようにしてしまっていたのです。
そんな事が小学生の今になって「あの時の嫌な気持ちが消えない、あの時も、あの時も…!!」とイモづる式に不安や怒りとなって出てきたと感じました。
消化できていなかった過去の積み重ねで、息子の我慢のコップがいっぱいになり、勢いよく溢れ出してしまったのです。
当時の悔しい気持ち、悲しい気持ち、寂しい気持ち、困惑している気持ちに全く寄り添えていなかった事実がありました。
息子のモヤモヤした気持ちは、紙に書いてちぎったり、燃やしたり、サンドバッグをべこべこにしてもなかなか消えず、さまざまな負の感情が合体してしまい、そうとう厄介なものになっていました。
そして「嫌な予感がする」といって動けなくなり、今まで出来ていた事も出来なくなっていったのです。
わが家ではこの負の感情をどうやって乗り越えたのか、について次に紹介します。
3.小学生不登校男子のネガティブなモヤモヤを吹き飛ばせ
子どものネガティブな記憶ばかりを持ち出す脳の回路を変える方法、
それは、子どもが発する言葉の向こう側の感情に全力で寄り添う事。
具体的にはこんな事に気をつけながら会話する事です。
・話はそのまま丸ごと受け止め、その場で否定はしない
・何があってどうしたのかだけではなく、その時何を感じたのかに興味を持つ
・気持ちがうまく言葉に出来ない時はかわりに気持ちを言葉にしてあげる
・無理に聞き出す姿勢はNG、お風呂や就寝前のリラックスしている時に話しやすい雰囲気作りをする
・耳だけではなく、目、気持ち、からだ全体で子どもの話を受け止める
子どもが安心できる環境を整えられるのはお母さんです!
自分が家で受け入れられていると感じれば、お子さんは小学生で不登校だったとしても少しずつ復活していきます。
皆さんは当たり前のことじゃないかと思われますか?
息子が元気になってから「母ちゃんは、今はちゃんと話を聞いてくれるけど、前はぜんぜんそんなんじゃなかったでー」「あの時母ちゃんの言ってる事、意味わからんかったわ」と言われた事があります。
お母さんは家事やお仕事に忙しいですよね。子どもが主人公であるお話を聞いているようでいながらも、主人公の気持ちを理解する前に話をさえぎっていませんか?
お母さんの価値観や意見を交えずに聞いてあげて下さいね!
また伝えたいメッセージがあれば、お互いに感情が落ち着いている時に改めて、会話形式で伝えてあげればいいと思います。
4.お母さん!魔法のような言葉は探さなくても大丈夫!!
息子の気持ちを私が受け止められるようになってから、息子は感情が安定し、コミュニケーション力がぐんぐん伸びました。家で自分の気持ちをやっと理解してもらえるようになった事で、人との会話がどんどん楽しくなっていったのだと思います。
基本的には体を動かす遊びに貪欲な活発小学生男子ではありますが、近所の公園や道端で女子のお友だちやママさんとのおしゃべりに花を咲かせたり、帰ってくるのが遅いと思っていたらマンションの管理人さんとは防災について話し込んでいたりします。
もう過去のネガティブな記憶を必要以上に蒸し返すことはなくなりました。
今は私にだけではなく、お友だちとも嫌だった気持ちを共有し、スッキリと前を向けるようになっています。
保育園時代から小学校低学年まではおとなしい印象でしたが、今はおしゃべり過ぎる?!息子との会話を毎日とても楽しませてもらっています。
子どもをモヤモヤからすぐに切り離せる、魔法のような言葉はなかなかないかもしれませんが、お母さんの話のきき方次第で、お子さんを等身大の世界へ戻してあげる事はきっとできますよ!
執筆者:とくながともえ
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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